voice of mind - by ルイランノキ |
〜SID Voice of mind〜
誰だって言えない闇を抱えている。
ルイの場合、抱えている闇が影響を与えたのは、人に注ぐ愛情。少し、歪みが生じてしまっていた。
お前がそれに向き合ったから、今のルイがいる。
何処に消えたのかもわからないお前の姿を、寝る間も惜しんで捜し続けている。
全ては自分の責任ではないかとさえ思い始めている。別世界への扉を開いたのはギルトの力だが、その後、お前を声で呼び寄せたのはルイだったからだ。
ルイの声に反応し、扉に近づいたお前を引き寄せたのがゼンダの力だった。
過去のものとして扱われる胸糞悪さはよく知っている。
お前にタケルの話をして以来、完全にタケルは過去の人物となった。
タケルの思い出を上書き保存するように、タケルが生きられなかった、叶えられなかった今をお前が生きているからだ。
タケルを思うことで生まれていた気まずさも、話してしまえばすっかり薄れ、時の人となった。
タケルが選ばれし者だったら、なにかが違っていたのかもしれない。
それは正直今でも思う。
お前を認める認めないの問題じゃない。
変えられない過去を悔やんでいるだけだ。
タケルは、死ぬべきじゃなかった。
お前はどう思う。
タケルなら、お前のように逃げたりはしなかったと思わねぇ?
あいつならきっと、今のお前と同じ状況に陥っても、立ち上がる強さと勇気と希望を持ってる。そう思わねぇか?
耳を傾けてみろよ。
あいつの声が聞こえるだろ
俺には聞こえるよ
あいつもお前を呼んでいる。一緒に戦っているんだからな。
第十七章 カスミ街と海 (完)
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