LongTime【R-18/佐倉×日夜】(2)








「なんなんだよ!!」



「いっ…!!」




豹変した俺の顔を見た日夜さんは驚き目を見開くと、掴んでいた手を離しズズっと後退した。
俺はすぐ日夜さんの腕を掴み返すと、加減できなくなった力で日夜さんの手首を握りしめる。

日夜さんの目尻に、涙が溜まった。



でも暴走してしまった俺は止める術がわからなくて、そのまま床に日夜さんを押し倒した。
俺を見上げる日夜さんの目は、まだ見開き怯えている。



「……ずるい…ずるいよ……」


「さくっ佐倉っ」


「……年上はみんな勝手だ」


「?…さっ…ちょっ!!」



強引に日夜さんの腰を掴みうつ伏せにすると、ベルトのバックルを外し一気に下着ごと引き抜いた。

下半身だけが丸裸の状態。
ちょっと、震えている。

床に肘をついて体制を変えようとしているけれど、汗で滑ってしまいうまく起き上がれないようだ。



「………」


「さっさっさくっさっ」


怯えている。
言葉が、言葉じゃない。


だけど俺は日夜さんを四つん這いにさせると、汗でしっとりしている日夜さんの尻に舌を這わせた。



「ひっ…!」


ビクっと、下半身が揺れる。

緩く尻を揉みながら尾てい骨を舐めていく。
これからナニをされるかわかってるんだと思う、段々日夜さんの前が元気になってきた。




「…ヒヨさん、もう前形変わってきてますよ」


「っ…言うっなっ」


「そんな淫乱になって……俺がいなくなったらどするんですか?一人でどうにかするんですか?」








それとも、違う男を探すのか。








「っ…!」


「えっさくっ佐倉?」




自分で言って、その言葉に嫉妬した。





「あっあっ!やめっあっ!舐めっ…そんな舐めんといっ…あぁっ!」


二つの丘を割ると、ヒクヒクと動いている蕾が見えた。
やらしく、誘ってる。


俺は舌を尖らせその蕾に軽く突き刺した。
にゅるっと、安易に俺の舌がソコに入る。



「んんっ!んっ!や…あぁっ!!」


「…嫌って…腰浮いてますよ」


弓なりに腰を曲げて尻を突き出すと、床に叫びながら悶え震えていた。

さらなる刺激を、待ってる。


グニグニと入り口を揉みほぐしながらさらに舌を進めていくと、たっぷりの唾液を注ぎこんで人差し指を一本中に押し込んだ。


「んんっ!」


日夜さんの腰が跳ねる。


口を離して後ろから日夜さんを見つめると、尻を俺に突き出し前を精液で垂らし悶えていた。

こんなにやらしい体なのに…

こんなやらしい体にしたのは俺なのに…




「……入れるよ」


「えっむっ無理っ…全然慣らしてっ」


「毎日ヤってるし、今日の昼もヤったから大丈夫でしょ」


「やっ怖いっ怖い!佐倉!」


「………」


「っ………」




日夜さんは汗で滑る手を必死に踏ん張りながら上体を起こし振り返ると、全く笑っていない俺の顔を見て青ざめた。
ガクガクと震え、その振動でバランスを崩し顔を床にぶつけてしまった。


ゴツン、と鈍い音がしたけれど、もう、遅い。




日夜さんの腰を掴み持ち上げると、パクパクと息をしているその蕾に俺の先端を押し込んだ。



「っ…いっ…痛いっ!」


「つっ……」



やっぱ、きつい。


日夜さんのソレは完全に萎えてしまって、フヨフヨと情けなく宙をさまよっている。
俺は日夜さんのソレを掴み擦り始めると、段々力が抜けてきたからか苦痛の声から快楽の声に変わってきた。


蕾も、入り口の所で突っかかっていたけど徐々に緩んできた。
唾液を蕾に垂らし潤滑油に使いゆっくり奥へ進める。



「いっ…あぁっ…んんっー!」


「…入って…いきますね…」


「っ…!!」


「わかる?っ…あんま慣らしてないのに…こんな奥まできたよ」


「ふっ…うっ…うっ」



感じ始めているんだろう。
声が甘くなってきた。


「……ほら、ココでしょ?ヒヨさんが好きなとこ」


「っあぁっ!!」



先端で日夜さんが喜ぶ所をつついてあげると、中が収縮し腰がまた飛び跳ねた。
擦り続けていた日夜さんのソレもどんどん硬度を増し、先走りの液で潤い始めた。

汗と精液が混ざり合って、ナニがなんだかわからない。

俺の気持ちもナニがなんだかわからない。



「…動くよ」


「あぁあぁぁっ!」



日夜さんの肩を掴み一気に最奥へ突き刺すと、イったかと思うほど高い声が部屋中に響き渡った。
まだイってはいないみたいだけど、日夜さんのソレが一気に大きくなっている。


「っ…まだ、まだ」


「あっ!あっ!やめっ!!そんなっ!突かんといて!あぁっ!脳みそっおかしっく…なっあぁっ!」



グジュ、と空気と液体が混ざる音が鳴り響き、卑猥に俺たちの温度はさらに上昇する。
お互い、汗でびっしょりだ。





もう、泣いているかもわからない。




「っ…いやだ…嫌だよひ…よ…さん」


「っあっ…あっ……?佐…倉?」









「俺を捨てないで」








「なっ…何がやーーーー!!」


「いてぇええええええええぇえ!!」




きつく、中を締められた。



「てっ!不能になったらどうしてくれるんですか!」


「おっまえなぁっ!!」



「っ……はい」



日夜さんは繋がったまま床に手を付き少しフラフラになりながら振り返ると、俺を汗と涙でボロボロの顔で睨みつけた。



「捨てられるのは俺!捨てるのはお前!」



「………は?」



今の日本語?
って、前にも言った気がする。






「俺とお前、共通点って学校が同じ、ってことぐらいやろ。だから俺が卒業したらお前はきっと俺なんかの事忘れてしまって可愛い女の子と付き合うんや」


「ま、待ってください。そんな話いつしました??!」


「してへん」


「じゃあ誰がそんな事言ったんですか!」


「すべて俺の妄想」



「もっ………」







カチン、ときた。





再び日夜さんの腰に手を回すと、汗と熱気で若干目眩がしてきた中律動を再開し始めた。


「あっ!あっこら!あっ!」



日夜さんはまたバランスを崩し汗で滑っている。
頬を床に押し付けてやめろと叫んでいるようだけど、もう聞いてあげない。




でも、さっきとは違って、今度は優しく、日夜さんが好きなところを重点的に。




「あっあぁっ!やっ!そっ!そこあかんっ!無理っ!そこばっか突いたらっあぁっ!」


「ココ、大好きですよね」


「あぁっ!!」


無理、やめて、と言いながら腰を突き出し一緒に動いている。
グネグネ動く日夜さんの中は最上級で、もうこの人以外とセックスできないんじゃないかってぐらいこの体に溺れている。



「…ヒヨさんの中…俺の形にしてください」


「あっあぁっ」


「他の人のが入れないぐらい、俺だけのココにしてください」


「あぁっ!あっ!やっ!そんなっ…!お前以外と…!あっぁっ!したくっ…なっ…無いっ!!」


「っ………」




ぎゅっと、奥を締められた。
体も脳も刺激的で、このまま何十時間だって繋がっていられる。


「っ……とりあえず…一回終わります…けど……後で説教しますからね」


「あっあっ何っなっ…ナニっ…あっあぁっ…もうっもっ……気持ちイイイイイイ!」


「っ…………」






体中の体液という体液をお互い放出しながら絶頂を迎えた。



























「………」


「………」


「………」


「………」


「………」



セックスを終えた俺たちはそれぞれ風呂に入った。
待ってる時の気まずさはハンパない。

そして今は、二人とも上がってテーブルの前で向き合っている。


かれこれ10分ほど沈黙だ。






「……佐倉」


「はっはいっ」



突然だったから声が裏返ってしまった。



「…始末…ありがとう」



「あー……いえ」




部屋のフローリングが体液でひどいことになっていた。
日夜さんがお風呂に入っている間に掃除をしたわけだ。

その、ありがとう。




「………」



「………」



「………」



「………」





そしてまた、沈黙。




「…佐倉」


「……はい」


「お前は…俺のこと好きか」


「…は?」


「好きか?」


「……好きです」


「………うん」










「わかっててん…ちゃんとお前が俺の事好いてくれてるって…。でもやっぱ俺は男やから……」


「そんなの、今更じゃないですか」


「そう…やねんけど」




日夜さんが出してくれた冷たいお茶の氷が溶けてカラリと音をたてる。
やっと入った冷房だけど、なんだかまだ暑い気がする。




「でも…俺ほんま普通やし…でも佐倉はすごいし」


「俺も普通です」


「普通ちゃうよ…。バスケめっちゃうまいし、かっこいいし、なにやってもできる」


「………」


「今は…毎日学校で会うから俺の存在に気づいてくれるけど、俺が高校卒業して、会う機会少なくなったら俺の事なんか忘れてしまう…と思う」


「………」




カラン。
また、氷が音をたてる。



「俺ほんま…自分に自信無いから……会う機会少なくなってもお前に好きって言ってもらえる自信…ないねん」



「………ヒヨさん」



「は、はい」


「それってさ、俺の意思を全く無視してるよね」


「………」


「いつ、会う機会少なくなったらヒヨさんのこと忘れるって言った?」


「………」


「いつ、好きじゃなくなるって、言った?」


「………」





「俺の気持ち、そんな軽いって思ってたの」


「さくっ」




俺の顔を見た日夜さんは、ゴクリと生唾を飲んだ。

自分でもわからなかった。


俺、気がついたら泣いていた。




「っ…さっ佐倉っ……」


「………っ…ごめん、泣くつもりはなかったんだけど」



自分の手の甲に雫が零れてやっと泣いていたことに気づく。
鼻をすすりグっと手の甲で目を抑えると、ガタンっと激しい音がした。



「?」


「佐倉っ!」




気がついたら目の前でテーブルが倒れお茶の入ったコップが宙を舞っていた。


そしてすぐ、目の前に日夜さんの顔があった。




「ごめん!ごめん!俺…そんなっ…そんなつもりなかってんけどっ…ごっごめん!」


痛いぐらい抱きしめられ、痛いぐらい耳元で叫ばれる。
正直体も耳も痛いんだけど、不思議と涙が一瞬で止まった。

俺も日夜さんの背中に手を回しぎゅっと抱きしめ返すと、鼻をすすりながら鼻声で声を絞り出した。






「卒業しても、ずっと一緒にいてくれる?」


「んっ!うん!!」


「絶対?」


「うん!!」


「……ありがとう」


「うん……」



「…ヒヨさん」


「…ん?」


「今日痛くしてゴメンね」


「……うん」














ヒヨさんが学校にいない生活に不安が全くないというわけではない。
ヒヨさんは介護士っていう夢があるし、そのためには勉強もしないといけない。
会える時間が今の半分もしくは半分以下になってしまうかもしれない。

でも、一緒にいたいんだ。



ただ、それだけ。













「佐倉」


「はい?」


「お前が高校卒業したらな…」


「はい」


「一緒に暮らそうか」


「……はい!」


「……頑張ってお金貯めような」


「はい!」







俺たちは、まだまだこれからだからね。


END

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