年寄りのお節介は、人によって感謝する時がある



名前さんは俺の顔を見つめると、一瞬だけ目を見開いて、すぐにおじいさんへと視線を向けると、少しだけ顔を歪ませて、大きな溜息を吐いた。


「おい、じじい」
「なんじゃ名前?」
「またか」
「違うわ。青年から訪ねてきたんじゃ」
「ほう。本当の事を言ってみ?」
「な、たまには信じてみるのが孫の勤めじゃろ」
「たまにはだろ?それが今日だなんて分かるかよ」
「それもそうじゃな」
「ごめんな、じじいが無理やり連れてきたんだろ?」


悪いなと言いながら、眉をハの字にしながら申し訳なさそうに名前さんが問い掛けてきた。


「いえ、その、掃除とか、男手があったほうがいいかと思って訪ねようとしたら、玄関からおじいさんが出てきて」
「ほれ、見てみろ」
「威張るな、イラっとする」
「その、お邪魔ではないのなら手伝う事はありますか?」
「でも、やっぱりなんか悪いしさ。なんとか2人でなりそうだから」
「そうです、よね。すみません。押しかけみたいな事をして」


やはり急に押しかけては、名前さんに迷惑をかけるだけなのか、苦笑しながら断る名前さんを見て、少しばかり自分勝手だったかなと感じながら、謝罪を入れて、立ち去ろうとした瞬間。


「そんなことはないぞぉ!」


というおじいさんの叫びに近いような声が響いた。


「うるさ」
「そんなことはないぞ」
「2回も言ったし、何がだよ」
「やはり、彼は必要だと思うぞ」
「だけどな」
「考えてみろ名前。年寄りと女では、出来る事なんぞ限られておる。それに青年は見た感じ、良い体つきじゃ。きっと役に立つ。な?」
「あ、はい。力関係なら、普通の人より余裕ですよ」
「(ま、サイヤ人なら余裕そうだけどさ。関わるの面倒臭いんだよ)だけどさ、手伝わすのはやっぱり、気を使うって言うか」
「そんなこと気にしていたら何時までたっても、名前に彼氏が出来んのじゃ!」
「か、彼氏ですか!?名前さん探しているのですか!!」
「探していないから落ち着け、そして作る気もないからな。」
「なっ、ワシの楽しみを奪うというのか!」
「違う楽しみを見つけろや」
「孫が見たいんじゃー」
「あたしが孫だろうが、あたしを見とけ!そして、会話が思いっきりずれてるぞ」


孫が曾孫がと言いながら、おじいさんは泣き崩れていった。
そんなおじいさんを見た名前さんは、またかと言いながら、彼氏は絶対作らないからと声をかけていた。

心配とか、慰めの言葉ではないところが名前さんらしいが、その言葉は少し俺にとっても寂しく感じていた。

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