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連載主とサッチとマルコ
2010/08/19 02:52
「あ!こら!チビ!」
おれは思わず、声を上げた。
チビはなにがなんだかわかっていないようでドアの前に突っ立ってきょとん、とした顔をして首を傾げた。
その表情と仕種はなんとも言えない感じに可愛い。
ああ、今日もかあいいなあ。
…って、そうじゃないだろ、おれ!
思わず緩みそうになった顔を引き締めて、いまだにきょとんとしているチビの前にしゃがみこむ。小さな両手を握って、チビの目をじっと見る。
これ、おれが研究に研究を重ねた子供を叱るときのベストスタイルだ。
「チービ。ドアを足で閉めたらダメだろ」
ぱちくりと瞬きをして、数秒間チビが固まった。これはチビの癖みたいなもんだから、何も言わずに待ってやる。
マルコ曰く、言われた言葉を理解している時間、とのことだ。
「あ」
「ん?」
しょぼんとチビの眉が下がった。
「ごめんなさい」
「もうしちゃダメだぞ?」
「うん」
「よし!チビはいい子だなー!」
ぎゅーっと抱きしめてやると、チビも抱きしめ返してくれた。うん。やっぱいい子だ。
そのままよいしょ、とチビを抱き上げて、ドアから離れると、ちょうどドアが開いてあの特徴的な頭が見えて足を止めた。
「よぉ、マルコ」
「まるこだー」
「ん?ああ、サッチ…とチビ助かい」
書類片手に相変わらずだるそうな感じで眉を上げた。
そして…
ガンッ
と、足でドアを閉めた。
しん、と沈黙する。
もちろん、その行動を見ていたのはおれだけじゃなくて、チビも見ていたわけで。
「っお前なぁあああ!!」
問答無用でパイナップル頭をひっぱたいた。
子は親の背中を見て育つものです^^
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