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「ありがとう‥エリア」
エリアにそう言われ、心が温まるのを感じた。
礼を言い、兄を待たせている事を思い出し、そっと薄暗い書庫を後にした。
一人、そこに取り残されたエリアは先程とは一変し、悲しげな表情を浮かべる。
無造作に置かれた本の一つを、ぱらぱらとめくる
目に映るのは古の時代に滅んだといわれる『竜族』と『竜の魔力』の文字。
破滅へ導く力
少し読んだだけでも、その力の偉大さがどれほどのものなのか
どの書物にもしつこいほどに標されてあり、若干うんざりもする。
きっとリフィも読んでいたのだろうか、辺りにはそれに関する書物ばかりだった。
「竜の力は戦乱を呼ぶだけ‥きっとこの国も‥」
直感というものだろうか、エリアは胸騒ぎを感じていた。
それがきのせいであることを祈るばかり‥
平和に包まれたオールフィア国。
しかし、暗い影が確実に迫っていた。
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