トリコはテーブルに肘を付き、口元を両手で隠した。 「おま……その言い方やめろって」 「良いじゃないか、リンちゃんも言ってたし」 「何を?」 「『"サニーの妹"から"オレの女"になれたし〜!』って」 彼女を真似たココの口調に、トリコは頭を抱えた。 「…………あいつマジで恥ずかしいわ」 「なんで?可愛いじゃないか」 「『リン』は『リン』で良いんだよ」 「せめて『オレの』を付けたら?絶対喜ぶよ?!」 「お前、何かやけにリンの味方じゃねぇか?」 ココは当然だよ。と澄ました顔で答えた。 「リンちゃんがそう呼んでほしいしって呟いてたって」 「……まぁ何つーか………急には変えられねぇ」 ばつが悪そうな面持ちで答えたトリコに、ココは思い出したかのように言った。 「確かに、最初はボクも『さん』付けだったな」 さん付けでも緊張してね、毎回つまづいて、無駄に紅くなったりしたな。 …懐かしい話だよ、と言うココの言葉を、トリコは黙って聞いた。 と、外からキッスの鳴き声が聞こえる。 「あぁ、帰って来たようだね」 ココは立ち上がってゆっくり入り口へ足を進める。トリコも後に続いた。 「今日は何を買ったんだろうな?」 「占いでは、ワンピースと出ているよ。他にも色々ありそうだ」 「じゃあこれからその発表会か」 うんざりだと言うトリコと、それは楽しみだと言ったココ。二人は顔を見合わせて笑った。 「ただいまだし〜!」 「ちょ、まえ!ただいまじゃねーし!」 扉を開けるとすぐ、リンとサニーのやり取りが聞こえた。 「いいんだし!トリコの胸にただいまだし!」 「んだそりゃ!」 トリコは飛び付いて来たリンを呆れたような照れ臭いような面持ちで見た。 「まぁえらく時間がかかったな」 「リンの服選びに超手間取ったし」 サニーが両手の紙袋をほれ、と揺らして見せた。 「土管の露出度MAXだし」 「お兄ちゃん!トリコに変なこと言うなし!!」 「るっせ!ホントの事だろが!」 「マジムカつくし!」 「、レはマジありえねーほど疲れたし!」 トリコはいつもの通り始まる兄妹喧嘩にまたか、と苦笑した。 「とりあえず兄妹で玄関塞ぐなって」 トリコはサニーの両手の紙袋を受け取り、騒ぐリンをなだめながら奥へ進んだ。 ふぅ。と息を吐いて見送るサニーに向かってココは笑った。 「お疲れ様、サニー。それとありがとう」 「、にも感謝される事してねーし」 サニーはつ、と体を隅に寄せ、背後を見遣る。 「その謙虚さ、そしてつくしさ!リンに少し教えてほしいし」 ココはくすっと笑って、サニーの言葉の先に最高の笑顔を向けた。 「お帰り、蒼衣。」 to be Continued. ← |