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「 響け声よ、我はここで唄う
鮮やかな旋律、それは光
星詠の願い
箱庭の中の歌姫
月奏の祈り
剣に秘めるは君への想い
微笑むあなたを守りたい
唄を謳いましょう
愛するあの人に届くように
唄を奏でましょう
この世界の全てに幸福あれと」
アルセル公国の片隅にあるオルト村の孤児院を兼ねている小さな教会、そこで不思議な唄を唄う少女がいた。誰かが教えたわけでもなく、自然と唄を謳っている。その唄はアルセル公国にはない、どことも知れない異国の唄だった。
そんな不思議な唄を謳うのは齢十七の一人の少女であった――
第1幕 貴女が必要
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