メビウスの指輪・3 1






「蒼衣」


身体をふうわりと包むような声がした。

「おかえり」

差し出された手を、私は知っている。
ふと、その手が私の頬に触れた。


熱い。


その人の瞳に映っているのは、私、だ。
「うん?疲れたのかな?」
何に?
分からないけれど、頷いた。
「……ココ、さん。」

「ったりめーだし。蒼衣はすぐにコレって決めたし」
……すぐ横にいるこの人は、自分を『サニー』と名乗っていた。
「それ、ウチが悪いって言ってない?」
「リン、分かってんなら次こそはさっさとしろよ?」
遠くで、楽しそうな声がする。
…リン…さんと、あの人は、
「次はトリコと行くし〜」
あぁ。トリコ、さん。そうだ、トリコさん、だ。




…………思い出した。








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