R18
やってるだけにも見えるのは謎

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「マジで此処でやんの?」

「じゃあ何処でやんだよ」

「…最悪」


薄暗く人の気配がしないとは言え、少し離れた場所からは祭りの賑やかな声が聞こえて来る。その状況下で木に押し付けられて今正に情事を行おうとしている現状に折原臨也は目眩さえ覚えた。
そんな臨也を知ってか知らずか覆いかぶさる様に居る平和島静雄は静かに口角を上げる。


「この万年発情期」

「手前がンな格好してっからだろ」

「シズちゃんだって着てんじゃん」


『浴衣』

そう、二人は浴衣を着ているのだ。
理由はと言えば今日が年に一度の夏祭りであるから。だがその祭りにも関わらず二人は現在実に場違いな事をしている。


「俺、未だかき氷食べてない」

「後で食べりゃいいだろ」

「シズちゃんのバカ!これ終わった後なんて歩ける訳ないでしょ、マジで死んでよ。分かる?分かってる?此処外だよ?どんだけ発情してんの」

「あー…うっせえ」

「なにそれ、受け入――…ひっ」


この侭では又普段の様にベラベラと喋り出しそうな臨也を黙らせ様と生地の間から手を入れ太股をやんわりと撫でる。
瞬間ビクッと臨也は身体を跳ねさせて小さく声を漏らした。


「し、ずちゃ…」

「言ってる割には反応してるなぁ?」

「うっさい…マジで死ね…」


太股を撫でられただけで顔を火照らす臨也を面白げに静雄が言えば、キッと覇気のあまりない目で睨まれる。
そんなものは脅威には成らず静雄は内股を撫でながら下着に手を伸ばす。下着越しからも伝わる主張にククッと笑いを漏らせば臨也は悔しそうに歯を噛み締めた。


「こういう場所のが興奮すんのか?」

「は、それは君でしょ…俺は、んッ」


反論しようとする言葉も布地の上から自身に触れられればびくりと肩を揺らす。はあ、と熱の篭った息を吐き出す臨也の様子に静雄はゾクリと背筋に情欲が走った。
主張する自身に下着の上から手を添えやんわりと揉み扱けばありありとのけ反らせ立ち上がるのが手を通して伝わり口元を三日月に歪める。


「ふ、んあ…ぁっ!ちょっと、下着濡れ…たら帰り…どうするの、さ」

「ノーパンで帰ればいいだろ」

「ふ、ざけ…ふあッ!」


小さく声を漏らしながらも途切れ途切れに文句を言ってくる臨也の言葉を軽く受け流して一旦手を離せば下着の中に手を入れ直に自身へと触れ扱けば、臨也は先程よりも一層甘い声を上げた。
徐々に迫り来る感覚に薄らと生理的な涙を目尻に浮かべて見を捩る。それを押さえ付ける様に身体を押し付けては更に強く刺激を尖端へと加えれば達するのはそう遅くはなく、慌てて自分で口を手で覆えばくぐもった声が静寂な林に響き渡った。


「は、あ…はぁ…っ最、悪」

「…感じてた癖によぉ」

「下着びちょびちょなんだけど…」


絶頂の余韻に浸りながらも達した事により白濁で濡れた下着が気持ち悪く臨也は眉を寄せる。
それでも静雄は少しも悪びれる事はせずに自分の浴衣の布を上げると自分の自身を取り出して手早く臨也の浴衣を捲り上げると器用に下着を膝上まで下げて後孔にひたりと宛てがった。
臨也の顔が見る見る内に青ざめる。


「シズちゃん…ちょっと待って、慣らしてないよ…ね?」

「あァ?手前は早く終わらせてえんだろ?だったらこのままでいいじゃねえか」

「それとこれ…―――い、ぐッ」


優しいのか優しくないのか分からない返答を返され益々焦りを見せる臨也をにたりとした嫌な笑みで見ては声を掛けることもなく自身を無理矢理埋め込んだ。
無理に広げられ内蔵が押し上げられる感覚に臨也は目を見開くと苦痛の滲んだ声を漏らす。
痛いってもんじゃない。唯でさえ凶器に近いそれを無理矢理入れられたのだから息もままならなくてギュッときつく瞼を閉じた。


「ひあ゙、ぁ…う…っ痛」


出来る限りの悪態を頭の中で浮かべながら耐え切れずボロボロと涙が頬を伝う。折角着込んだ浴衣は着崩れが凄いし下着はべちょべちょだし苦痛は激しいはで、やり場のない怒りに似た気持ちが心中募るも真後ろでずかずかと中に侵入してくる奴には無意味なもの。

臨也が心の中で舌打ちをつくと同時に静雄の動きが止まりやっと全部入ったのだと臨也は胸を撫で下ろした。

いや、あんまり嬉しくないが。


「はっ…も、痛い…」

「…流石にきついな」

「痔にでもなったら殺してやる」

「はあ…、この状況でよく悪態がつけるこった」

「ちょっ…んあ、あ!やめ…んンっ」


臨也の制止をも無視をして未だきつく締め付ける中、律動を始めれば苦しげさを含んだ喘ぎ声が発せられる。
なんとか止めさせ様にも木と静雄の間で挟まれては抵抗も意味を為さない。そして一番厄介なのは苦痛の中から徐々に沸き上がる快楽。
何度も重ね合った身体は何処が感じるかなんて知られており、そこを突かれては自然と漏れる甘い声。


「ひゃ、んあぁ…う!」


揺さ振られて突かれる感覚に目がチカチカとする。外と分かっていても臨也自身、身体を支えるのが精一杯で口を押さえる事も出来ずに自分の聞きたくもない甲高い声が口から零れ、気持ち悪さに眉を寄せた。
臨也の気持ちなど知らずに激しさを増す律動に再度沸き立つ限界に為す術のない臨也は身を委ねる。


「…ん、イく…」

「シズちゃ…っひや、ああッ!」


どうやら静雄も限界が近いのか一言呟けばラストスパートを掛けるべくギリギリ迄引き抜くと一気に突き上げる。同時に暑い欲望が臨也の中へと注がれ其刺激に本日二度目の絶頂を迎えた。













「最、悪…何度も言うけどホントに最悪。下着がパアだし浴衣も着崩れたし、もう祭りに参加出来ないし…」

「………」


あれから暫くして腰の痛みで立ち上がる事の出来なくなった臨也は惨めにも地面に座り込み履く気にもなれない下着を脱ぎさっては悠々と立ち煙草をしている静雄を睨み上げながら文句をぐちぐちと言っていた。
遠くでは矢張り祭囃子の賑やかな音が響き、行けないと言う事実が更に臨也を惨めにさせる。

未だタコ焼きしか食べてない。


「それなのにどっかの誰かさんは責任感じてないし無能だし馬鹿だし絶倫だし…かき氷、食べたいし…」


段々とトーンの下がる声。
かき氷かき氷と呟く臨也にどんだけかき氷が食べたいんだと呆れた様に静雄は溜め息をつくと吸っていた煙草を地面に落としサンダルの裏で踏み付けた。


「はあ…、わあったよ、買ってくりゃいいんだろ!かき氷!」

「……うん」

「じゃあそこで待ってろ」




臨也の表情が少しだけやわらいだのを確認して静雄は駆け出す。
サンダルでは走り難いと考えながら。


(…やっぱり祭り回った後にすりゃ良かった)




祀×浴衣=情欲
(…ほらよ、かき氷)
(……俺、いちごじゃなくてブルーハワイが良かったんだけど)
(じゃあ食うな)
(はあ?食うし…シズちゃんのハゲ)
(ハゲてねえし)




end 


--後書き--

あれ…浴衣がテーマだったのに浴衣が空気で唯やってるだけ…
臨也んの浴衣姿って欲情しますよね



(祭祀×浴衣=情欲)
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