10
「おかえり。長風呂だったな」
「ん」
拗ねてる?
一瞬声がいつもより半音低く、拗ねている時の声だと思ったが頬が赤く少しのぼせたのかと有志は思った。
部屋にあったうちわを持って優しく智希にあおいであげると、その熱くなった手がそっと有志の手首を掴んだ。
「っ……風呂…入らないと」
「少しだけ」
「それ、昼間も言ってた」
二度目は無い、とうちわで軽く頭を叩くと、今度はあからさまに拗ねる表情をする。
有志はクスリと笑って、用意していた着替えを持ち部屋を出た。
「勝手にウロウロしたらダメだからな。おとなしくしとくんだぞ」
「子どもじゃねーし!」
あはは、と、ドアが閉まる音と共に声が響く。
ふと廊下から見える中庭を見ると、ゲリラかと思われた空模様はまだ降り続いていて、黒い雲はまだ分厚くなかなか抜けてくれそうになかった。
その後早めの夕食を頂き、山の幸と海の幸で満たされる。
案の定、今年も腹がはち切れるほど食事を振る舞われ、有志には女将からうまい日本酒を出された。
目を輝かせる有志だが、智希も別の意味で目を光らせ丁重にお断りを入れる。
「すみません、父はお酒飲んじゃダメなんですよ」
「あらら。お若いのに肝臓かい?」
「あ、その、そういうんじゃ…」
「はい、ダメなんです」
「はい………ダメ…なんです……」
酒を飲むと豹変するだけであって、元々嫌いではない。
地酒だという透明の液体を見つめては智希に懇願するのだが、なかなかお許しの言葉は聞こえてこない。
食器をかたし始めた女将を見ながら、こそっと智希の耳に顔を寄せる。
「お酒って、水で決まるんだよ。ここのお水凄くおいしいだろ?だから凄くお酒もおいしいと思うんだ」
「だから?」
「の、飲みたいです」
「ダメです」
「暴れるわけじゃないからいいじゃん」
「飲んで俺に甘えていいの?俺はいいけどね。俺に甘えて、キス迫って、なんなら足開いて俺の股間に…」
「んああああああ!!」
「?どうかされました?」
「「なんでもないです」」
「やっぱり親子ですね、よう似てらっしゃる」
「…………俺はいいけどね」
「すみませんでした」
観念したのは有志だった。
「まだ降ってるね」
「天気予報晴れだったのになー」
「まぁ明日の朝には止んでるでしょ」
「………そうだな」
そうか……父さんは今年も…。
みんなが寝静まったあと、再び母さんのお墓に一人で行くんだ。
ぎゅう、っと胸が苦しくなる。
止めるべきか。
一緒に行きたいと告げるべきか。
夫婦水入らず…だもんな。
やはり故人には、母親には、一生勝てない。
「……父さん」
「んっ…」
食器が片付き布団も敷いてくれた。ふかふかの布団はいやらしくも隙間無く二組敷かれている。
女将に悪気はないのだろうが、智希にとってはその布団を見ただけで高ぶってしまう。
ま、布団は一組しか使わないけどね。
小窓サイズの障子を空けると、開け閉めのできない窓ガラスがあった。
その先に見える山と降り続ける重い雨。
有志はそれをぼんやり見つめ言葉も無く黄昏れていた。
さりげなく部屋の鍵を閉め、座る有志の隣に行き同じ体勢で肩に抱きつく。
少し力を込めて抱きしめると、それに応えるように体が智希に吸い付いてくる。
首筋に唇を這わして耳の裏で止めると、身を任せるその体は小さく震えどんどん熱くなっていく。
後ろから抱きかかえさらに深く息を吸い込みうなじに唇を這わせていく。
舌ではなく、唇で皮膚を甘噛みし、時折漏れる水音に交じり朱い痕を残していく。
「あ、んまり…痕つけない…で」
「ん…」
ちょうど後ろ髪で隠れるギリギリの部分に何度も吸い付き、自分のものだと証を残す。
熱くなっていくうなじを愛おしく思いながら、簡単に侵入させてくれる浴衣に感謝しつつ胸元に手を入れた。
「っ……」
熱くなり始めたのは有志だけではない。
同じく体全身が熱を帯びたように熱くなり始めた智希の手が、中に入ってくる。
簡単に有志の乳首を見つけると、うなじに吸い付きながら親指と人差し指で少し強めに摘んだ。
「んんっ」
ビクリと体が痙攣して、中に侵入する手を無意識に掴んでしまう。
智希は唇を耳たぶにうつし、ねっとりと舐めながら乳首を摘んでは指の腹で転がし、愛撫し始めた。
「あっ…あぁっ…だめっ…あっ」
耳元はいやらしい水音が響き、胸は左だけ弄ばれている。
体が疼き、それだけでは足りなくなってしまった有志は自ら浴衣をずらし胸をはだけさせる。
「智…こっちも……おねがい」
淫乱に涙を浮かべ見上げると、ゴクリと生唾を飲む智希の唇が降りてきた。
「はっ…むぅ」
激しく口内を犯し舌が暴れているようだ。
有志もそれに応え何度も舌を出すのだけれども、若い精力には勝てなくて、いつも途中で顎が疲れ体がだらんと脱力する。
体を支えながら続けて口内に舌を這わし、ピンと簡単に尖るようになった両方の乳首を何度も摘んではこね回す。
無い男性の胸を優しくもみ上げ、しかし先端はきつく乳搾りのように摘んで押し出していく。
「父さんは痛いぐらいがいいもんね」
「そんなことなっ…はっ…あっ」
カリカリと先端を爪で刺激され、座っているというのに腰が抜けたような状態になった。
胸をピンとはって震え、息も荒く背中に当たる息子の胸になだれ落ちる。
「とも…ともっ」
「ん?」
「ゆ、浴衣…汚れ…る」
漏らしたみたいに両膝を閉じ、股間を下着の上から掴みプルプルと震えている。
上半身は乱れ顔は真っ赤で息が荒い。
何度もしている行為だというのに未だ初々しいその反応は智希の欲情をひたすら煽る。
「くそっ」
「わっ」
有志を引き寄せ、窓枠である高さ30pほどの台の隙間に乗せると、主張を始める有志の股間にキスを落とした。
「んっ!」
「結構大きくなってんね」
「おっまえが…エロく何度も首舐めるから…」
だっておいしいからさ、と鼻歌交じりで応えると、乱れ始めている下半身の中に手を入れ簡単にはだけさせていく。
情けなくゆるゆるになってなんとか形を留めている帯だけが有志の腹を隠し、あとは浴衣の原型を留めずほとんど肌が飛び出ていた。
その中で、下着を窮屈そうに押し上げているその部分に何度もキスを落として、唾液をたっぷり含ませながら布越しで咥えた。
「あぁっ!」
じゅっ、っと水分を含む布の音が響き、もどかしさと熱で背中が弓なりに曲がってしまう。
見つけた先端を口に含んで舌で転がし丹念に育てていく。
無意識のうちに有志は足を大きく拡げ、片足を台に乗せ腰を突き出していた。
すげ、絶景。
屈んだ姿勢のまま見上げるとそこには目を閉じ快楽におぼれる最愛の顔があった。
ズクン、と下半身が疼いて、一気に智希も高まる。
古民家であるこの旅館は、雨漏りはしていないが雨の音がひどく響いていた。
今は有志の吐息と雨の音が重なり合って、今まで味わったことのない雰囲気を醸し出している。
ゴムを弾きながら有志のボクサーパンツを少しずらすと、簡単にペニスが飛び出てきた。
先走りの液と、下着に含まれた智希の唾液が合流しテラテラと光っている。
有志は窓ガラスに背中を預け、胸に手を添えじっと智希を見ていた。
視線に気付いた智希は顔を上げニコっと笑顔になると、肩で息をする有志の太ももを掴み、一気に口の中に押し込む。
「んんっー!」
窓ガラスが外れるのではないかと思うほど有志の体が大きく揺れ、卑猥な音をかき消すように外の雨音がうるさく響いている。
いや、外のうるさい雨音をかき消すように、智希が音を立てて舐め取る。
「あっあっあっ…やっ…あぁっダメっあっ…気持っ…気持ちいいっ…智っ」
切なく腰を揺らしリズム良く吸い付く息子の頭に手を添え、さらに大きく足を開く。
窓ガラスは冷たいというのに、熱に犯された有志は背中に当たる温度など感じる事無く喉を突き出し喘いだ。
父親のペニスを吸い込み先端から根本までおいしく頂いていく。
可哀想に寂しく震えているだけの有志の乳首に手を這わして、すり潰すように親指の腹で押してやると、今度は開いていた足が急に閉じた。
「んんっ!んっんっ…と…も…智ぉっ」
まるで酔った時のような甘える声で、切なく何度も智希を呼んでは腰を動かし喘ぐ。
父親の痴態に我慢できなくなってきた智希は自身の下着を掴み中から大きくなったペニスを取り出した。
一旦口を離して、乱れて浴衣の役割をしていない服を丁寧にほどき帯も全て取っていく。
最後の砦になっていた下着も全てはぎ取って全裸にすると、そのまま台の上に乗せ足を大きく開かせた。
「はっ…はぁ…」
いつもならここではなく布団に行きたいという有志だが、今日は、いや、最近はいつもより高まっているため素直に足を開く。
天井を向いたペニスは揺れていて、だらしなく溢れてくる液は止まりそうにない。
下着一枚になった智希は有志の腰を引き寄せ強く抱きしめた。
お互いの腹の中にお互いのペニスを包んでドクドクと脈打つ音を感じる。
有志も智希の背中に手を回し、呼吸を整えながらしっとり潤う肌に頬をすり寄せた。
「智希……早く…」
耳元でそんな言葉を吐くなんて、ほんと、罪だ。
何かが切れたかのように智希は有志にキスをすると、乱暴に舌を奪い吸い付いて腰を動かす。
腹に当てられた有志のペニスを意図的に自分のもので擦り上げ、わざと大きくネチネチと音を響かせる。
「腹…びちゃびちゃだね…」
「ん……ごめ…」
少し体を引いてお互いの腹を見ると、白濁の液と唾液が混ざり卑猥に輝いていた。
二人は顔を見合わせクスリと笑うと、再び口を大きく開け舌を交換し合う。
智希は腹の水たまりをすくうと、そのまま器用に有志のアナルに指を這わせる。
指が触れた瞬間ビクリと体を大きく揺らし、それでも止めず智希にしがみついてキスをせがんだ。
「んっ…智…早く……早く…」
「待ってって」
苦笑いをしながら指を一本中に押し込むと、安堵からくるものなのか大きなため息が有志の口から零れた。
「あぁっ…はぁあぁ……」
「気持ち?」
「うん…気持ちいい…」
次に与えられる刺激を想像しただけで笑みがこぼれてくる。
智希の指が入りやすいように限界まで足を拡げると、腰を揺らし腹に当たる智希のペニスを刺激した。
「っ…こら、そんな擦ったら出ちゃうって」
「早く…はや…早く智希も気持ちよくなって…」
恐ろしい煽り文句だ。
変なAV見て研究とかしてないよな??
もちろん、天然である。
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