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- 番外編@ girl's side 2/2
(結局…あたしもそうなんだよね)
付き合う事になったから、余計に仕事に熱心になる。
今以上に業績をあげて、付き合ってる事が分かった時、誰にも文句を言われないように
真剣に仕事に取り組みたい、あたしもそう思う。
机の上に山積みになっている書類を眺めて、一呼吸する。
「やってやる」
「おう、頑張れ」
気合を入れて、腕まくりをすると、如月は穏やかに笑いかけてくれた。
あぁ、もうこの笑顔だけで許せてしまう自分が情けない。
結局は惚れた弱みってやつです。
昼休み、エレベーターに乗って食事を買いに行こうとした時、ドアが閉まる寸前で如月が入ってきた。
「1階で大丈夫?」
「あぁ」
エレベーターで二人きり、何故か妙に緊張して、奥の壁に二人距離を取ったままよっかかっていた。
エレベーターの階数ランプがゆっくりと1階に向かって下がっていく。
その様子をじっと見つめていると、1階に着く寸前で目の前が暗くなった。
「好きだよ」
そう耳元で囁かれたかと思うと、如月の唇があたしの唇に触れた。
ちゅっとわざと音を立てて、軽いキスをされた。
「な、な、なーーー!!」
「今夜、俺の家こいよ?」
あたしの返事も待たずに、ドアが開いた途端に如月は出ていってしまった。
あたしは予想外の如月の行動にただ唇を押さえて、エレベーターの中で固まってしまった。
す、好きだよって
俺の家こいって
散々オフィスで冷たい口調だったくせに、二人きりになるとそんな優しい声で、囁きであたしを誘うなんてずるい。
胸がしめつけられるように苦しい。
キスされた唇が熱くて、眩暈がしそうだった。
愛されてるって実感
このギャップに、あたしは一生囚われたまま…かも。
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