甘い恋をカラメリゼ | ナノ
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 凛との出会いは、友達に誘われて行った合コン。合コンは正直乗り気じゃなかったし、めんどくさいから早く帰ろうと思っていたけれど、そこにいた彼女がなんとなく気になってしまった。その時点では、好きとかそういったことは思っていないと思う。「気になる」というのはそういった意味での気になるではなくて、合コンの雰囲気にそぐわない暗い雰囲気が気になってしまった、という意味での「気になる」だ。



「二次会行こうよ、まだ飲み足りないっしょ?」

「凛ちゃんも行くでしょ?」



 一次会のときもあまり笑わず、楽しいといった様子を見せなかった彼女。そんな彼女に気をきかせた友達が彼女を二次会に誘ってみたけれど……彼女は、首を横に振った。やっぱりか、という気持ちが周囲から感じ取れたし、他の人がそれ以上無理に彼女を誘うことはなかった。



「智駿、一次会で帰るんでしょ? 凛ちゃんのこと、駅までよろしくね〜」

「あ、うん」



 そんなわけで、当然のように彼女と二人で駅まで行くことになった。最後、みんなと別れるときに彼女は無理をしたように笑っていたけれど、店を出た瞬間、またどんよりとその顔に影を落とした。


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