甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 vingt-deux


***

「梓乃くん、珍しいんじゃない? 
こういうことするの……」

「ん……そうですか?」



智駿さんが頭を撫でてくれて、俺は気持ちよくなって目を閉じた。智駿さんの撫で方は本当に優しくて、触れられたところから溶けてしまいそうなくらい。

俺は、上半身の服を脱いでもらった智駿さんに覆いかぶさって、その首元に顔をうずめていた。ちゅ、ちゅ、と何回も何回も、肌を吸い上げる。うっすらとついた痕をみて、胸がじわりと熱くなるような高揚感を覚える。

智駿さんの肌に、たくさんのキスマークをつけていた。智駿さんは俺にしては珍しいこの行動におやおやとなっているみたいだけど、俺も偶にはこういうことをしてみたい。



「上手く付けられてる? その位置だと僕から見えないよ」

「ん……智駿さんみたいに上手くできない…… 」

「あはは、がんばって。あ、でも、あんまり上につけちゃだめだよ。パティシエがキスマークちらりはマズイからね

「キスマークのぞかせるパティシエっていうのもそそりますね……大丈夫です、服で隠れるところにします」



キスマーク。俺は付けられるほうが好きだけど、やってみるとなかなかにいいものだなんて思う。キスマークは独占欲の一種みたいなものだと思うけど……俺も思った以上に独占欲が強いようだ。智駿さんにこうしていっぱいキスマークをつけていると、智駿さんは俺のものって気がしてきてドキドキする。



「梓乃くん、キスマークってつけたことない?」

「智駿さんが初めてです」

「へえ〜。それは嬉しい」

「そうですか? 色んな初めてを智駿さんとしてるのに、キスマークがそんなに嬉しいです?」

「キスマークはねえ……ほら、本能というよりは精神的な……なんていうか」

「んん?」

「梓乃くんが他の人には抱かなかった独占欲を、僕には向けてくれるっていうのがねえ、たまらないなって」



 言われてみれば、俺は今までのほほんとした恋愛をしてきたから、痕をつけたいと思うまでに強く独占欲を抱いたのは初めてだ。そう考えるとより一層俺が智駿さんと出逢えたことが奇跡に思えてきて、狂おしくなる。

 満足いくまでキスマークをつけて、キスマークも上手く付けられるようになってきた頃。智駿さんが俺の頭をくしゃくしゃと撫でながら、体を起こしてきた。



「ねえ、梓乃くん。他のところにもつけてみてよ」

「他のところ?」

「誰にも見えないところとか」

「……、」



 智駿さんがベッドの端に、腰掛ける。一瞬、俺は智駿さんの意図する言葉の意味がわからなかったが――いつもの、サディスティックな音色の声に、俺はようやく理解した。

 ……なんだろう。すごく、いやらしいというか――官能的なことをさせられる、気がする。

 智駿さんの視線に誘導されるようにして、俺はベッドから下りて智駿さんの脚の間に座った。智駿さんの内ももに触れて、智駿さんを見上げれば。智駿さんはにっこりと笑いながら俺の頭を撫でてくる。



「……ここに付けてほしいの? 智駿さん、すけべだね」

「ふふ。梓乃くんがそこにキスマークをつけているところが、見たいんだ」



 ゆっくりと、智駿さんのシャツのボタンを外す。はだけたシャツの隙間から、程よい肉付きの、俺の大好きな体がちらりと見えて、それだけで俺の下腹部がずくんと疼いた。あそこがきゅんきゅんとしているのを感じながら……俺は、智駿さんのお腹のあたりに唇を寄せる。



「んっ……」



 智駿さんの指が俺の首をすうっと撫で上げてきて、ゾクゾクっとして、俺は思わず声をあげてしまった。髪を梳かれたり、耳のナカを撫でられたり、絶妙な優しさで智駿さんは撫でてくる。キスマークをつけているのは俺で、どちらかと言えば俺が責めているものだと思っていたけれど……これじゃあやっぱり俺が責められている側な気がする。

 独占欲を引きずり出されて、智駿さんだけに独占欲を抱くように、もっと強い独占欲を抱くように――智駿さんに堕とされている。



「梓乃くん。顔、いやらしい」

「あっ、……」



 誰も知らない、俺だけが知っている、智駿さんの見えない場所。そこにキスマークを付けて、そして敏感な部分を指先で愛撫されて――直接的な快楽とは違う、脳みそが溶け出してゆくような、そんな麻薬的な快楽を俺は覚え始めていた。



「は、ぁ……」



 無意識に、吐息が漏れる。智駿さんに見つめられながら、智駿さんの見えないところにキスマークをつけているのに、興奮した。ズボンのホックを外し、ファスナーを下げて、少しだけ智駿さんの腰を露出させる。おへその下のあたり、腰骨のあたり、そして恥骨のあたり……そんなところに俺は、吸い付いていた。

 夢中でキスマークをつけていたから、どのくらいつけていたのかわからなかった。ふと、ちゃんと痕は残っているのだろうかと少しだけ顔を離して智駿さんの下腹部を見てー―俺は、かっと顔が熱くなるのを覚える。智駿さんの、腰のあたり。筋がくっきりとしていてちょっと色気のあるそこに、俺の付けた赤い痕が、いっぱい。

 

「あっ、……いっぱい、……つけちゃった……」



 普段優しくて穏やかで、素敵なパティシエの智駿さん。そんな智駿さんの下腹部に、たくさんのキスマーク。正体不明の倒錯的な興奮が、一気に俺の中に大きな波になって押し寄せてくる。



「ふふ、梓乃くん。だから、その顔、いやらしいってば」

「えっ……」



 ドキドキしてきて、頭がぼーっとしてきて。なんだかとろんとしてきたとき、智駿さんの手が俺の顎をつかむ。そして、くっ、と上を向かされて――俺を見下ろす智駿さんと、目が合った。



「結構すけべだね、梓乃くん。そこにキスマークをつけて、そんなに顔を蕩けさせちゃって」

「……ッ、」

「上手につけられたね。これで僕は、梓乃くんのものだ」

「智駿さん、……俺のもの……――あっ!?」



 恥骨の近くにいっぱいについた俺のキスマーク。それをみてうっとりとしていると――ぎゅんっ! と突然凄まじい快楽が脳天を突き抜けた。俺は何が起こったのかわからず、のけぞって「あ、はぁあ、あぁー……」なんて声をあげることしかできなかったけれど……強烈な気持ちよさの正体は、智駿さんが足で俺のお尻の穴を布越しにこすってきたことによるものらしい。



「もっとつけてほしいな、梓乃くん」

「あっ、あっ」



 腰が砕けてしまって、俺はまっすぐに立っていられなくなった。ぱふ、と智駿さんのお腹に抱きつくようにして崩れ落ちると、智駿さんがまた頭をなでなでとしてくれる。けれど、その間にも智駿さんは足の指で俺のお尻の穴をぐりぐりっとしてくるから、俺は腰をがくがくさせることしかできない。

 もっとつけて、って智駿さんが言ってきたから、俺はなんとかまた智駿さんのお腹にキスマークをつけようとした。けれど、やっぱりアソコを足でいじめられるのが気持ち良すぎて上手くできない。無意識に腰を振っちゃうし……キスマークをつける余裕なんて。

 でも、目の前にある智駿さんのチンコが、すごく美味しそうに見えた。まだ、ズボンも脱がしていないから殆ど見えないけれど、この布の下に俺のアソコを突き上げてくれるあのチンコがあるのかと思うと……どきどきしてくる。穴をいじめられている最中だから、なおさら。もう、全身が目の前にある智駿さんのチンコを求めているみたいだった。



「ちはや、さん……んっ、……あぁ……」



 俺は開いたファスナーの隙間に唇を寄せて、下着越しに智駿さんのチンコにちゅーをした。

 これがほしい。これで俺をめちゃくちゃにしてほしい……そんなことを考えながら。



「そこにつけるの?」

「ん、ん……」



 自らチンコにちゅーをし始めた俺を見て、智駿さんがくすくすと笑う。いや、まさかチンコにキスマークなんて想像しただけでひゅんとなるからしない。智駿さんは欲しがりな俺を見て、きっと……いつもみたいに、いじめたいって思ってくれているんだと思う。

 俺はドキドキとしながら、下着越しにチンコをはむはむとし始めた。跪いて、智駿さんの脚の間に顔を埋めてチンコを口で求めていると思うと、俺の被虐心がぎゅんぎゅんと疼いてくる。智駿さんになでなでされながらだから、余計に。智駿さんのペットになったような気分で、体の奥がじゅんっ、と熱くなってきた。




「梓乃くん。そんなに夢中で僕のものにキスして。僕の下着、梓乃くんの唾液ついちゃってるよ」

「す、すみませ、……あぁっ……」

「あはは。可愛い。直接舐めていいよ」

「んっ……」



 アソコを足でぐちぐちされながらだからか、上手く唾液のコントロールができない。俺は智駿さんのチンコにちゅーをしているうちに、いつのまにか唇から唾液をこぼしてしまっていて、智駿さんの下着を唾液でべたべたにしてしまっていたみたいだ。

 やっちゃった、と思うと同時に。すごくいやらしい気分になる。俺……ほんとに、智駿さんにはとろとろにされちゃうなって。俺、智駿さんの前ではこんなになっちゃうんだって。

 俺ははーはーと上がる息に従うようにして、智駿さんのチンコを下着から出す。まだ完全に勃っているわけではないそれ。でも、俺はこれが欲しくて欲しくてたまらなくて――辛抱たまらず、はむっ、と智駿さんのチンコを口に咥えた。



「んー……」



 頭のなかが、幸せでいっぱいになる。あんまりやらせてはもらえないけれど、俺はフェラをするのが大好きだった。特に、こうして見下されながらするのが、ゾクゾクしてすごくいい。

 智駿さんに頭を撫でられながら、俺は智駿さんのチンコを舐める。いつも俺をとろとろにしてくれているものだと思うと、舐めているだけでびりびりと舌が痺れている。いつもこれにイかされてるんだ……って考えるとどうしても精神的に屈服してしまうのだ。チンコにそんなこと考えているのは馬鹿なような気がするけれど仕方ない。



「は、ぁ、……んっ、んっ」

「梓乃くん、お尻寂しいんじゃない? さっきからヒクヒクしてるよ」

「ん……」



 智駿さんはそんな俺を見下ろしながら、やはりにっこりと優しく微笑んでいた。ついでに、足の指でぐうーっと俺の穴を押し込んでくる。

 お尻の穴も、随分と焦らされている。今の俺は智駿さんのチンコをしゃぶりたくてしょうがないけれど、お尻の穴もどんどん切なくなってきている。ズボン越しにこすられるだけじゃ足りなくて……俺は、急いで下を脱いだ。ベルトを外して、ズボンと下着を下ろして。そしてもう一度、穴を智駿さんの足にあてる。



「ん、ふ、……ぅ、ん……」



 やっぱり……直接触られると、ゾクゾクするくらいに気持ちいい。俺のお尻の穴にぴたっと智駿さんの足の甲が吸い付いて、その触れた部分からじゅわーっと快楽が広がっていく。そのじわじわとした波は脳みそにまでたどり着いて、俺はぼーっとしてしまって……何も考えられない頭で、智駿さんのチンコを求めるがままにしゃぶり始めた。



「ん……」



 根本まで咥えて、体を揺する。俺の口の中が智駿さんでいっぱいになっているのと、お尻の穴の刺激がすごいので、俺は一人で感じてしまっていた。智駿さんを気持ちよくしたいのに、なかなか、フェラに集中できない。

 けれど、ちょっとずつ、智駿さんのものが堅くなってきている。俺はそれが嬉しくて夢中でチンコをしゃぶった。じゅぽ、じゅぽ、といやらしい音が頭の中に響く。



「んっ、ふ、……んんっ、……んー……」

「梓乃くん、上手。」

「んっ……!」



 智駿さんの、おいしい。もうメロメロになりながらフェラをした。無我夢中になっていたから、それが智駿さんは嬉しかったみたい。嬉しそうに褒めてくれたから、俺は嬉しくなって体がきゅんきゅんとしてしまった。いつのまにか俺のチンコは勃っていて、先端からたらたらといやらしい液体が溢れている。お尻のほうまで伝っているから、俺のアソコはびしょびしょだ。智駿さんの足に跨って体を揺すっていると、ぬるっ、ぬるっ、といやらしい感覚がお尻の穴に伝わってくる。それが本当に気持ちよくて……俺は無意識に腰を振る速度をあげていた。智駿さんのチンコをむぐむぐとしゃぶりながら、お尻を振った。



「ほんと……やらしくて可愛い。梓乃くん、もう我慢できなくなってきたでしょ? おいで、気持ちよくしてあげる」

「智駿さん……」



 もっと、チンコをしゃぶっていたいけど。でも、智駿さんに可愛がられたいという欲求の方が一瞬で勝ってしまって。俺は立ち上がって、智駿さんに抱きついた。智駿さんは座ったまま俺を抱き止めて、「よしよし」と言いながら俺の背中を撫でてくれる。



「あっ……!」



 智駿さんが俺のお尻に手を這わせてきて……そして、つぷん、と指をなかに挿れてきた。ずっと入り口をくちゅくちゅとこすり続けて、なかがむずむずと疼いていたソコ。なかに挿れられるときゅーっ、と一気にしまって悦んだ。俺は下半身に力が入らなくなって、くたっと智駿さんにもたれかかりながら……されるがままに、声を出すしかない。



「ぁっ、あっ、んっ、ぁひっ、ん、っ、く、」

「いつもより感じやすいね。まだ一本なのに」

「ふ、ぁあっ、だっ、て……ちはや、さ……と、ひさびさ、……」

「そうだね。久々だから……僕もあんまり余裕ないんだ」

「あっ! あぁああっ……!」



 智駿さん、いつもは焦らしに焦らしてくるのに……今日は一気に激しくしてきた。ぬぽぬぽと指を抜き差ししたり、なかで指をバイブさせて前立腺を責めまくってきたり、とにかく激しい。お尻の穴にそんなに激しいことされたら壊れちゃうって、そう思うくらい。でもそのくらいにめちゃくちゃにされるのが、すごく興奮した。音もクチュクチュと激しくて、智駿さんにぐちゃぐちゃにされている感がたまらなかった。

 俺はすっかり堅くなった自分のチンコを、智駿さんのチンコにこすりつけるようにして腰を揺らす。そうすれば智駿さんもちょっと善くなってきたようで、息遣いが変わってきた。僅か、荒くなって、智駿さんの吐息が俺の耳にかかる。智駿さんの吐息に耳を犯されて、俺はもうおかしくなってしまいそうだった。



「あっ、あぁっ、ちはやさっ、はぁっ、んっ」

「梓乃くんの動き、やらし、」

「だって、あっ、んあぁっ、ちはやさんっ、きもちよくなって、ほし、いっ……あぁっ……!」

「うん……気持ちいいよ、梓乃くん。梓乃くんももっと気持ちよくなろう……?」



 ずりゅん、と智駿さんの指が俺のお尻から引き抜かれる。ぽかりと穴が空いて寂しくなったソコに、すぐさま智駿さんの熱いものがあてられた。早く挿れてほしくてたまらなくて、俺も腰を動かして智駿さんのものをなかへいざなう。最後まではいると熱くて重い痺れがずんっ、と脳天を突き抜けて、俺は体を硬直させながら声にならない声をあげた。

 智駿さんのものがなかにはいってきた瞬間に、俺はイッちゃったみたいだ。だって、仕方ない。もうどのくらい智駿さんとひとつになれていなかったんだろうって考えると、俺の体は智駿さんのものが欲しくて欲しくてたまらなかった、それが当然のことなのだ。滔々と噴水のように溢れ出る幸福感とか酩酊感が体も頭もなにもかもを痺れさせて、俺は魂が飛ぶような気持ちよさに耽ってしまう。智駿さんにぎゅーっと抱きつきながら、はーはーと息をして強すぎるその快楽を少しずつ逃していくことしかできなかった。



「……梓乃くん、いい匂い」

「そう、ですか……?」

「……うん。僕ね、梓乃くんの匂い好きなんだ……体が……梓乃くんのこと、覚えているみたい」

「ふふ、……それ、嬉しいです……智駿さん……」



 俺は動いてもいないのに汗だくになって、熱くてぼんやりとしてしまう頭で……智駿さんにキスをした。まだ呼吸も落ち着かなかったけれど、とにかく密着したかった。

 

「ん……ふ、……んん、……」



 繋がったところが、ビクンビクンと鼓動している。そのたびにナカはきゅんっ、きゅんっ、と疼いていて、今すぐにでもガンガン突いてもらいたかった。すでに最奥まで入り込んだ智駿さんのものは俺の自分の体重でぐりぐりと俺の奥を刺激しているけれど……今は、そこまで。奥をぐんぐんやられている快楽を感じながら、俺達は……甘ったるいキスを、楽しんだ。



「はぁ、……ん、……ん……」

「んーー……」



 深い、キス。舌を絡め合ってお互いの舌を味わうようにじっくりとキスをしていると、頭が真っ白になる。もう智駿さんのことしか考えられない。ばかになってしまいそうで怖いくらい。でも、このまま何もかもがわからなくなって智駿さんのことだけを感じられなくなってしまってもいい……そう考えてしまうくらいに、気持ちいい。

 智駿さんが俺のお尻を掴んで、軽く、揺すってくる。ぐちゅり、と結合部が音をたてて俺の体がゆるく前後した。その瞬間、なかにはいった智駿さんのものがぐんっ、と俺の前立腺を刺激してきて……俺のなかが一気にきゅんっと締まってしまう。俺のアソコはすっかり智駿さんのものの形になってしまっているから、ちょっと動かされただけで気持ちいいところをぴったりと責めてしまうらしい。



「あっ、……はぅっ……」

「あっ、まって梓乃くん……唇、はなさないで……」

「ちはやさっ……ん、……」



 俺のチンコがぴくぴく震えて、さきっぽからとろとろと液体が溢れ出ている。それでも智駿さんは俺の前立腺を刺激してきて……俺はイキそうになるのを堪えて、ぎゅっと智駿さんの腕を掴んだ。キスしながらイッたら本当におかしくなってしまいそうで、ふーふーと息をしながら必死に堪えた。



「んっ、ふ、……ぅんっ、んっ!」



 俺がイクのを耐えているのに気付いているんだろう。智駿さんはじわじわと俺の気持ちいいところを責めてくる。ぐんっ、ぐんっ、と俺の体を揺すり、俺の声がどんどん高くなっていけば更に激しくしていって。キスも絶対に逃がさないと言わんばかりに、片方の手で俺の後頭部を掴みながらめちゃくちゃにしてくる。
 
 キスされながら、いじめられる。甘くて意地悪な、智駿さんの責め方は本当に善くて……俺、大好きだ。俺は智駿さんに唇を塞がれて、息もろくにできない状態で、涙をぽろぽろと流しながらーーイカされた。俺は智駿さんに腕と脚でぎゅーっとしがみつくようにして、「んー……!」なんて声をあげちゃって、イッてしまった。



「……梓乃くん、可愛い」



 俺がイってぐったりとすると、智駿さんが甘ったるい視線で俺を見つめ微笑んで、俺をベッドの上に横にさせてくれた。はー、はー、って息を吐くことしかできない俺に腕枕をしながら、頭を撫でてくれる。

 ゆっくり、視線を智駿さんにむければ――あまりにも優しい智駿さんの顔がそこにあった。俺の頬を撫でて、親指で唇を撫でて――顔を近づけて、腰に響くような……ないはずの子宮が震えるような声で、囁く。



「こうして梓乃くんが僕の前でイってくれると、梓乃くんが僕のものって感じがして嬉しい。僕は、キスマークをつけるよりも……強い痕を残せているね」

「……はい」



 唇を重ねて、抱きしめあった。もうずっと前から、俺の心は智駿さんに痕をつけられている。一生消えない、キスマークのようでキスマークよりも濃い、強い痕が。


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