どんな人でも白熱する時は理由がある



「おい、貴様」


名前は、呼ばれた声に振り向けば、そこに居たのは不機嫌丸出しという顔を惜しげもなく出し、腕組をして、俺は偉いというカッコで立っているベジータがいた。


「なんですか?」


そんな雰囲気を持っているベジータに関係ないように、返事を返すと、多少だけベジータのオーラが増したのは間違いではない。


「おい」


振り向きもしない名前に、苛立ちを隠せずに眉間に皺をよせて、もう一度名前を呼んだ。


「だから、なんですか? 今忙しいんですよ」


名前の返事に、今度は青筋が増えた。


「ほう、俺には貴様がゲームしている様にしか見えんがな」
「間違ってませんよ。でも、今すごく力の入れ時なんですよね」
「……」


さらにもう一本青筋が増えたベジータは無言で、歩き出した。
そんなベジータを気にする素振りはなく、未だにゲームに熱中している名前。
ベジータは、ブチッとコードを引き抜いて、叫んでいる名前に向き直った。


「な、な、何するんですかベジータさん!」
「フンッ」
「意味がわかんねーし!ここまでノーセーブでやってたのに、努力が全て無駄になった」
「貴様の努力など、俺にはどうでもよい。それより、俺の質問に答えろ」
「自己中が!で、質問って何」
「最初に言っただろうが!なぜここに居る」


腕組からいつの間にか腰に手を当てて、さらに偉そうにしているべジータを見ながらも、名前は焦る素振りも見せずに呆れたというように声を出した。


「そんなに不機嫌なオーラを見せられても、怒りたいのはこっちなんだよベジータさん」
「どういうことだ」
「ベジータさんが厳しくも意外と可愛がっている息子に、無理やり連れてこられたんですよ。散歩中に」
「…トランクスにか」
「そうですよ。周囲から見たら誘拐ですよね、コレ」
「……(トランクスがぁ!!)」
「……(あ、怒ってる)」


互いに無言になるが、そこにあるのはトランクスに向けられたベジータの怒りだった。


「そのトランクスはどこだ」
「悟天と約束がと言って、置いてかれた。ま、素直に言うとムカツク」
「……」
「だいたい、どんな我儘に育てたんですか? だから、勝手にゲームをしていたってとこです。異論は?」
「ない」


さて、と言いながら立ち上がった名前をみながらベジータは名前の行動を見ていた。
そして、差し出されたものを見ると、先程なくなった眉間の皺が再び現れた。


「何がしたい」
「勝負しませんか?」
「俺は、修行するからそんな暇はない」
「商品は、コレですけど?」


そう言って、差し出したものはチケットのようだ。
ベジータはそのチケットにかかれている文字を読み上げると、口の端を上げた。


「三ツ星レストラン三社が共同開発して作成された特製ハンバーグ。しかも、食べ放題無料券。とある経路で手に入れたんですよ」
「面白い。貴様がこの俺に勝てると思っているのか?」
「勝負は、してみないと分からないもんです」
「フン。そのチケットとの別れを悲しんでいるんだな」


両者の間には、火花が散っているのが見えるようだった。


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