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「シャワー浴びてきなよ」と言われたから、俺はひとり、浴室に入っていた。でも、シャワーを浴びる気にならなくて、ぼーっとバスチェアに座っていた。
全身が、疼いている。さっき、お尻でイきそうになったところを寸止めされたせいもあるけれど……智駿さんに触られたところ全部が、じんじんと熱を持って、お尻のなかのきゅんきゅんが止まらなかった。
奥の、届きそうで届かないところまで智駿さんの指がはいってきたことを思い出すと……
「……ッ、」
何もしていないのに、下腹部が芯を持ってくる。乳首もぴんっと勃っていて、エッチな気持ちになっていた。
どうしよう。頭から、エッチなことが離れない。乳首でイッちゃったときの感覚とか、お尻のなか掻き回されたときの感覚とか……ずっと再生されている。
だめだめ、って頭を振ってシャワーのノズルを回した瞬間に、ゾクッとしてイきそうになった。シャワーのお湯すらも刺激的に感じてしまう。
「あ……」
だめ、だめ、だめ……! 人の家の浴室で……!
「一人で感じているなんてだめだ」って頭をスッキリさせるために、シャワーヘッドを持って身体に近づけるとそれが裏目にでてしまった。
「んっ……」
さらに水流が強まって気持ちいい。
だめだ、こんな……智駿さんの家のシャワーで、こんな……。
「――梓乃くん、大丈夫?」
「……っ! だ、大丈夫です……!」
「朝ごはんできそうだから、はやくあがってきてね。辛かったら僕が手伝おうか?」
「いっ、いいです……! 急ぎます、すみません……!」
ばか! 俺のばか!
智駿さんが声をかけてきて、我にかえる。
俺は慌てて全身を洗って、ぶるぶると頭を振る。智駿さんと付き合ってから、俺、なんだか変。ここまで、四六時中エッチなことを考えることなんてなかったのに。今もずくんずくんと下腹部が疼いているのを感じながら、俺はため息をついた。
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