「マダラ〜おるか〜?」
「居留守だ。今日は忙しい、日を改めて来い」
「いやワシも今日は頼まれて来たのでな、そう易々と引き下がるわけには」
帰れ
トバリーーーおるかーーー??? 扉間がのう、こう、めっちゃワシを言葉の刃で傷つけてきて困るんじゃ。ワシがトバリに似てるからいけないとか言って、ワシに整形を勧めてくる無茶苦茶ぶり。いい加減マダラのところで遊ぶのは仕舞いにして、帰ってこんか」
「お前ら兄弟の内輪もめなど知ったことか。トバリ、出てくる必要はない」
「扉間がのう、貴様の部屋で体育座りで待っておるぞ。未だ二十三の貴様にとって祖父より恋人が大事なのは仕方なかろうが、少しは老い先マイナスの祖父を安心させてやったらどうじゃ」
「老い先マイナスならそのまま消えてなくなれば良いものを、おい、勝手に家に上がるな!」
「ええい、ワシと貴様の仲で今更何を隠すことがある! 貴様が十歳下の子どもと結婚するつもりだと聞いたときも祝福してやったし、それがワシの姪孫で、戸籍上は七十歳近く離れてると知った時も当人たちの気持ち次第とフォローしてやったじゃろうが! 少しばかりワシの安寧作りに協力したとて罪ではなかろう。トバリ、大伯父さんのう、貴様が家に帰ってくれないと困るんじゃ」
うるせえ、ガアガア喚きたてるな!! 大体二十三になる孫が二晩家を空けたぐらいで、お前たちは騒ぎ過ぎだ。成人した人間がどこで暮らそうとお前たちに関係ない」
「まあ、ワシは実際トバリの自由意志で恋人と居たいなら構わないが……猿飛と扉間の二人が、今日の夕方までに帰宅しなければ木ノ葉警務部隊に被害届を出すと言っておったぞ
「何の被害届だ。過去ならいざ知らず、トバリが成人した今となっては恐ろしいものなどない」
「成年者略取・誘拐罪じゃと。何でも、それで捕まった人間は問答無用で終身刑にするとか」
「あのクズども、自分たちが元火影だからと言って勝手な罪を作り上げるつもりか」
「……それは様々な意味で困ります」
「出て来るなと言ったろう。あいつらの評判など勝手に落とさせておけばいい」
「良かった良かった、まあ後半は嘘じゃがとりあえず帰ってきて二人を落ち着かせてくれ」
「嘘なのですか」
「お前らしくもない……随分姑息な手を使うじゃないか」
「すまんの。しかし考えてもみて欲しい、扉間があんまりキレるから咄嗟に貴様らの味方をしてしまったが、それ以来ワシまで人格破綻者の如き扱いを受ける羽目になってしまった……」
「それは、なんというか、大変申し訳ありません」
「アレと縁を切ればいいだけのことだろう」
「マダラさま、仮にも親しい間柄にあるひとにそのようなことを言って挑発してはいけません」
「トバリは良い子じゃのう」
「有難うございます、柱間さま。とりあえず私は一旦帰ることにします」
「だめだ」
「またほとぼりが冷めたら遊びに参りますから、ね」
「いやだ」
「マダラさま……そのような不貞腐れた顔をされると、私とてもかなしいです」
「何故お前はさっさと帰ろうとする? オレと暮らしたくないのか」
「待った。痴話げんかはワシの居らん時にしてほしいのじゃが」
「そのようなことはありません。マダラさまと過ごすのは私にとって嬉しいことです」
「それなら、さっさと荷物を纏めてオレのところに転がり込んで来い。如何なクズどもといえど、お前が『もう帰りません。好きな人と同棲します』と一筆認めれば引き下がるだろう」
「猿飛先生は私の養父ですし、扉間さまは私のおじいさまです」
「それが如何した。お前の人生には必要ない奴らだ」
「おお……幾ら嫌っているとはいえ、そこまで言うかの」
「必要です。いっつも、マダラさまは私の気持ちを全然考えてくださらない。昨日だって、」
「……潤滑油が足りないのに無理に挿れたのは、もう謝っただろう」
「大体、精子と一緒に他人のチャクラを取り込むことになるから、最後まですると凄く疲れるんです。それなのにマダラさまは私が疲れて丸くなってるのを良いことに、勝手にことを進めるではありませんか。あと一回とか、明日は何もしないからって言って、守ってくれたことない」
「二人とも、大伯父と親友の前だという意識を強く持って落ち着いてくれんかの」
「これまで何度情を交わしたと思っている……それこそ今更というものだ。いい加減に慣れろ」
「慣れる慣れないではありません。兎に角、私はマダラさまが好きだから色々我慢してます」
「……そうか」
ワシ、帰りたい
「そうです。マダラさまに喜んで貰うほうが大事だから、沢山我慢してます」
「オレもお前の喜んでいる顔を見ると、これ以上ない幸福を感じる。しかしな、お前の浮かべる表情は無表情だろうと怒りだろうと堪らなく愛しくて、無理に笑わせたいと思えん」
「こういう時、ワシ、どんな顔をしたら良いんじゃろうな」
「……マダラさまは、私の人生にマダラさま以外必要ないと言いますけれど、好きな人同士親しくして貰いたいと思うのはそんなに我儘なことで、難しいことなのでしょうか」
「お前の気に入りの人間とやらはどいつもこいつも鬱陶しい。無理だ」
「まあ、天地がひっくり返っても無理ぞな」
「……私は一体、何をどこで間違えたのでしょう」
「人生なんて、そんなものぞ。さ、帰ろう。扉間が首を長くして待っている」
「サスケとかいうガキなら幾らか我慢できるか……オレたちの義息子として迎え入れても良い」
「マダラさま、あの子今凄く難しい時期なので絶対に当人に言うのは止めてくださいね」
「あ〜尊敬する父親がクーデター企ててた上に大好きな兄がその犠牲となってまで守った一族の体面がマダラの存在で粉々のグッチャグチャだものなあ……不憫ぞ」
「……どういう事だ? オレに認めて貰ったので感極まって泣いてたのではないのか」
手遅れでしたか
「扉間には上手く言っておくから、精神状態が悪化する前に慰めてきてやったら如何だ」
「一体何と言えば、十八歳の青年を泣かせられるのですか」
「お前との付き合いについて尋ねてきたから仔細を」
「あ、もう結構です」
「大好きな兄がその犠牲となってまで守った一族の体面を粉々のグッチャグチャにされた上に産まれた時から面倒見てくれた年上の幼馴染を寝取られる、というのは中々えげつないのう」
「何ならクーデター自体、マダラさまが里抜けしないでいてくれれば回避可能でしたしね」
「そもそも、お前があのガキを甘やかしすぎたせいだろう。姉離れさせろ」
「あの子が里抜けしてから……何故マダラさまの魂は、如何あろうと里抜けしたがるのですか?」
「不思議じゃのう」
「折角サクラが宥めてるのに、こんなストレスに晒されていればまた里抜けしてしまう」
「しかし、二回目の里抜けとか前代未聞じゃな」
痴話げんか
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