voice of mind - by ルイランノキ


 捨てた想い16…『voice RUI』

 

〜RUI Voice of mind〜

 
アールさん
貴女が泉へ飛び込んでしまったのは、きっと僕らが時間がないと言い続けて、急かしてしまっていたからでしょう……。
 
僕はあのとき、信じようと、そう思ったのに、
心に浮かぶ思いは、矛盾していました。
 
貴女が二階で休み、シドさんが外へ飛び出した日、僕はカイさんと、これからのことを話しました。
 
勿論、ヴァイスさんを仲間に入れることも、考えていました。
 
でも、頭で考えるばかりで、行動には出せなかった。だから貴女は飛び込んでしまった。
僕らが貴女を、追い詰めていたんですね。
 
信じよう。
そう思って泉の前で待つことにしたのに、不安は消えませんでした。
もう、会えないような気がしていたのです。
 
後悔ばかりが、根付いていきました。
 
どうしてもっと、貴女と向き合うことが出来なかったのか。
どうしてもっと、貴女を知ろうとしなかったのか。
 
僕は貴女を支えたいと思いながら、貴女に近づくことを恐れていたのです。
脆く繊細な貴女に触れるのが、怖くてしかたがなかった。
 
僕は
貴女を失うことに怯えていました。
 
貴女がいなくなれば世界が終わるからではありません。
 
自信が、なかったのです。
守りぬく自信がなかったんだ──
 

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©Kamikawa
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