※臨正前提、帝正
どん、
「…紀田君?」
「ちょっと背中貸して」
屋上で来週行われる期末の予習をしてたら先程までぶつぶつと言いながらも勉強をしてた正臣が背後から抱き着いてきた。
「どうしたの?」
「んー…悲壮感に浸ってる」
なにそれ、と言いかけそうになるがふと正臣の声と肩が震えてるのに気付いて言葉は飲み込む。
「…正臣」
「ん?」
「なにかあったんでしょ」
いつになく弱気な正臣から視線を外し青い空を見上げながら僕は口を開いた。くっついてるせいかダイレクトに正臣が身体をびくつかせるのが分かる。
「…別に」
「臨也さん?」
「……っ」
頭を振った彼にぼつく様にあの人の名前を口にすれば分かり易く反応を返された。
――やっぱり
「隠さなくていいよ。臨也さんになにか言われた?僕のことは気にしないで話してよ」
渦巻く気持ちを押し隠す様にやんわりと抱き着く手を離して正臣に向き直り微笑を浮かべる。
正臣の顔は情けなく歪んでいた。
「…俺、嫌われたかも」
「どうして?」
「…臨也さん、優しくしてくれ…たのに俺、上手く言葉に…出来なくて可愛くも…出来なくて…さ」
ああ、ずいる
臨也さんはずるい。彼の言動総てが正臣を動かさせて、こんな弱々しい顔をさせる。僕だって
彼が好きなのに。
「大丈夫だよ、正臣」
「…帝人?」
そんな黒い思いを胸中に隠して、僕は正臣を抱きしめた。少しだけ驚きを見せた彼は暫しすると僕の肩に顔を埋める。
「…そのままで十分に可愛いから」
今だけはこのままでいたいな。
(嘘つきなんだよ、僕は)end
弱音を吐く正臣がスキ。