voice of mind - by ルイランノキ |
〜KAI Voice of mind〜
アール、
シドの町に寄ったときのこと、覚えてる?
もしかしたら、アールはクロエとのことしか覚えてなかったりする?
あれは忘れられないよね。
俺はね、あの時のことも、忘れるわけないんだ。
俺はアールが強くなっていくことが正直いやで、寂しかった。
アールは俺を置いて、俺に背を向けてスタスタと行ってしまうようで。
背が小さいこととか、アホなとことか、からかえる存在でいてほしくて。俺が守ってあげなくちゃって思える存在でいてほしくて。
でもそれは叶わなかった。
どんどん成長して、俺はアールの背中を見ることが多くなったんだ。
気づいたらみんなの背中が見えているときがあって、俺が振り向いても後ろには誰もいなくて。だから俺がそっと立ち止まっても、みんな気づかずに行ってしまうんだろうなって……。
俺が一番、疑問に思ってた。
でもなるべく思わないようにしてた。強くありたいから。仲間でいたいから。
それでも俺が一番、疑問に思ってた。
アールを支える4つの光のひとつが、俺だと。
なにもできないのに。なにもしてないのに。
カイ、聞いて……?
アールがあの時言ってくれた言葉。
忘れるわけないんだ。
アールも、俺にとって必要な存在だよ。それは選ばれし者だからじゃない。
たとえ違ったとしても……
だけどそれを証明することが出来なくて……
ごめんね。
Thank you... |