voice of mind - by ルイランノキ


 指名手配47…『アーム玉とは』


──アーム玉。
 
一見、ただの丸いガラス玉に見える。
半透明で色や大きさは様々だった。
 
色によって攻撃の力が宿っているのか、防御の力が宿っているのかがわかるものもあれば、素人では見分けがつかないものまで多種多様だ。
 
攻撃や防御だけでなく、アーム玉によっては自分の武器と合成して特殊な効果を齎すことも出来るし、力だけでなく“記憶”を保存しておくことも出来るし、戦闘力や防御力のレベルを上げることも出来ると、ルイが話していた。
 
例えば 火 の属性の力が宿っているアーム玉と自分の武器を合成すれば、火に弱い敵に対して火属性の攻撃が出来る。
 
でもどんな武器にも使用出来るわけじゃない。
あくまでアーム玉には生前生きていた人間の念いと共に力を宿したものだ。相性が悪ければ使い物にならないこともある。
 
要するに一言でアーム玉と言っても、種類は数多く存在し、使い道も様々だということだ。
 
沢山あったからといって一度にいくつものアーム玉を使えるわけでもない。
自分や武器との相性もあれば、アーム玉同士の相性もある。
 
反応してくれるかどうかはアーム玉次第だ。
 
旅人は大抵、旅に出る前に魔術師の元へ訪れ、自分のアーム玉を作ってもらう。
アーム玉には見えない自分の名前が刻まれ、名前を刻まれたものの命が尽きる頃に、世に残したいと望む力だけを宿す。
 
 
はじめはアーム玉の話を興味深げに聞きながら、ノートに書き留めていた。
 
でもいつの間にかその手を止めていた。
 
考えたくないことが、脳裏に浮かんだ。
縁起でもないことが、脳裏に浮かんでしまった。
 
それを察したのか、ルイは言った。
 
「僕たちも自分のアーム玉を持っているのですよ」
 
 
──もしも死んでしまったときの為に。
 

第十一章 指名手配 (完)

[*prev] [next#]

[しおりを挟む]

[top]
©Kamikawa
Thank you...
- ナノ -