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【 案内 】
ウォータイムを終え、後のブリーフィングでロシウス生に自己紹介も終えた。
それと明日の朝の全校集会で学園長さんの言葉からみんなに紹介される。

もう少しでミゼルが来る頃かなと、時計を見て思った。もう影も長くなる。水平線に太陽がくっつきそうだ。
生徒が下校する姿を職員室で見送りながら、思い出を重ねていた。
門の前でタケルとスズネと、カゲトラさんか報告書を提出し終わるまで遊んだっけ。
同盟を組んでからはそこにジェノック第一小隊も混じって……そうだ。

「法条くん」

「なんだ?」

「アラタは最近この島に帰ってきましたか?」

そう聞くと、法条くんは木場くんと顔を見合わせて微妙な顔をした。
口ごもり、言い辛そうに視線を合わせる。

「え、な、なんですかその反応……まさかアラタは……!」

「いや、違う。どうか誤解しないでほしい」

「あー……なんつーかさ、タイミングが合わなかったよな……って」

「アラタは昨日まで居たんだ。一週間な」

「えぇえええ!?」

き、昨日までいたって……この島に!?しかも一週間!
バットタイミング……昨日最後の船で帰ったのか。帰ったというか、次の行き先に向かったのか。
落ち込む私の肩を叩く紫色の手袋。ああ、優しいな……法条くんは……。

「そう落ち込むな。また帰ってくる」

「そーそー。一年いるんだし、クリスマスか正月には会えるって」

「センキュー慰め……」

クリスマスか正月……遠いな。まだまだ先じゃないか。それでも会える可能性がゼロじゃないなら、いいか。
ポジティブに考えよう。ポジティブに……。

「……でも惜しかった、」

「一日早ければな……って泣くなよ!?」

「いや泣いてないけど」

「ねーえ、ちょっと」

職員室でだべる私達に声がかかる。
声の主は入り口の扉に寄りかかった風陣くんだ。
不機嫌そうに私を見つめ、ストラップのついた鍵を見せてくる。

「部屋の説明したいんだけど?」

「待たせて悪かったな。アユリ、俺はまだ仕事があるから後はカイトに聞いてくれ」

「了解です。それじゃ、お疲れ様でした!」

「ああ、お疲れ」

「お疲れー。また明日頼むな」

風陣くんのもとに小走りで向かい、手に持っていた鍵を押し付けられるように渡される。
「行くよ」とそっけなく言われ、スタスタと先を歩く風陣くんの背中を追いかけた。
鍵についたストラップには手書きの文字で“307”と書かれている。察するに、三階の七号室だ。
お隣は誰かと聞くと、左は伊丹くん、右は風陣くんだと返ってきた。伊丹くんから壁ドン食らいそう。

「夕食は自炊するかダック荘にでも行って済ませて」

「キッチンはあるんですね」

「あるけどそこまでハイテクじゃないよ。コンロと流し台があるくらいだ」

ハイテクじゃなくたって、それくらいあれば充分じゃないかな。
詳しく聞くと、小さい冷蔵庫もあるみたいだし。トイレはあるけど風呂はないみたい。
神威島に数軒ある銭湯に行く必要があるね。歩くの面倒だなあ。

「ダック荘に住みたい……」

「馬鹿言わないでよ。全くさあ、成長してるのは見た目だけなの?その言動、学生時代と中身は変わらないね」

呆れた、と肩を竦める風陣くんを見て思う。
風陣くんも変わらないね。
まだ19歳だし、私も風陣くんも大人になりきれてないからね。
体だけが成長して、性格とかがそれに追い付かないんだ。というか、追い付けない。

「ついたよ。さっさと管理人に挨拶してきて」

「わかりました」

とても立派なアパートの扉を開け、入ってすぐのフロアにある管理人室の小窓を叩く。
すみませーんて声をかけた時に振り向いた姿にまた驚く。

「朝比奈くん!?」

「よ、アユリ。久し振りだな」

「お久しぶりです!」

ヘッドホンを首につけ、LBXをカスタマイズしている最中の朝比奈くんだった。
帰ってきたこの島に、知り合いがたくさんいて嬉しいな。

「カイト、案内頼むな」

「言われなくともやるさ。ほら、次は部屋に行くよ」

「はーい」

2016.06.17
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