旧 | ナノ

俺と彼女とその彼氏


「何か、意外だったなぁ」

オレの呟きに緑と青の瞳が一対ずつ此方を向いた。
どちらにも疑問が見て取れたのでオレは言葉を続ける。

「いや、まさかグリーンとブルーが付き合い始めるなんて」

二人がくっ付いたのはごく最近。
ブルーがグリーンに好意を寄せているのは知っていた(というか自分で言っていた)が、それをグリーンが受け入れるとは予想外だった。
そこでふと思った事をグリーンにぶつけてみる。

「グリーンがブルーの何処を好きになったんだ?」
「何処、と言われても」

真面目に考え込み始めたグリーンを見つつ、ブルーとオレは返事を待った。
しかし中々回答は得られない。
最初はわくわくした表情だったブルーも段々と不安気な表情へと変わっている。
まさか何処も無い、なんて言わないよな、と考え始めた頃、漸くグリーンが口を開いた。

「…駄目だな」

その返事にブルーが一瞬びくりと肩を強張らせたのが判った。
しかしその後に続く答えは悲観的なものではなく。

「多過ぎて一つに絞れない」

全部ひっくるめてって事じゃ駄目か、と問いかけるグリーンにブルーが飛び付いていった。
そんな様子を見てオレはほっと安堵の息を吐く。
普段のグリーンの様子を知っているからこそ色々と不安だったが、余計な心配だったようだ。


彼女その彼氏


何だかんだで彼は彼女に優しい。







prev next