voice of mind - by ルイランノキ


 花の故郷24…『voice WEISS』


〜WEISS Voice of mind〜

 
アールがひとりで宿に戻った後、携帯電話が鳴った。モーメルからだった。
 
『あんた元気にしとるんかい?』
 
彼女から連絡があるのは珍しいことだった。
 
「……あぁ」
 
『あの子たちとは上手くいってるのかい?』
 
「どうだろうな」
 
『全く。迷惑だけは掛けるんじゃないよ?』
 
「あぁ」
 
モーメルは第二の母のような存在だった。
 
『支えてやっておくれよ』
 
「なにがだ」
 
『あの子さ。あんたによく似てる』
 
「…………」
 
『心配されるのが嫌いなところがね。まぁあの子は弱いから、上手く隠せずに結局心配かけてしまうんだがね』
 
「用はそれだけか」
 
『……忘れろとは言わないさ。もうそろそろ、前を向いてもいいんじゃないかい? 特に、彼女のことは』
 
「…………」
 
何故、突然そんなことを言い出すのか疑問でしかなかった。
 
モーメルは何かを知っている。
 
それは未来。
私の元を訪れたギルトが見た未来と、私の存在意義。
 
決められた運命に逆らわない為に彼女が助言している。
そう思えてならなかった。
 
進むべき正しい道を知らせている。
そう思わせる力が彼女にあっただけなのかもしれないが。
 
「私が生涯愛するのは彼女、スサンナだけだ」
 
『そうかい』
 
意外にもあっさりとそう返答した彼女は、やはり行き着く先を見越しているようだった。
 

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©Kamikawa
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