互いに“自宅”と認識しているところが同じなので、扉間さんと同居することになりました。


「……しかしサル、急に孫と言われてもピンと来ない」
「つい最近まで死んでたのですから、それもそうでしょう」
「いや……まあ、そうだが……飽く迄この者はうちはの眷属という認識が強くてな。そうか、ワシの孫だったのか……確かに兄者に似ているし、そうだな」
「色々とややこしくて、大層申し訳ありません」
「別に貴様一人のせいではない」
「その通り。どの道屋根を同じくする他ないのだし、トバリもそう固くなるでない。おじいさまと呼んでみてはどうじゃ。物事は形からと言うし、お前の場合は言い慣れているじゃろう」
「そうか……言い慣れているのか」
「いえ、言い慣れてるとは言っても……猿飛先生、その……あまりに若々しくて、扉間様と言うのが一番しっくりくるのです。扉間様自体、突然に私のような人間が孫と知らされて面食らってるではありませんか」
「一応、祖父と呼んでみるが良い」
「え、いや……なんなら私はどこか他に居留場所を探しますけれど、元々この家は扉間様のものです」
「良いから、呼んでみろ。子を成したのだから、孫がいようと自然なことだ」
「……おじ」

「おじい、さま」

「孫よ、これからよろしく頼む」
「は、はあ……しかし本当に宜しいのですか?」

「貴様こそ不都合があるような――あの男のことを気にしているのか」
「そんな、はい……いや、まだマダラ様は何とも……」
「今はまだ何も知らないから大人しいだけであって、事の次第を知ったら貴様の想像以上の修羅場が待ち受けていることだろう」
「なるほど、トバリの心配も尤もと言えますな。しかし気にすることはない。単に別れれば済むことでクヨクヨ思い悩んではいかん。綱手に頼んで、近接禁止命令を出してもらおう」
「サルの言う通りよ。実祖父との同居で悋気を焼くような狭量な男とは別れるべきだ。第一あの男はワシよりも年上の、良い年をした老人だぞ。妙齢の貴様が付き合って良い相手ではない」
「いえ、その、私」
「貴様は妙齢の婦女子としての自覚と防衛意識が足りていない。勿論それがバカ息子、引いてはワシのせいであるのは百も承知だ。もう心配することはないぞ、時間はたっぷりある。責任を持って良い嫁ぎ先を見つけてやろう」
「流石二代目様。トバリ、そうしてもらうと良い。独り身のお前に頼りがいのある家族が出来て、ワシも安心じゃ」
「私、マダラ様のことが」
「何も言うな。あの男に無理やり手籠めにされていた過去はもう忘れろ。新しい恋が貴様の傷ついた心を癒してくれるだろう……辛かったな」
「良い話として纏めようとしているところ申し訳ないのですが、少し待って」
「ワシはやはりイタチが良いと思うがのう。何せ竹馬の友、気心の知れた相手のほうが良かろう」
「いやイタチは駄目」
「その通り。うちはの男は駄目だ。いつ心喪失になって、トバリを手荒に扱うか分からん」
「扉間さ」
「違う」
「……おじいさま、私は決してそのような意図で発言したのではなく、イタチには好きな人がいるのです。そもそも私は疾うに成人している身。自己責任でマダラさ」
付き合うだけで責任を取る必要が発生する男と結ばれて、そこに未来はあるのか
「そもそも私が誰を選ぼうと、おじいさまには関係ありません」
「……そうか」
「いえ……あの……」
「サル、孫が反抗期になった時は如何したら良い」
「ふむ……まあトバリのことですから強めに押せば何とでもなりましょう」
「そんなだからうちはマダラのような賊に付けこまれるんだ」
「付けこまれてません。私が自分の意志でマダラ様を選んだんです」
「駄目じゃな。完全に洗脳されとる」
「今まさに御二方が私を洗脳しているのではありませんか?」
「これは教育だ」
保護者×2
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