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「マジでビビッたかんね。まさかあの地味で絶対に処女だって言われてる国語教師仲村マキが実はホストクラブに出入りするような派手な女だったなんて」

「ちょ…っ!それはこっちのセリフよ!アンタなに年ごまかしてホストなんてやってんのよ!!!」

「まぁ色々事情ってやつがあるんですよ、せんせ」

「しかもここってアパートだよね?大企業のお坊ちゃんが何で一人暮らしなんか…」

「だから、事情があるって言ってんじゃん」




私の発言がお気に召さなかったのかツンとした態度をとられた。

確かに深入りは無用。


私はもう誰とも深く関わり合わないって決めたじゃないの。






「まぁそうね。じゃぁ取引は成立ね」

「取引?」

「そうよ。あたしはアンタがホストをしてるってこと誰にも言わないからアンタも私の素は忘れなさい」

「本当はケバイ姉ちゃんだってこと?」

「ケバイって言うな」



思わずバシッと頭をはたいてしまった。


するとちょっと悪戯っぽい表情で


「色っぽいお姉さんだってこと?」


なんて言い直してきた。







「黒い下着つけてるなんて絶対誰も想像つかねぇって」

「っ!!!」


自分が下着姿だってこと忘れてた!!






「おまけに結構スタイルいいし」

「ちょっと、何見てんのよ」

「何を今更。さっきまで俺に抱かれてたくせに」


「………は…?」




だ、抱かれて……たっ!!!?






「うそッ!!!!」

「うん、うそだけど」

「………」





コイツ…絶対にからかって遊んでる…。






「あははっ!マジで焦っちゃってうける!!別に俺、意識無い女やるほど飢えてませんから」

「はいはい」

「服はしわになったら可哀想だから脱がせてあげたんだよ」

「さすが人気ホスト、女の扱いに慣れてるね」




17のガキのくせに。





「服がしわになったら“マキさん”すげぇ怒りそうだし」

「その“マキさん”ってやめてくれる?親しくもない男に名前で呼ばれるとイラッとくるの」

「あ、そう。じゃぁ何?仲村先生でいいの?」

「そうよ、あたしとアンタ…瀬戸くんは教師と生徒の関係なんだから」

「昼間は、でしょ?」

「は?」

「きっとまたヒカルに会いたくなるでしょ?ねぇ、“マキさん”?」





……それは無い


と、何故か言えなかった。






思えば親しい友達以外とこんなに長く親密に会話をしたのは久しぶり。



瀬戸和樹だって私のこと“マキさん”は別として“仲村先生”とも呼んだことはきっと無い。

聞いたこと無い。



私、コイツに初めて先生って呼ばれた気がする。







「ねぇ」

「何、先生」

「シャワー借りてもいい?」

「別にいいけど」

「シャワー浴びたら始発で帰るから」

「そんなに慌てて帰らなくてもいいよ。どうせ夜までバイト無いし」



また今日もホストあるのか。

何だか大変なのね。





「とにかく、大人の女性として一人暮らしの男の家に長居するわけにもいかないからね」

「泥酔してタクられた女が大人の女性なんてよく言う」



カチンッ

ちょっとカチンときちゃいました。





「アンタなんてあたしから見たら8つも年下の可愛いお子様なんだから。偉そうなお口叩くんじゃないの」

「俺、バイトして自活してる大人の男だけど?」



子供扱いされてむきになって、そういうところがまた子供っぽいのよね。

本当男ってプライドばっか高いヤツ多いわ。






私はベッドから立ち上がるとブラジャーを外しながらお風呂場へ歩いた。

自分は瀬戸和樹を男扱いしない余裕ある大人の女アピールをするために上半身を露にしてみせた。



はたしてそんな私の行動は大人の女性と呼べるかはさて置き



教師、仲村マキ
生徒、瀬戸和樹


お互い秘密を共有する間柄になってしまった



まさかの遭遇。







NO1 END

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