夏のデートがしたくて



暑くて仕方がない。
だからと言って、何もしないわけも無い。
今俺は……携帯とにらめっこしている最中だ。

電話をかけても平気だろうか?
断られたらどうしよう。

俺らしくない不安が、暑さからか膨らんでしまう。
こうして携帯をもって見つめる事数十分。

いざという時に頑張れないとは……情けないな。
だけど、このままではダメだ。
頑張れ……俺!!

プルルルル……プルルルル……


出ろ!
出ろ!!
出ろ!!!


「はい。名前です」


出た!!!!


「もしもーし?」
「…………(誘い方って、今日いきなり遊びに行くぞって、おかしいのか?)」
「おーーい!! なんだよ、この暑いときにイタ電とかしてんなよ」
「あっ、俺…………志波だけど」
「うん。携帯の表示見たから知ってる」
「…………そう、だな(俺、本当に情けないな)」
「そうだよ。で?」
「その…………声が……聞きたくて」
「そっか……じゃぁ、もういいよね?」
「は?」
「今からアイス食べるから、切るね」
「いや、ちょっと、待て……」


いきなりの展開に、俺はついていけなくて、我に返って必死に引き止めるのが精一杯だった。


「えー。まだ何かあるの?」
「あぁ。…………その、遊びに行かないか?」
「遊びにね。まぁ、暇だしいいけどどこに? 場所によって行かない場合もあるからね」


そう言った彼女に、俺は窮地に立たされた気がする。
野球をまたやるようになった時より、必死な気がした。

無難そうな場所がいいよな……なら、あそこか。


「それじゃ」
「決まったの?」
「あぁ。……臨海公園に行かないか?」
「臨海公園?」
「あぁ」
「臨海公園かぁ、遊覧船とか乗るの?」
「あぁ。それもいいが、その…………煉瓦道とかを、歩かないか?」
「いいね。煉瓦道」
「あそこは人口と海が上手く共存しあっているし」
「素敵な場所だよね」
「あぁ」
「あんな場所が、他にもできればいいのに」
「あぁ。いいかもな……コンクリートや金属ばかりだと風景も寒々しいし」
「だね。これからもずっと見守りたい」
「そうだな。なんなら…………ずっと一緒に…………」
「志波君。うぅん……勝己君」
「名前……」


よし………………いい感じだ。

以上【志波勝己の脳内即席イメージ】でした。

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