年寄りのお節介は、人によって感謝する時がある



朝の修行も終わり、ちょっとした気分転換に外を見つめると、そこには名前さんの姿が見られて、思わず口元が緩くなるのが感じられて、俺は誰にも見られていないことを確認すると、もう一度外を見つめた。

名前さんの家では、今大掃除を行っているみたいで、俺の家みたいに大きくない家を掃除している姿を見つめて大変そうに思えた。

俺の家は、お掃除ロボットなど母さん達が発明していくもので簡単に終わってしまうが、そう言う類のものを持っていない名前さんは1つ1つ必死に掃除をしていて、なんだか少し温かい気持ちにもなれる。

そんな姿を見て、俺は少しでも助けてあげられたらと思って行動におこした。


「母さん。ちょっと出かけてきます」
「あらトランクス、どこに行くの?もしかしてデート?」
「ちょっ、ち、違います」
「あらやだ顔が真っ赤。やっと恋人を探すようになったか」
「だから、違いますって」
「なんだったら名前ちゃんの所に泊まって来ても全然大丈夫だからね!」
「な、なんで名前さんの所だって」
「あんたの行動くらいわかっているつもりよ。時間は違えど、あんたの母親なんですからね」


豪快に笑いながら、こっちの話を一切聞かずにそのままリビングへと消えていった母さんに俺は溜息しかつく事しかできなかった。
だが、出かけることを伝える事が出来た俺は、すぐさま名前さんの元へと足を踏み出した。

名前さんの家の前に立つと、窓が開いているせいなのか、中から声が響いてくる。


「じじい、そっちは後どれくらい?」
「いやぁ、腰が痛くなっての」
「昼ご飯のおかずをつまみ食いしている姿を見せられて、誰が騙されるか!掃除をしろ、掃除を」
「コラ名前。年寄りをもう少し労わらんか」
「労わって欲しければ、それなりの態度をとれよ」
「なんじゃと、家出してやるぞ」
「するなら掃除終わってからにしてくれよ」
「いやじゃ、今すぐ出て行くからな」
「へいへい(どーせ、寒いからとか昼飯だとかで、すぐに帰ってくるな)」


そんな声がしたと思ったら、玄関の扉が勢いよく開き、その先には名前さんのおじいさんが立っていた。
そして、俺を見つめ黙ったままで、どうしていいのか分からない。

どうもと、挨拶と軽く頭を下げて、もう一度おじいさんを見ると、なんとも楽しそうという言葉が当てはまりそうな顔をしていた。


「もしかして、名前にデートの約束でもしにきたのか、青年」
「え、違います!その、なんだか大変そうでしたので手伝う事があればと思って」
「そんな建前を言わなくとも、わしにはしっかりわかっとるぞ」
「いや、分かっていない気が…」
「さて、外になんか行っていられんぞ。中のほうが楽しい事になりそうじゃ」


そう言って、すぐに俺の腕を引っ張りながら家の中へと戻っていくおじいさん。
扉をまた元気いっぱいに音を立てながら開けると、戻ったぞと叫んでいた。


「ほらみろ、外が寒かったんだろ。おとなしく掃除の続きをするぞ」


という言葉が、2階から降ってきて、階段の上を見ると名前さんが呆れた顔をしながら降りてきていた。

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