「蒼衣」
身体をふうわりと包むような声がした。
「おかえり」
差し出された手を、私は知っている。 ふと、その手が私の頬に触れた。
熱い。
その人の瞳に映っているのは、私、だ。 「うん?疲れたのかな?」 何に? 分からないけれど、頷いた。 「……ココ、さん。」
「ったりめーだし。蒼衣はすぐにコレって決めたし」 ……すぐ横にいるこの人は、自分を『サニー』と名乗っていた。 「それ、ウチが悪いって言ってない?」 「リン、分かってんなら次こそはさっさとしろよ?」 遠くで、楽しそうな声がする。 …リン…さんと、あの人は、 「次はトリコと行くし〜」 あぁ。トリコ、さん。そうだ、トリコさん、だ。
…………思い出した。
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