1. これは現実ですか


「すごぉい…濃厚で美味しい
ザーメンがたっくさぁんっ!」

「コイツは上手く躾られたな、もう家畜同然だ…」

「ああ…私が家畜…どうか皆さんで
可愛がって下さぁい…!」

「いやいやこんな下品な牝穴じゃあ…
高貴で”美食家”な俺達はとても
リピートする気は起きないんだよねぇ」

「下衆で庶民な尻軽女のクセに
本来俺達に肉穴玩具として使われただけでも
感謝すべきだよなぁ?翔央」

望月 花音は
親友が3人の男達によって堕ちていく様を
成りの果てを…

薄暗くジメジメとした地下牢らしき場所に
鎖で繋がれたまま、ただ呆然と
見届けることしかできなかった…


深夜0時、来月の試験に備えて
何度も課題曲の譜面や音源を確かめていたところ
突然、親友の梨花から電話が掛かってきた

「《たっ助けて花音っ!いま六本木に
いるんだけどーヤバい人に絡まれちゃって
クラブから抜け出せないのーっ!》」

同じ音大生で同期の南條 梨花
家は私と違って裕福な家庭のお嬢様
幼い頃からバイオリンを習っていて、バイオリン専攻

才能は周囲にも認められてるんだけど
最近はとにかく夜遊びが派手
本人によると感性が磨かれるんだとかなんとか…

『またこれから知り合ったばかりの人達と
飲みに行こうって人数合わせの誘い?』

「《いいじゃんーたまには花音も息抜きしなよぉ
今から行く予定の店、プロのジャズピアニストも
いるみたいだよ〜ん》」

ピアノ専攻科の私にとって
ジャズピアニストというのは少し引っかかった
今日はバイト休みだし勉強したかったけど…
試験前に一息、気晴らしに飲みに出掛けてみようかな

薄手のグレーのジャケットに黒い無地のタンクトップ
下はタイトな白いパンツにぺたんこのパンプス
いつもはただの黒髪ストレートだけど
お洒落のつもりでシュシュをつけてポニーテールにした

「おーっ早いねぇ!てかもうちょっと
格好気合いいれようよぉ〜」

胸元をがっつり開けたワンピースに
歩けるのかってくらい高いピンヒールの梨花

夜遊びには不向きな格好だと指摘されるも無事に合流
普通の大学生っぽい男子3人に
梨花の遊び仲間の女子が1人

てっきり例のジャズピアノのお店へ行けると思いきや
今日は休業日ということだったのであえなく解散…
かと思いきや、梨花に手を掴まれ苦手なクラブへ
強制連行されたのは、これで三回目

「あんのねぇ、まら飲み足りなのよぉふぅ!」

『梨花、アンタもう呂律回ってないじゃん
友達も帰っちゃったし私達二人っきりだし
タバコ煙たいしもう帰ろうよ…』

私の呼びかけには全く対応しない、カウンターで
テキーラをショットグラスでぐいぐい飲み干す梨花

いくら小学校からの長い付き合いとはいえ
成人したばかりでイケイケの酔っ払いの相手なんて
いい加減こっちの身にもなってほしい

「君達さぁ、ずっとカウンターで飲んでるよね?
お酒好きなの?」

そこへ突如現れた1人の男性
金髪で身なりはチャラそうだけど
俳優でもやっていけそうな位の端正な顔立ちに
モデルばりの抜群の脚長スタイル

今まで出会ったことのない人種の美形男性に
思わず花音は魅入ってしまった

「へぇーショットグラスでテキーラ?
何か忘れたいことでもあったのぉ?」

さらに後からやって来たのは
短い黒髪をピンと立ててセットした
サーファー系?の小柄な男性

陽気な雰囲気で人当たりも良さそう
それでも手首にはいかにもな高級時計が光っていて
やはりクラブ通いの人って別世界の人だなと

「だったら場所変えて一緒に飲み直さない?
いい店連れてってあげるよ」

3人目に現れたこれまたイケメンは
眼つきがキリッとして凄味があるというか
見た目はシュッとしたホスト風でスーツを纏った男性
髪色は金と銀の間くらいの明るめのアッシュ

この人達ってやたらと身なりがセレブっぽいけど
夜の職業の人?業界人?ただの社会人なのか?

「はぁーい行きますー!飲み直しますー!
もぅ何処へでも連れてってくださぁい!」

ベロンベロンの梨花は誘われるままに
自分から大胆にも会ったばかりの男性に
身体を擦り寄せたりとか腕を回したりとか

さすがに心配だった私は保護者として
とりあえずついていくことにした


ーこの時、全力で連れ帰ってさえいればー


案内されたのはすぐ近くのビルに入った
木目調で外国っぽい雰囲気のいいBAR
なんと3人目に現れたアッシュ髪の方が
このバーのオーナーだという

「ああ、ちゃんとした紹介がまだだったね
僕は宮野 朔夜、歳は23だけど2人は?」

私と梨花は揃って20歳と答える
自分と3つしか変わらないのに大人びていて
六本木でバーの経営までしてるなんてすごい!

「俺は風間 薫、女みたいな名前でしょー!
呼び方はかおちゃんでいいよーん!
朔夜の1コ下で梨花ちゃんらの2つ上ー!」

楽しくと自己紹介してくれたのは
サーファー系?の小柄な男性
年上だけど人懐っこくてお茶目で
顔もなんだか可愛い系で年上女性にモテそう

「で、花音ちゃんはお酒強いんだね…?
全然酔ってなさげだし」

金髪美形の男性にジッと見つめられて
花音は思わずドキドキしてしまう

いやさっきからテキーラとまではいかないけど
ロックのウイスキーとかぐいぐい勧めらるから
これでも相当酔ってますよ?

『結構ワタシ、酔ってますよ…?
顔とかは赤くならないんですけど…急に来るんで…
あの、お名前聞いてもいいで…?』

ガタンッ

話し終える前にいきなり意識がふっ飛んだ
急に酔いが回ってきて視界がグラグラして…
後の記憶はない

「オレ?俺は相沢 翔央
いっやー本名名乗ったの久々だわー」

遠くで誰かの笑い声がする、気持ち悪い、吐きたい
それでもそれを遂行する気力はない


数時間後、目を覚ますと
両手は天井から鎖で繋がれた
冷たい手錠によって拘束されていた

辺りを見渡すと怪しげな拷問用具や卑猥な玩具
拘束具などが並んでいる
怖い映画で見るような地下牢だった

『だれかっ!誰かいませんかーーーっ!』

しばらく恐怖のあまり声も出なかったが
勇気を振り絞って助けを求めた
しかし、自分以外の人のいるような気配はなく
重厚な鉄壁によって音も遮られているだろう

窓もなく唯一の逃げ道といえば
目の前にそびえる鉄の扉
見たところ鍵穴はあるみたいだけど
施錠はされているか分からない

この手の拘束具さえどうにかなれば希望はある

私は祈るように扉を一点に見つめ
鉄の鎖によって拘束されている両手を
がちゃがちゃと揺さぶった

ガチャリ

「あれー随分と回復早いねぇ?
やっぱお酒強いんだ、花音ちゃん」

あの金髪美形の男が、扉を開いてやって来た



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