一緒に居たい相手



部活も終えて、少し疲れた体を車のソファーに鎮めながら、目を瞑った。


「はぁ(つまらないな)」


部活がつまらないわけではない。
もちろん毎日必死にボールを追い、昨日より今日。
今日より明日。
一日一日上達して行く高揚感はテニスをしている最中は感じる。

つまらないのは、その他の日常だ。

もちろん生徒会長である俺は、暇ではない毎日を過ごしているのだが、ここ数日俺は笑うことが少なくなったのを自分でも実感できている。

その原因はわかっている。
アイツが、名前が来なくなったからだ。
携帯を見ても、名前からの連絡は未だに入って来ない。


「今お前は、どこで何をしている」


小さく呟いた俺の声は、着いたと告げられた運転手の声に掻き消された。
家へと帰ると、出迎えられた執事の鈴木が理解しがたいことを口走った。


「景吾様。今日のお食事は部屋にお持ちいたしますので」
「あ?あぁ。分かった」


何故部屋でとも思ったが、今日の俺は思っている以上に疲れているらしい。
反論せず、俺は自分の部屋へと向かった。
そして、扉を開けるとそこは・・・


「景、お帰りー」
「・・・・・っ名前!!」


ここ数日会いたかった姿が、聞きたかった声が、触れたかった名前がそこにいて、俺は小走りで、名前のいるソファーにかけていった。

名前はソファーに座り、メイドに出させただろうお菓子を摘みながらバラエティー番組を見ていたようだ。


「っこのバカ名前が!」
「いったーい!!なんで殴るのさ景」
「この数日間どこに行っていた」
「ちょっと用事あるってメールしたじゃん」
「嘘つくんじゃねぇよ、そんなメールは一切来てねぇ」
「はぁ?ちゃんと送信しましたー」


憎たらしい口調で、記憶力なくなっちゃたんじゃないのかと呟いた名前の頭を軽く殴ってから、俺は名前の携帯を取り上げて、送信履歴を見た。

プライバシー?そんなもの俺たちの間には存在しねぇよ。
現に、名前だって俺の携帯を弄りテニス部の誰かにメールを送ってやがるしな。
そして、見つけた名前が送ったと言っただろう内容のメール。


「確かに送っているな」
「そら見ろ」
「だが、俺にじゃねぇ」
「ん?」
「件名に俺への内容を書いているくせに、宍戸に送ってどうする!」


あちゃー間違えちゃった。と笑いながら携帯を俺の手から取り戻して弄りだして、違うメール画面を俺の前に突き出してきた。


「どうりで宍戸が土産の要求するわけだわ。ホラ」

前へ 次へ


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -