甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 vingt-trois


 いつもと、変わらない朝だ。朝日に瞼を撫でられて目が覚めて、そうすれば部屋の中にただよっていた甘い匂いが俺の鼻孔をくすぐる。体を起こしてキッチンを伺い見れば、そこには朝ごはんを作っている智駿さん。今日の朝ごはんは……フレンチトーストのようだ。

 俺は服を着て、智駿さんのもとへはやあしで近づいていく。俺に気付いた智駿さんはにこっと笑って俺を見つめる。



「おはよう、梓乃くん」

「……おはようございます!」



 やわらかな光の中で、大好きな人が笑っている。

 これは、奇跡の光景。未来へ届けたい、奇跡の一部。

 俺はこの人とこれからも奇跡を紡いでいくのだ。そう思えば今の一瞬一瞬が愛おしい。優しく微笑んで俺を見つめる貴方との、触れるだけのキスですら、狂おしい。

 これからもきっと、迷うことはあるのだろう。でも俺は、それを恐れない。二人でなら、きっと、未来を掴めると信じているから。


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