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[14]両親、帰国【予告】
by 雪空桜夜
2011/04/01 12:38
『総務、ペンタクルからの件でお電話です』
「ああ、悪いけど適当にあしらっといて」
『しかし…』
「今この時間に、私達夫婦は有給休暇を取った。意味は理解できるね?」
『…分かりました。いつお戻りですか?』
「そうだね…少なくとも、」

カレンダーに目を向け、赤毛の男は唇の端を上げる。さて、半年振りの我が家はどうなっていることやら。

「二週間はあちらに居るよ」
『分かりました。道中、くれぐれもお気を付けて』
「ああ、ありがとう」

礼を言って電話を切ると、一人の女性が姿を現す。短く黒い髪に赤い目、そして、髪と同じ色合いをした、特徴的な獣の耳。華奢な身体をした彼女は、にこにこと笑って扉を閉める。

「なんですって?」
「有給休暇を取ったって言ったら引き下がったから、大したことじゃないと思うよ」
「あら、そう」

ふわりと広がったロングスカートを片手で押さえて、彼女は笑う。くすくすと、実に楽しげに。
息子によく似たその笑顔に笑い返しながら、男は椅子から立ち上がる。

「帰ろうか、久しぶりの我が家に」
「ええ、皆元気だといいわね」
「私達の子なんだ、大丈夫だよ」

大きめの旅行鞄の中に、幾つも入ったお土産。渡せば、息子は、娘はどんな顔をするのか―…驚く顔を想像して楽しむのは、未だにやめられない。

「…さて、どうなってるかな」

半年振りの我が家は。



>>ペンタクル…米国のえらいとこ。
妄想と空想とが入り混じってはじけました。後悔はしていない(`・ω・´)←


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