甘い恋をカラメリゼ | ナノ
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――智駿さんとのおうちデートをした日から数日が経った。もうこの数日、きっといつもならなあなあと時間を食い潰すように過ごしてあっという間に過ぎるだろう数日が、ものすごく長く感じた。まだ智駿さんと会える日が来ないのかと、ソワソワした。

 この数日のあいだに、友達から何度か言われたことがある。「大丈夫?」と。何もしていないのに、大丈夫?なんて何度も聞かれた。

 たぶん。智駿さんにされたことを思い出してぽーっとしている俺を、変に思っているのだ。

 しかも、その「ぽーっとした感じ」は日に日に顕著になっていく。智駿さんと過ごした時間から離れてゆくほどにそれを恋しく想うから、というのもあるし、ついでにいうと俺は……一人エッチを封印していた。

 だって、今度は智駿さんが準備をしてくれるって言ったから。智駿さんがしてくれるなら自分で慣らす必要はないし、それに初めから簡単に慣らすことができたら色々と疑われてしまう。自分でオモチャを使って一人エッチしていたの? とか絶対に思われたくないし、あわよくば男を受け入れるのは初めてじゃないんじゃないか? なんて。


「んん……」


 智駿さんに色んなところを可愛がられたあの日から、身体がちょっと敏感になってしまっていて、自分で触っても感じやすくなってしまった。だから、一人エッチのときにはちょっと声がでてしまって、家族に聞かれないように布団を被ってオナニーするのが最近の俺の中の決まり。今日も、バイトから帰ってきてシャワーを浴びて、布団を被っていた。


「あっ……」


 最近のは、乳首をこすこすと触りながらオモチャでお尻の入り口のあたりをぐりぐりしている。普通の一人エッチじゃ、もう物足りない。


「んっ……んっ……」


 布団の中で上半身を伏せて腰だけを高くしたような格好をとる。そして、服の中に手をいれて乳首をこりこりして、お尻には服越しにオモチャの先っぽをぐりぐりと押し当てる。相変わらず智駿さんに触られたときに比べて刺激は足りないけれど、気持ちいい。


「はぁっ……んんっ……」


 刺激はじわじわと俺を追い詰める。智駿さんに触られたときはすぐにイっちゃうけれど、自分でやるとそうでもない。

 乳首をくにくにしているとチンコを使って早くイキたくなるけれど、それは我慢。お尻の穴にオモチャをあてているともっと気持ちいい奥の方にずぶってやりたくなるけれど、それも我慢。自分自身を焦らして、いやらしい気分をどんどん高めていく。

 そう、これ、智駿さんにされた。智駿さんの熱いものをお尻の穴にあてられてぐりぐりされて、それでも挿れてもらえなかった。あれは……すごく興奮した。焦れて焦れて挿れて欲しくてたまらなかったけれど……すごく気持ちよかった。


「いれてっ……智駿さん……」


 あのときのことを思い出しながら、俺は記憶の中の智駿さんに懇願した。

 そして次に、なかを掻き回されたときを思い出して。散々焦らされたあとに、あの意地悪。

 信じられないくらいに俺は乱れちゃったし、恥ずかしいことを言った。嫌らしい言葉を、たくさん。あれ、好きな人にいじめられたあとに言うと、すごくドキドキする。ゾクゾクして、もっといやらしいことして、ってそんな気分になる。

 あのときみたいな、興奮が欲しい。あのときの何もかもが、俺にとって最高だった。もう智駿さんの色んな意地悪の記憶が混ざって、焦らされたりいじめられまくったり、どっちの気持ちよさも、欲しくなる。


「智駿さん……もっと……」


 ぐりっ、ぐりっ、とオモチャをぐりぐりする手の動きが乱暴になっていく。お尻でイったあの感覚を思い出しながら穴を必死にいじめた。ほんとうに、お尻でイっちゃうの、気持ちよかった。

 また、あんな風にイきたい。イきたいけれど、なかには挿れちゃだめ。欲しい、欲しい、そう思っていると勝手に手の動きが激しくなっていって、腰も揺れ始める。


「んっ、智駿さん……挿れてっ……」


 智駿さんに焦らされる妄想をしながら、ひたすらにぐりぐり。挿れてっておねだりしてるのに智駿さんは微笑むだけで挿れてくれなくて、あの大きいものを俺のお尻にあててくるだけ……そして俺がひいひい言い始めたところで今度は乳首もいじめてくる、そんな妄想。


『僕の欲しいんだ?』

「欲しいっ……智駿さん……」

『これがそんなに欲しい?』

「あぁん……」


 妄想のなかの智駿さんの意地悪さは現実より二割り増しくらい。


『乳首もこんなにコリコリにして。いやらしいからだだね』

「んぁっ……乳首だめぇ……」

『だめ、なんて……よがってるくせに』

「あぁ……ひっぱるの、だめ……」


 智駿さんがするよりも、強く乳首を引っ張った。智駿さんはなんだかんだ優しいから、乳首を引っ張る時も強くは引っ張らない。でも俺は、痛いくらいぎゅーって引っ張られるのも好き。

 だから一人エッチのときは結構強く乳首を引っ張っていた。根元からぎゅって掴んで、そしてぎゅううって引っ張る。


「あっ、あっ……」

『変態だね、梓乃くん』


 お尻のなかがきゅんきゅんし始める。ああ、挿れたい。挿れたい、挿れたい。太いの、ずぼずぼしたい。焦れて、焦れて、苦しい。全身が熱くなって、くらくらとしてくる。気持ちいいけれどイケなくて、延々とこの焦れったい感じが続いてゆく。


『もう、限界だね。イかせてあげよっか』

「やっ、やぁ……」


 もう、だめだ。イきたい。堪らず俺はズボンを脱いでチンコを握る。そこは、エッチな汁でチンコはびちょびちょ。そのぬるぬるを絡ませながらチンコをしごき始めると、一気に快楽が押し寄せてきた。


「んっ、んっ、んっ」

『ほら、イっちゃって、梓乃くん』


 イキたくないのにイかされるって妄想しながらだと、尚気持ちいい。乳首をぎゅうぎゅうに引っ張りながらぐちゅぐちゅとチンコをしごいていって……


「ああっ……」


 弓反りになって、俺はイった。

 イってしまうとものすごい疲労感が襲ってきて、そのまま俺は布団の中でころんと横になる。精液で手がべたべたになっているけれど、洗いにいく気力もない。


「智駿さん……」


 ……ああ、なんかもう、救いようのない変態になってきているなあ。まっすぐに恋をしているつもりなんだけど……一応純情だと思うんだけど……。

 こんないやらしい一人エッチをしたあとは、いつも罪悪感に駆られる。でも、やめられない。しないとまた悶々が顔にでてみんなに心配されるだろうし、智駿さんのことを想うと心も身体もきゅんきゅんがとまらない。

 このまま恋が俺の何もかもに侵食してくるんだろうな。毎日が、俺を包む全てが、甘ったるくて、襲ってくる罪悪感すらも幸福に思ったり、思わなかったり。



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