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地味に地味に


敵を作らず平和に過ごす





それは簡単そうで意外と簡単ではない。





ハッキリ言って無理をしてる





ナゼなら本当の私は





こうゆうタイプではないから。










「マキー、こっちこっちー!!」



午後9時。
新宿アルタ前。



私は中学時代からの友人、奈津美と待ち合わせをしていた。







「ごめーん、待った?」

「平気、あたしも今来たとこだから」

「支度に手間取っちゃって…」

「あはは、だよねー。アンタわざわざ着替えてんだもんね」






そう、私はさっき駅のトイレで着替えをした。




学校での私は国語の教師、仲村マキ。


今ここにいる私はただの女、仲村マキ。






髪形を変えて化粧をして



服も靴もストッキングの色も




全部変えた。




誰が見ても私があの高校教師だなんて分からない




これが本当の仲村マキ。








「マキの口癖“無難に生きる”って言ってるけどさ、教師ダルイんじゃない?」

「ダルイに決まってるじゃん。なんとなく親が教職だったから教員免許取っておこうってくらいしか思ってなかったのに」

「そう思うあたり実はマキって真面目だよね」

「真面目っていうか…安定した職にはつきたかったからさ…一応…。
だから公務員狙って、たまたま持ってた教員免許が役にたったってわけ」

「アンタってさ、なんだかんだで面倒な道に行くよね。高校の時もさ、誰だっけ?何か告ってきた男と色々あったよね」

「……忘れたよ、そんなこと」






ダラダラと話しながら居酒屋へ向かった。



だいたい金曜の夜は奈津美や、私の素を知ってる友人と飲み明かす。


こうして1週間分のウップンを晴らさないと死んでしまう。







今日も私はここぞとばかりに飲みまくった。









「はぁー、風がキモチー!!」



時刻は深夜0時。


居酒屋を出た私達は次の店へ向かうため新宿の歌舞伎町通りを歩いている。







「マキ、どうしよっか次」

「ん〜、バーとか行っちゃう?」

「お!!いいねぇ〜!!あたし格好いいバーテンダーいるとこ知ってるよ!!」

「マジ!?そこ行こう!!!」





ほろ酔い気分でノリノリで私達はバーに向かった。



その時、







「お姉さん達、ちょっと遊んでこーよ」



と、ホストに声をかけられた。







「えぇ〜、ホストぉ〜?」



眉間にシワを寄せながら今時のギャル男風味の男を睨む奈津美。


私もハッキリ言ってギャル男には興味がない。







「そんな嫌そうな顔しないでさ、絶対楽しいから」

「んー‥どうする?マキ」

「別にどうもこうも…奈津美が行きたいんなら付き合うけど…」

「あたしはカッコイイ子がいるんならちょっと行ってもいいかな」




そう言った瞬間






「いますよー!!最近入った新人メチャメチャ男前ですから!!!」




そう言って呼び込みのホストにまんまと連れて行かれた。




ホストクラブか…





何回か行ったことあるけどあまり楽しかった経験ないんだよね…。






「つまんなかったらすぐ出ようね」
「もちろん」



店に誘導されながら私達はそんなことを話していた。






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