「こんな美味な物が食べられるのなら、夢の国も悪くない」
カミュと夢の国に遊びに来たはいいけど、人混みが凄すぎて、すっかり不機嫌になってしまった伯爵様。正直超面倒だと思ったけど。
でもせっかく来たのだから楽しんでほしい気持ちもあって、なんとかしてチュロスが売っているワゴンまでカミュを引っ張ってきた。
「愚民が嗜むものなど」
なんて馬鹿にしたように言ってたくせに、シナモン味のチュロスをご馳走してあげたところ、冒頭の発言ですよ。もうなんだか単純すぎて逆に扱いやすい。
「ね、チュロス美味しいよね」
「うむ。他の味もあるのか」
「色んな味出てるよ。いちごとか、」
「いちご…!」
「あとハロウィンの時期ならカボチャとか」
「素晴らしいな。作った者を称賛しよう」
「はいはい」
ところで、この一本でどのくらいカロリーあるんだろう、なんて身も蓋もないことが気になってしまう。いや、夢の国に来ている時点でそんな現実的なこと考えたらだめなんだけど。
「揚げている上に砂糖がまぶしてあるからなー、カロリー高いよねぇ」
「フッ。俺は貴様と違って太らない体質だからな」
うわ、むかつく。
でもまぁ確かに仮にも人気アイドルだし、太ったカミュの姿なんか見たくない。こればかりはスマートな体質に生んでくれた伯爵家に感謝しなきゃ。
「新作のチュロスもあるから食べに行こ!」
そうしてまた別のワゴンにカミュを連れていく。私がずっと食べたかった新作味のチュロス!それは、
「ポテト味…だと…!?まさか甘くないのか…!?」
「うん」
「そんなものは邪道だぁぁぁ!!!!」
「絶対言うと思った」
絶対美味しいのに。ポテト味のチュロス。せっかく一緒に食べようと思ったのにカミュはポテト味を買わず、結局いちご味を四本買っていた。やっぱり面倒な男だわ。
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