voice of mind - by ルイランノキ |
「今のなに……?」
一行は海の上で小さく見えるグリーブ島の方角を見遣った。
「魔物でしょうか」
「船には結界が張られてんだろ? 襲いに来ても問題ねぇよ」
と、シドは船の縁に寄り掛かり、水平線を眺めた。
「じいちゃんは大丈夫かな」
シオンが不安げに訊く。グリーブ島の方から魔物の声がしたからだ。
「島は安全だよ」
と、デイズリー。「テオバルトさん、もう何年あそこに住んでると思ってんだ」
「そだね」
シオンは笑った。
船尾にいたヴァイスは、操舵室に寄り掛かり、上空を見上げていた。
空を飛び交う魔物の数が増えている。
そしてそれらは旋回しながらグリーブ島へ向かっているようだった。
まるでそこに餌でもあるかの如く。
潮風に乗って人間の血の匂いが流れてきたことに気づいたのは、ヴァイスだけだった。
──シオン
やり場のない悲しみや怒りを感じたなら、
私にぶつけくれてかまわなかった。
全て私のせいなのだから。
でも、お願いだから仲間には当たらないでほしかった。
彼等はただ、巻き込まれただけなの。
私の運命に。
ごめんなさい
シオン どうか
私を許して……
第十六章 百花繚乱 (完)
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