2章




雪が深々と降り続ける。
窓は外と室内の温度差で、その硝子は白く染まり氷のように冷え切っていた。

さきほどの場所とは違い、赤い絨毯に敷き詰められた廊下を歩く
一定な音が広々とした廊下に音が響いた。

エリアから聞かされているのだが、用件までは教えて貰えなかった。
なにも考えずに、リフィは兄であるラファのいる場所へと向かう。

しばらく歩いて行くと、自分の身長の3倍はあるだろうか‥
大きく立派な扉が見えてきた。

そこに佇むように、壁に背を預ける者の姿があった。
まるで騎士のように、鎧を身に纏い、背にはマントと腰には鞘に納まった剣が装備されている。

その人物を見るやいなや彼女は言葉を発した。

「兄様!」

そう呼び掛けるのはリフィで、呼ばれ振り向くのは彼女の兄。

この国の王子でありながらも、軍を率いる騎士でもある。
その実績から評価され、国民からの支持も高い。
その髪色、瞳の色は妹であるリフィとよく似ていた。

「エリアは一緒じゃないのか?」

リフィが一人で来た事を不思議に思った。
彼からの言伝を受けたのはエリアだが、てっきり彼女も一緒に来るものだと思っていたのだ。

「私は書庫にいたから、エリアもまだそこにいると思う」

「エリアが書庫‥」

顎に手をあて、物思いにふける。
エリアは代々この国に仕える一族で、オールフィアの森を棲息地にする、
神の使いと伝えられているペガサスを操る事が出来る素質をもつ女性であるのだが‥
勉強が嫌いで、分厚い本など見るのはもってのほか

そんな彼女が書庫に居座っているなんて信じられないのだ。


ふぅと吸い込んだ息を吐くと、リフィに再度向き直った。
その表情は真剣そのもので、青の瞳が彼女を見つめる。

「父上がお前に話しがあるそうだ」

そう言えば、彼女の顔が強張る。
ラファの表情も険しい。
実の両親と会うだけの話なのだが、それはあまりにも辛い事だった。

「どうして‥」

何故かと彼女が問おうとしたが、彼はそれに答えようとはせず話を進めた。

「父上を待たせているし、俺も一緒に行くから」

一人で行かせる事は出来なかった。
それはリフィの不安と恐怖を和らげようとした言葉。
今まで父が彼女に接してきた態度はあまりにも酷いもので
とても肉親とは思えず、ラファは反感を覚えていた。

お互い何も言わず、ラファは目の前にある大きな扉の前に立つと、それを押し開けた。
赤い絨毯で敷き詰められたそこは大広間であり、天井は高くシャンデリアが飾られている。
奥には玉座が一つ、そしてそこには男が座っていた。
暖かそうなコートを羽織っており、とても偉そうな風格から王だと判断がつく。
その男の隣には、白く長いドレスに身を包んだ女性が寄り添うようにそこに立っていた。


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