※裏表現含む
静雄が変態かも…酷いかも知れない
来神時代











「………ッッ!!」

声に為らない声が静まった空気を震わせて揺るやかさを失うと同時に、部屋の主である静雄はガバリと起き上がった。
額には明らかな汗が滲み出ていて口から漏れる息は荒々しく、肩を忙しなく上下させる。
天井に掛かる時計は未だ朝の6時を回ったとこで耳を澄ませば、鳥の囀りが鼓膜を燻るが、それらは全て静雄の前では無意味と化す。

──有り得ねぇ有り得ねぇ有り得ねぇ!!何だアレ何だアレ何だアレ!!?!

寝起きにも関わらず心臓はバクバクと煩いくらいに鼓動を打ち、頭に浮かぶのは自分が見た夢の朧げだが鮮明なフラッシュバックで、信じたくない現実に静雄の脳内は軽いパニックに陥る。

夢を見た、
嫌な夢だ、
俺が臨也(アイツ)を──。

──なんつー夢見てんだよッ!?朝からあんな胸糞悪ぃ…ッ!!

脳内に焼き付けられた映像を振り払うように頭を思い切り振る。目がくらくらするとかは考えられないくらいに振り終えるとガチャ、と音を立てて部屋のドアが開いた。
ビクンと反射的に肩が跳ねる。


「……兄さん、起きてたんだ」
「か、すか…」
「朝ごはん、出来てるからって」
「あ、あぁ」
「…うん」

そこに居たのは自分の弟である幽の姿でドアの開いた隙間からひょこりと顔だけで室内を覗き短い会話を交わす。5分も話さない内に再びドアは閉まり廊下から遠ざかるスリッパが床を踏む音が聞こえた。


完全に音が消え去る頃には、荒々しかった息をいつの間にか正常に戻り、起きた直後よりは混乱する頭も落ち着く。
安堵からか浅い溜め息が零れた。

「…あれは夢だよな、夢」

自分自身に言い聞かすように吐息混じりに言葉を落とすと、気分を入れ替えてリビングに向かおうと腰に力を入れる、…────だが、それはある事実によって尽く停止された。

「……うそ、だろ…」

顔が引き攣る。
──ああ、だって、これは、夢  ─
















「シーズちゃん」

最悪だ。
あれから時間は巡り、今は昼休み。屋上で有意義な休み時間を満喫していた静雄の心境は、ある一人の人物の登場によりその言葉のみで埋め尽くされた。
嫌な皮肉めいた笑みを口元にニヤニヤと浮かばせ座る静雄の真横から見下ろすように臨也はいた。静雄が今日、この日、会いたくないと心から願った人物。

そんな静雄の心境も当たり前ながら知らず臨也はからかうように、否からかう事を目的とした表情で何も言わず自分から目を逸らす静雄に言葉を投げる。

「今日はキレないんだ?珍しいこともあるもんだねぇ、気持ち悪いなぁ」

「…るせぇ、手前の顔は見たかねぇたんだよ。さっさと失せろ」

「なにそれ、横暴じゃない?」

どうでもいいから臨也を見たくない静雄の気持ちなど露知らず臨也はクスクスとふざけた笑いを漏らしながらキレないのをいい事に静雄の隣へと座る。
心地好い風が臨也の艶やかな髪を揺らした。

「………ッチ、」

横目で見えたその光景が、似ても似つかない今朝の夢で見た、乱れた黒髪と被さる。考えをしないでいようとする程に夢は蘇り、沸き上がる苛立ちと微かな自分でも気づかない感情に苛まれ静雄はヤンキー宜しく舌打ちをかました。

「うへー…本当に怒んないのかよ、なんか今日、変だよ。…ああ、いつも変だけどね。化け物並に」

いつもの減らず口でカンに障る言葉を並べ立てる臨也の言葉は耳には入らず、苛々とする頭で横目に映る晒された鎖骨に自然と静雄の喉がコクリと鳴った。

──マジで冗談だと言ってくれ。笑えねぇ、笑えねぇけど…


「ちょっと聞いてんの?シズちゃん」

『…──しず、ちゃ…っ』

思考の波にさらわれてる最中、薄く開いた唇から紡がれた言葉が、鼓膜で聞いたはずではないのに夢の中の声と重なった瞬間、──ただ感情の赴くままに静雄は臨也を押し倒していた。










「…し、ずちゃん…?」

訳が分からないと見上げる赤茶けた瞳と視線がぶつかる。押し倒してる張本人でさえ今この現状を感情の高ぶりのみで起こしているのが事実で、張本人──静雄は答えぬままに晒された喉に顔を埋め噛み付いた。

「…──ッ!い、た…ぃ」

歯が膚に食い込む感覚に臨也は目を見開いて抵抗をする。けれども体格も違ければ腕力の違いも明確な為、抵抗はほぼ無意味なもので臨也の思考は混乱を始める。
ぷつり、と噛まれた膚から少量の血が伝った。

「…だから、さっさと失せろって言っただろーが…」

「意味、わかんない…。つーかなんなの?いい加減どいてくんないかな」

首筋から顔を上げた静雄は口角を吊り上げれば、言葉だけは冷静なものの震える声は隠し切れず臨也は苦虫を噛んだ表情を浮かべる。

「手前が忠告聞かなかったから悪いんだろ、ならなにされても二言はねぇよな?」

「なに、い……、ーっ!?」

困惑気味に眉を寄せる臨也の言葉は静雄が彼のズボンを一気に脱がせたことにより閉ざされる。瞬時に羞恥からか沸騰したように赤く染まり上がる頬。

「…はっ、男の癖に肌白いよな」

ズボンで隠されていた、色白い細い脚を見下ろし静雄はからかった声で言えば、口をわなわなと開閉させていた臨也が怒りを露にして静雄を睨み上げた。

「っ…冗談もいい加減にしろよ!全然笑えないんだけど!さっさとどけ!この変態!!」

冷静さのカケラもない怒鳴り声を撒き散らし、上がった息で肩を上下させながら臨也は無駄と思うも脚をばたばたとさせ、腹部を蹴り上げる。
臨也の靴先が腹部にめり込むのを見て黙っていた静雄はくつくつと不気味な笑いを零した。そして面倒そうに臨也の足首を片手で掴むと僅かに力を篭めた。

「変態で結構。つーか暴れんな、面倒くせぇ、次暴れたら足、折るからな」

「なっ……」

まるで棒を折る口ぶりで言い捨てた台詞に臨也は表情を真っ青にする。冗談ではない、言ったら絶対にするである静雄だ。流石の臨也でも足を折られてしまえば色々不都合であるし、人間であるから激痛を伴う痛みを負いたいとも思わない。

答えは、明白だ。

「わかったみてぇだな」

大人しく力の抜けた脚を一瞥して満足げに言い捨てると、残された下着に静雄は手を掛けた。
いくら馬鹿だとしても分かってしまうこの状況に臨也は屈辱を滲み込ませ、何故こうなったのか理解も共感さえも絶対出来ない理由を探す。最初から変ではあったが正かこんな事をされるなんて思わなかった。思ったならばすごいだろう。

そんな事を考えてる間にも下着を下ろされると露にされる下半身。お世辞にも立派とは言えない日本人男性平均とほぼ同等サイズであるそこは、やはり萎えたままで、臨也は目を合わせたくないと静雄から顔を逸らす。
──だが、両脚を掴まれ開かされた際に静雄が呟いた言葉に臨也はこれまでにない絶望を含ませた表情を浮かばせた。

「面倒くせぇから、慣らさなくてもいいよな」

聞くすらもしない断定する言葉に臨也は言葉を失う。男が経験のない彼でもする行為は嫌という程分かっている、多少の痛みは必ずしも伴うことを。だが初めて受け入れる場所に慣らしもなく挿れられるなんて考えなくても答えは分かり切ってる。
そんな考えを巡らせてる間にもカチャカチャと無機質な音が響き、焦りが増す。

「しずちゃ、ちょっ…と待、て」
「ぁあ?」

爪先で地面を引っ掻き震えそうになる声を押さえ込んで比較的落ち着いた声で臨也は静雄に制止の言葉を投げかけた。

「も、もうちょっと落ち着いて考えてみようよ…、相手分かってんの?君が嫌悪してる奴だよ?折原臨也だって分かってる?」

「………、」

冷静を装って引き攣りそうになる顔に取り繕った笑みを浮かばせて淡々と問い掛ける。額にうっすらと冷や汗さえ浮かばせて。

「絶対後悔するって、したくないでしょ。こんな一時の気の迷いなんかでさぁ…、だから、ね?シズちゃ、」

「……言いてぇことはそれだけか?」

「そ…だけ、ど…」

あまりに静か過ぎる静雄の返答にびくりと肩を震わせて臨也は小さく頷く。流れる沈黙、だがそれを破ったのはくつくつと何度めかの笑いを零した静雄の声。

水を振りかぶったように臨也の耳に、無情な言葉が届いた。




「んなの、はなっからどーだっていいんだよ。考えんの面倒くせぇし」

「な…ぁ…っ、」

大きく見開かれる瞳、愕然とした表情の臨也に追い打ちを掛けるようにひたりと本来排泄に用いられる部位に確かな熱を持ったソレを宛てがわれる。反応するより前に、躊躇なんてなく図太いソレが臨也の中に侵入した。

途端、沸き上がる悲鳴、

「ひあ゛あああアああぁあ゛あ゛!」

みりみりと肉を裂く音と重なり合わせて悲痛な声が二人だけしかいない屋上に響き渡る、白い赤い雫を垂らす喉がのけ反る。見開いたままの瞳からぼろぼろと涙腺が壊れたみたいに臨也は涙を溢れさせた。

「や、っぱきつい…な…」
「あぁ…あ゛…抜い、てぇ…っ」

未だ半分も入らないところであまりのきつさに静雄も若干眉を寄せる、だがそれよりもそれ以上の痛みが始終襲う臨也は、まるで子供のようにいやいやと頭を振って逃げ腰になる。実際は静雄の手が腰を掴んでるため、痛みに逃げようにも出来ないのが事実だが。

「はっ…さっきまでの威勢の良さはどうしたんだ?イザヤくんよぉ…」

「ほん、とに…いた、ぃ…の、お願…っしずちゃ」

情けないくらいに涙で頬を濡らして普段ならば絶対にしない懇願を惜し気もなく臨也は吐き出す。伸ばした手で力無く静雄のブレザーを掴んで、顔を歪ませた。

──ああ、これだ。

自然と浮かび上がる笑み、感情、高ぶり。一番望んでいた、夢の中で確かに欲情を覚えた、表情。全てが鮮明に蘇り、確かに夢と同じだがそれ以上に静雄は情欲を募らせた。
プライドさえも忘れて泣き喚いて懇願する、ドクリと胸が高鳴って、先程よりもこゆく、静雄はごくりと生唾を飲んだ。







浮かんでた迷いなんて、いつのまにか吹っ切れていた──



でかく温かみのある手が、さらさらとした臨也の髪を梳くように撫でる。臨也は何度めからの驚きを見せて、身体を震わせた。ゆっくりと下半身に力を込めて、静雄は残酷なまでに柔らかな笑みを作って口角をつり上げた。

「まだまだ、お楽しみはこれからだろ?なあ?臨也、」

顔面を蒼白にして口をわなわなと震わせる臨也を無視して、静雄は手加減もせずに、自身を最奥まで捩りこんだ。









と現実、さあ"本物"はどっち?
(夢よりも非現実的で、現より生々しい)







end


後書きという言い訳

わたしの趣味全開←
当初夢であはんしちゃって朝起きた静雄が…な話だったんですが、取り敢えず臨也が巻き込まれました。途中からシズちゃん吹っ切れてまじゲス雄。
途中、突っ込まれて臨也は泣いて懇願するか堪えて意地を張り笑うか考え、やっぱ未経験なら泣いた方がry ごめんなさい、許しての言葉を本当は書きたかった。

このあと、嫌だ嫌だと泣き喚く臨也くんに少し暴力を振りながら静雄さんは臨也くんを喰えばいいと思います(性的意味で)

すみませんorz



(夢と現の境界線)
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