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そしてまたさよならを引き延ばすのだ




傷付いた手持ち達を回復させポケモンセンターを出ると、既に空は青から橙に色を変え始めていた。

「そろそろ、帰らねばならぬな…」

半歩遅れて出てきた彼女がそう呟く。その表情が何処と無く寂しそうに見えるのは自惚れすぎだろうか。
寂しいかどうか尋ねる勇気は、未だ無いけど。
一瞬目を逸らした隙に、彼女はいつもの凛とした表情に戻ってしまった。
あまり感情を表に出そうとしない彼女からすれば先程の表情は珍しいものだったので、少々残念だ。

「今日は急に押しかけてしまってすまなかったでござるな」
「良いんだ、気にしないで」

丁度非番でやることなかったから、と笑いながら返すと、ほんの少し微笑み返してくれた。
それだけでどうしようもなく嬉しいと思ってしまう自分に内心苦笑する。
じゃあ、とボールを投げようとした細腕を、オレは無意識のうちに掴んでいた。
冷たくなりつつある風が髪を揺らす。

「ハヤト殿?」

ほんの少し首を傾げてオレを見る黒い瞳に心臓が跳ね上がる。
しかし今はそれよりも自分の行動に理由をつけなければ。

「あー…と、折角だし、夕飯食べて帰らないか」

即興にしては中々理由付けだったと思う。
彼女はきょとんとした顔をしていたが、やがてこくりと遠慮がちにではあるが頷いてくれた。



そしてまたさよならを引き延ばすのだ



(出来ることなら、さよならはしたくないんだけど)



タイトル:青春

左見右見の云々様へ。相互有難うございました!








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