※大分下ネタ臭が強いです。







「なんだそれは」
「見た感じ狐耳のようです。尻尾もあります。こちらも狐の尾によく似ております」
「そんなものは言われずとも分かる。どういう経緯でそんなものが生えてきたのか仔細を説けと言っているんだ」
「それが私にも分からない次第でして」
「……オレが寝る前は、お前にそんなものはなかったな?」
「マダラさまがそう思ってらっしゃるなら、正しくそうなのでしょう」
「お前は夜通し起きているだろう。敵襲なり、幻術に掛けられた気配なりなかったのか」
「特に何事もなく」
「……そうか。お前がそう言うのなら、そうなのだろう」
「あっ」
「何事か思い出したか」
「マダラさまが十五回ほど『柱間ァ……もっとぉ……』と幸せそうに寝言を紡がれてました」
「……案外少ないな」
「一体何をなさってらしたのですか。夢のなかとはいえ、柱間様は既婚者ですよ。既婚者相手に、不道徳なことはいけません。ましてマダラさまは私という妻がいるのですよ。一族の者から大反対で“ロリコンの上にホモ、ホモの上にロリコン”という誹りを受けてまで娶った私という妻が
「案じるな。お前以外をおいて不道徳なことをしたいと思う相手は、何故避ける」
「何故と言えば、朝ですし」
「どうせ今日は大した用もない。夫婦の営みをするのに朝だろうと夜だろうと問題ない」
「妻が異常事態に置かれているのですぞ」
「なればこそ身体検査をして異常がないか調べてやるのではないか。大人しく従え」
「だめです」
「仕方のない……何もしないから、こちらに来い」
だめです
「落ち着いて、よく考えろ」
「はい」
「幼な妻に獣耳と尾が生え、不憫な有様になっているというのに猥褻行為を働く男がどこにいる。不憫なお前の背や肩を撫でさすり、根気よくその体を慰めてやろう」
「流石マダラさま。不肖トバリ、マダラさまのお慈悲の心に深く感銘を受けました。しかしながら、このような無体な姿でマダラさまのお傍に侍るのは到底躊躇われます」
「分かった。最悪お前に尾獣が埋め込まれてようと如何でも良いからヤらせろ」
「流石マダラさま。不肖トバリ、マダラさまのハキとして堂々とした劣情の打ち明け方と王者の貫禄が滲む飽きっぽさに深く感銘を受けました。しかしながら、絶対に嫌です」
「何故だ」
「それはご自分の股間に手を当てて、よくよく考えてください」
「不浄の穴を使わせろとは言わない。それで良いだろう」
「それだけではありません」
「張り型か? もしくは野外で事に至ったことか? お前の可愛がってるガキの声がするのに続けたことか? 体を清める前に無理強いしたことか? 自分で挿れろと促したことか? それともお前がオレの下に来る前の姿でヤらせろと変化の術を強いたことか? 扉間の買い与えた服を破いて二度と着られない状態にしたことか? ああ、扉間のいる部屋の隣でしたこともあったな……しかしな、大抵の場合マグロに近いお前の反応が一番良かったのは、」
「もう善いです。次におじいさまとサスケの近くで事に至ろうと促せば、離縁です」
「その場合、お前が離縁状を書き終える前に奴らを殺すぞ」
「マダラさまはいつもそればかり、たまには私のために他人と仲良くしてくれても良いではありませんか。私を愛しているというのなら、少しは忍耐を覚えて下さい」
「……ふむ」
「到底私の理解の及ばぬ反応であり、また一応妙齢の淑女たる私が関心を持ってはならないと思うのですが……一体何故、マダラさまの男性自身がお元気でいらっしゃるのでしょうか」
「耳と尻尾を揺らしながらキャンキャン吠えるお前もまた一興」
「離縁ですよ。それ以上近づけば離縁です」
「思えば初めて肌を重ねた時から、お前に強く拒まれたことはなかったな。その従順さが傍に置いて快かったが、こういうのも悪くない。何より、愛を引き換えに忍耐を強いる重たさがふつうの女らしくて良い。忍耐強いお前が拗ねた口を利いていると思うと無性にムラムラする」
「マダラさまは私を何だと思っているのですか。私は心の底から困っているのですよ」
「オレの気が済んだら、お前の納得がいくまで付き合ってやる」
「うそ。マダラさまはいっつもそう言うけど、私との約束なんて一度も守ってくれなかったではありませんか。里抜けしないって言ったくせに抜けるし、岩隠れとも揉めないっていったくせに揉めるし、マダラさまは私との約束は何でも破っていいと思ってらっしゃる。例え世界一つ滅ぼしても、私の肩を抱いて『愛してる』と言ってセックスに持ち込めばあっさり許してくれると思ってらっしゃるでしょう。今度という今度は、マダラさまに愛想が尽きました
「まあ、そういう流されやすさがお前の可愛いところだな」
「おじいさまの言う通り、マダラさまとは別れます」
「そもそもアレは、オレたちが婚姻関係にあると思っていないだろう」
「実際戸籍上は他人のままですし、婚約止まりなので、おじいさまの認識もそう間違ったものではありません。正しい言葉で言うなら、婚約破棄です。方向性の違いにより婚約破棄を希望します」
「婚姻関係にないにも関わらず、お前はオレの妻を名乗っていたわけだ」
「……そもそもマダラさまが、私が十六の頃から『お前はオレの妻だ』と吹き込んだのですよ」
「そうだ。その責任は取る。それで文句はないな」
「私たちは今離縁するかしないかの真面目な話の最中です。気安く触らないでください」
「興奮気味にある妻を宥めるのも夫の役目だ」
「宥めるだけでしたら、膝に乗せる必要はないかと思われます」
「愛しい妻が拗ねていれば、普通は膝に乗せて撫でさする。柱間もミトと揉めた時はよくこうしていたと聞いた。柱間はオレよりずっと愛妻家だったからな、お前のために見習おう」
「……そうなのですか」
「そうだ」
「私のために、真逆の性分にある柱間さまの行いを真似ようとは、なんというお優しさでしょう……にも関わらず、私と来たら、マダラさまが私のためにご自身を改めようとしているのにも気づかず短気を起こすなど……未熟かつ思慮浅い己が恥ずかしいばかりです」
「お前の浅慮は今に始まったことではない、気に病むな」
「でも、やはり私はマダラさまに不釣り合いではありませんか。自分から離縁を切り出したからには、無論マダラさまから離縁を申し渡される覚悟はあります。どうぞ私を、」
「トバリ……幾度も言っただろう、最期にオレの腕のなかにいれば他のことは――扉間のクズとサスケとかいうガキに纏わること以外は大抵――気にしないと」
「あの、撫でさするだけでしたら上着をたくし上げる必要はないのではありませんか」
「服の上からでは女人を落ち着かせるツボが上手く押せない。これも柱間から教わったことだ」
「なる、ひゃ、しっぽ変な感じがします。くすぐったい。すごく、いやです」
「このまま元に戻らなければ、首輪と鎖を買う必要があるな」
「おや、何か飼うのですか。可愛らしい哺乳類と戯れるのは精神衛生にとても宜しいようですよ」
「要らん。大陸中を探し歩いても、お前ほど可愛い生き物は存在しない」
「……くびわとくさり」
「室内飼いの予定だが、日光浴ぐらいはさせてやろう」
「妻をペット扱いするのはだめですよ」
「当たり前だ。お前はそんじょそこらの畜生なぞよりずっと愛らしい」
「私、帰ります。おじいさまに、柱間さまとミトさまのことを問い質す必要があります」
「オレの腕の中でオレ以外の男の名を呼ぶな」
「男男と申しますが、扉間様は私のおじいさまです。サスケにしろ、弟のようなものですよ」
「黙れ、そんなものは結果論に過ぎん。大体にしてお前はオレを“嘘つきだ”とか、“約束を破ってばかりだ”と言うが、オレはお前の望んだ通り、お前以外の女をこの腕に抱いたことはないぞ」
「それは……でも、柱間さまとは何億回も夢の中で一線を越えてるではありませんか」
あれは男だ
なるほど、これが“法の抜け穴”というものなのですね
「そもそも百年ほどもずっと前から――それこそお前がこの世に産まれてくる前から、オレの女はお前だけだ。そのひたむきさの対価としてお前の愛を望むのは、それほどに罪か?」
「何が罪と言えば、それは望むまでもなく自分のものだという自覚がないのが罪です」
「知っているさ、それを独占出来ない苛立ちでお前を困らせたいだけだ」
「それはもっとひどいですね」
「そう思うなら、もっとオレの求めに応じろ」
「十分応じております。こうして困らされるのも、あなたが相手だから幸福なのです」
「……今日は何の用事もないな?」
「……あの、なんだか、股間に小刀でも仕込んであります?」
「おまえが可愛いことばかり言うのがいけない」
おきつねさまと離縁の危機
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