voice of mind - by ルイランノキ


 声涙倶に下る14…『voice SID』


〜SID Voice of mind〜

 
信じていたものが、信じたかったものが崩壊した。
息が熱い。殺してやりたいと思った。
俺が魔物だったらとっくに噛み殺しているところだった。首を刎ねてやろうと襲い掛かった俺にはまだ理性があった。幼かった頃に向けられたワードとベンの笑った顔が脳裏にちらついて鬱陶しかった。記憶の中からも抹消してやりたかった。
 
例え刀が喉を貫いてもそれで満足できるわけがなかった。何度も首に刀を刺して、原形が無くなるほど顔面を何度も蹴り潰して、後は燃やしてしまいたかった。骨まで。
 
姉を信じなかったのは
魔物に襲われた挙句に男にまで襲われたなんて残酷すぎるからだ。
そんな過去は嘘であってほしいと思ったんだ。
ワードやベンに対して信じたいと思ったのはエレーナやヤーナが慕っていたからだ。
 
全部丸く収まればいい。
そう願っていたんだ。
どこかでそうなればいいって。

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©Kamikawa
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