※いつもの如く下ネタ臭が強い上、倫理観の崩壊前提のカオスストーリーです。







「トバリ、これはなんだ」
「マダラさまが夏バテしていらっしゃるご様子だったので、腕を振るってみました」
「御託は良い。これはなんだ」
「サンマフィンです。新鮮なサンマをミキサーにかけてペースト状にしてからマフィンの生地に練り込んで焼き上げたあと、予め焼いておいたサンマの頭をアクセントとして乗せてあります」
「そうか、捨てろ」
「いやです」
「捨てろ」
「でも、初めて上手く焼けたのに」
「そんなおブッな、おま、お……オレに手を挙げるほどその汚物が大事か?
「初めてなんです!!」
「オレを平手打ちするのだって初めてだろう。落ち着いて考えろ、オレとその汚物どっ」
汚物じゃありません
「分かった、言い直そう。オレとそのサンマフィンとやら、一体お前にとって真に愛するものはどちらだ。分かるな? そのサンマフィンとかいう謎の物体はお前に粥を作ってくれることも、氷を削ってくれることも、ほつれた着物をかがってくれることもない」
「でもサンマフィンは全人類を夢の中に閉じ込めようとはしませんよ」
「トバリ……一体如何した。そのサンマフィンとかいうアヘンの複合物を手離し、落ち着いたほうがいい。何が嫌なのか言ってみろ。この間つい口が滑ってお前の初体験の思い出をサスケに聞かせたことか? それともお前がプレゼントしてくれた手編みの手袋を鍋敷きと勘違いしたことか?」
「こんなに綺麗に焼けて、お店で売れる見栄えになったのは初めてなんです!」
「それは端から日の目をみない類の食物だ。捨てろ。さもなくば扉間の顔にぶつけて来い」
「……シスイとアスマだったら食べてくれるのに」
オレの前で他の男の話をするのは止めろ
「アスマだったら仕方ないなって言いながらも一個ぐらい食べてくれたし!!! シスイだったら何が如何駄目なのか説明しながらイタチも巻き込んで処理を手伝ってくれたのに!!!」
「それは処理という表現でいいのか?」
「しょうひです! しょうひの言い間違いです! 汚物じゃないですよ!!」
「大体、アスマだかシスイだか知らないが、恐らくそいつらはオレが間接的に殺した。生きていればお前のサンマフィンで味覚を破壊されたかもしれないが、もうここにはいない」
「うちは一族の死因は凡そマダラさまですし、アスマもマダラさまが発端である組織の一員に殺されたので、今度からは“恐らく”は抜かして頂いて大丈夫ですよ。自信を持ってください」
「そうか。それは兎も角、サンマフィンは捨てろ。オレの前で他の男の話をするな、台所用品に触るな。調理を試みるな。お前はオレに全てのサンマを委ね、縁側に座ってオレに膝枕を提供した上で定期的にオレの耳垢取りだけしてればいい。それ以外何もするな。頼む、しないでくれ」
「マダラさまの、バカ……!」
「いや、客観的に考えるとサンマの創作料理如きでここまで感情を露わにするお前の方が馬鹿だ」
「単なる創作料理じゃありません!! マダラさまが殺したイタチとシスイ、二人との思い出が沢山詰まった大切なレシピなんです!! 二度と作るなと言った二人が死んだ今だからこそ作れるのに、私だってもう以前のような何も出来ない八歳の子どもではありません!!!!」
「落ち着け。幾らオフレコとはいえ親友の死を軽く受け止めすぎだ。ここは一旦それを捨て」
「もう知りません!! マダラさまなんか勝手にサンマ嫌いな女性と無限月読ックスでもしてればいい! 私だって、ちゃんと私に台所に入らせてくれる男性を探します!!!」
「トバリ、これ以上リフォーム業者からお礼のカレンダーを貰っても貼る場所が、トバリ!! お前は自分が何て呼ばれているのかちゃんと分かっているのか?! キッチンリフォーマーだぞ!! 火の国広しとはいえお前を台所に入れるのはモデルルームの受付係ぐらいのものだ!!」





「……という経緯があって嫁が家を出たんだが、オレは悪くないな?」
「家を出たも何も端から貴様の家に嫁に出したつもりはない。さっさと帰れ、ここはワシの家だ」
「扉間、ワシの家はいつからお前のものになった。マダラもしょうもない痴話喧嘩はやめて、家に帰らんか。そろそろツナが帰ってくる。お前らがいるとツナが仕事場に戻ってしまうではないか」
「オレが帰らないんじゃない、トバリが帰ってこないんだ!!」
「トバリの家はワシの家だ。貴様の家には帰らん。それはそうと兄者」
「なんぞ?」
「今日は……帰りたくない、な」
「狙ってる男を誑しこむオフィスクノイチ(OK)みたいな言い方だのう。ダメ
「じゃあ如何いう言い方なら良いんだ。脱ぐか? 無意味に露出して言い直せばいいのか!?」
「やーめーんーかー! いい、いい! 脱ぐな! 脱いだら問答無用で貴様ら纏めて叩きだす!」
「兄者ともあろうものが、本当に自分が優位だと思っているのか? 帰ってきたツナが半裸で実弟に押し倒されている祖父を見たら如何思うだろうな。カメラもあることだし、試してみるか」
「わかった!!! 良い!! もう良い、好きなだけここにおれば良い!!!!」
「話が早くて助かる」
「ハッ……どうせ貴様もトバリが家でサンマフィンとやらを食わそうと待ち構えてるから帰りたくないんだろう……あのレシピには何か作ったものを洗脳する類の幻術でも掛かっているのか?」
「貴様こそ、真にトバリを愛しているならサンマフィンの一つ二つ軽く平らげて然るべきだ。それが出来んということは、トバリのことを都合のいい道具としてか見てないのだろう。それで良いのか? 今まさにトバリは冷えたサンマフィンを手に愛する者が迎えに来てくれるのを待っている……本当にトバリを娶りたいと思うなら、今すぐワシの家へ赴いてサンマフィンを口に流し込むべきだ。早くしろ、トバリを泣かせたいのか。サンマフィンは完全に冷えると余計生臭くなるぞ」
前にトバリの作ったパンを食った長門が爆散して塵になった
なにそれこわすぎぞ
「空気中に散らばった塵が集まって再び長門の人格と体を再現するまで一週間……普通一瞬で再生する穢土転生体が元通りになるのに一週間だぞ。デッドオアデッドの賭けに乗ってたまるか。第一オレがあれを摂取しようとしなかろうとトバリのオレに対する愛は揺るがない。確かに今は少し錯乱しているが、それはサンマフィンとかいう貴様の編み出した卑劣な術に掛かっているだけだ。オレがあんな産業廃棄物に負けるわけがない。絶対にそうだ。処分したいなら貴様が自力で処分しろ。安心しろ、最悪穢土転生体なら死にはしない。三か月ぐらいで再生出来るはずだ。それとも孫娘の喜ぶ顔が見たくないのか……? 貴様の家族愛こそまやかしらしいな」
「相変わらず話の通じない男だ。トバリと結婚したければ貴様が食え。そうしたら結婚を認めてやる。あとワシはあんなよくわからん物体、夢想したこともないわ。トバリのオリジナルだ」
あんな劇物を口にしてまで貴様に祝福されようとは思わん。貴様が死ね
「馬鹿め、ワシは疾うに死んどるわ。貴様が地下で独り寂しく暮らしてる間ワシは里長として多忙ながらも充実した日々を過ごし、可愛い部下や息子たちの成長を噛みしめる幸せな生涯だった」
「その可愛い息子が自分の娘を虐待したのは貴様の育児がそもそも間違っていたからだとは思わんのか? おめでたい頭だな……幸せとは言うものの、貴様はうちは一族を抑圧し、息子を抑圧し、部下にしろ貴様の遺した方策の意図をはき違えて状況に応じた柔軟な対応が出来ない無能揃い。オレの杜撰な計画が上手くいったのは貴様の部下が間抜けだったからだ。一応は貴様に感謝するのが筋だろうな。有難うよ、ただ部下を顎でこき使うばかりで頭の中にあることは何一つ他人に明かす必要はないと考える貴様のおかげでトバリと再会することが出来た。安らかに死ね
「誰が無能か。責任能力の欠如した貴様には里を背負って最善を模索することの難しさは永遠に分からんだろうな……ワシは今でも貴様はやはり火影の器ではなかったと確信している。サルたちを無能と言うなら、貴様は無能以下の無知蒙昧の徒だ。社会貢献が出来ないならサンマフィンを食って死ね。うちはを滅ぼし、第四次忍界大戦を引き起こした罪、サンマフィンでも贖いきれん」
「二人で産業廃棄物の押し付け合いするなら出てってくれない?」
「大体常日頃からトバリトバリとちやほやしてる貴様がたかだか再生に三か月掛かる程度で何故アレの手作り料理を拒絶する……食えばいいだろう、再生するまでトバリが付きっきりで塵を見守ってくれる。貴様にとっては“ご褒美”じゃないのか? その間はトバリを貸し出してやる」
「トバリはオレの嫁だ。つい最近孫だと知ったばかりの貴様が身内面で貸すだの貸さないだの片腹痛い……オレは八十年近く前からずっとトバリのことが好きで結婚しようと思っていた。アレはオレのものだ。お前の孫でもシスイだかアスマだかの親友でも、増してやサンマフィンの著作権保有者でもない。オレの嫁だ。サンマにも他の男にも渡さん……そして台所には二度と入れない」
何故トバリを台所に入れた
「ん? その劇物、マダラの家で作ったんぞ?」
「トバリが『わあ、システムキッチン! ピカピカですね! 私が育った家は流石に竃ではなかったものの、旧式の狭い調理台だったので……こういうの憧れだったんです。エプロンを付けて立ってみたい』とか言うから……じゃあ新婚さんごっこでも……みたいな空気になって、」
「料理も出来ないのに困った奴だ。そういうことなら今度の誕生日に台所をリフォームし、ガスを止め、冷蔵庫の中のものを全ておままごとセットに差し替えた上で好きに使わせるとしよう」
「ワシ、そこですぐ孫娘に媚びを売る貴様のほうが何億倍も困った奴だと思う」
「結局サンマフィンのせいで新婚さんごっこも出来なかったし、料理中の嫁に背後からスケベなことをすることも出来なかった。それもこれも旧暁会とかいうふざけた集会に呼ばれたせいだ」
「トバリにふしだらな遊びを覚えさせるな。殺すぞ」
「貴様の目が黒い内から既にトバリは非処女だ。認めろ。そして死ね」
「もうほんとワシ、これ以上貴様らに振り回されるなら成仏しようかな……ツナもつれないし」
「兄者、気にすることはない。あの年ごろの女孫は更年期でカリカリしやすい。兄者が嫌いで素っ気ないのではない。帰ってきたツナにお茶を持っていく傍ら、茶菓子の代わりに命の母を一緒に出したらどうだ? きっとツナも兄者のことを“千手の頭領でなければ一生未婚だっただろうレベルに無神経で空気読めない若作りジジイ”という認識を改め、幼い頃のように敬愛……いや、ツナが兄者のことを敬愛してた時期なぞあったか? はは、昔から兄者はツナにカモられてたからな」
あっはっは、流石今まさに孫娘にカモられとる愚弟は言うことが違うの〜!
「お前ら案外仲悪いよな。そういうキレッキレなやり取りから三十分と経たない内に元通りになってたりするし、正直里抜けする前から心臓に悪いバカ兄弟だなと思ってた」
「貴様とイズナの仲が良すぎただけで、普通は男の兄弟なんかこんなもんぞ」
「そもそも貴様は何か勘違いしてるらしいが、ワシは兄者のこと好きでもなんでもないし」
「ワシもぶっちゃけ扉間とか弟でなかったら死ぬほど嫌いなタイプだしの。あっ死んでたか!」
「何だそのノリ……産まれた時から一緒に過ごしてきた相手に好きじゃないとか言われたら今後誰を信じ、何を支えに生きていけばいいのか不安になったりしないのか……正直理解出来ない」
「貴様はそんな紙メンタルだから社会適合力が養われないんだ。ひと一人に嫌われたぐらいで死ぬわけでもあるまいに、何を信じ何を支えに生きていくかなど自分一人で決めるものだろう」
「そりゃ確かに産まれてから一度も他人に愛されたことのない貴様は分からないだろうが――考えてみれば貴様も不幸な奴だな。兄からは疎まれ、息子には嫌われ、孫娘にはつれなくされ……一人シコシコと穢土転生とかいう卑劣な忍術の開発に耽りたくなる気持ちもわかる
殺すぞ
「扉間、殺気を出すのはやめんか。壁にヒビが入る」
「柱間の下位互換に過ぎない貴様が小細工なしの真剣勝負でオレに敵うと本気で思っているのか……? お得意の瞬身の術もこうウサギ小屋並に狭い室内では無意味だ」
「確かにワシは広すぎる部屋は落ち着かないからと細々した間取りで建てたけどウサギ小屋と言われるほど狭くはなかろう!?!?! いい加減二人とも静まれ!!! ツナが帰ってこれん!!」
「今五月蠅いのは兄者のほうだがな」
もうほんとワシ、割りとマジで貴様のこと嫌い
「分かった分かった。あの女が帰ってきたら出てく、それで良いだろ」
「そもそも午後七時を回っても帰ってこないということは、仕事仲間と酒でも飲んでるんだろう。どの道午前様で帰ってきた後は昼まで爆睡に決まってる。ワシらが帰ると暇になるぞ」
「ツナは帰ってくる!!! 今日は二人で“となりのトトロ”を見ようねって約束したんぞ!!! 必ず金曜ロードショーが始まるまでには帰ってくる!!! ツナ帰ってくるもん!」
「落ち着け兄者、ツナは帰ってこない。いいな? 花の金曜日に、一体どこの誰が死んだ祖父とアニメ映画を観る為に帰ってくるんだ……兄者が死んだあとに普及した文明だから知らんだろうが、ワシもツナもジブリは観飽きている。トトロはいない。ツナは帰ってこない」
「それにしても“となりのトロロ”か……麦飯を用意した上で観たほうが良いのか?」
「別に隣の家の晩飯を覗きに行ったらトロロ飯だったみたいな、そういうアニメでもない」
トトロい゛るも゛ん! ヅナがえっでぐるも゛ん!
「柱間、あまり惨めな姿を晒すな。興奮してきた」
キッチンリフォーマートバリ
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