甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 huit


 ホテルにはいって、お互いシャワーを浴びる。二人で入ると色々とやってしまって時間がなくなるということで、もう夜も更けている今日はバラバラに入ることにした。

 先に俺があがって、部屋で智駿さんを待つ。なんとなく鏡をみると、智駿さんにもらったネックレスをつけた自分が映っていた。三ヶ月記念のときにもらったネックレスは、毎日つけている。これをつけていると自分が智駿の所有物だって目でわかるから、心がるんるんする。でも……



「智駿さんも俺のものだし……」



 首輪のリードを、智駿さんに絶対に離さないでいてほしい。油断なんかして、他の人にキスなんかされたらゆるさない。

 ネックレスのチェーンをいじりながら俺はそんなことを考えて……自分も相当な独占欲だな、なんて思う。



「あ、梓乃くん」



 鏡を見ながらネックレスをいじっていれば、智駿さんがシャワーからあがってきた。いかにももらったプレゼントに浮かれています、といった姿を見られて少し恥ずかしい。智駿さんもそんな俺をみて、微笑ましいなんて顔をしている。



「ち、智駿さん!」



 でも、俺はそんな恥ずかしさを振り切って、鏡台の前から立ち上がった。そしてベッドにストンと座ると、じとっと智駿さんを睨んでみる。



「ほんとに……気をつけてくださいよ! セラみたいなばかほど危ないんですから!」

「……ごめんね」

「ほんとにほんとですよ!」

「うん……」



 智駿さんが申し訳なさそうな顔をしながら、俺の側までやってくる。そして、ゆっくりと俺の隣に腰掛けた。



「……」



 油断、してるな。智駿さん、絶対油断している。俺が普段、がっつくタイプじゃないからって、こうやって油断している。



「わっ」



 俺はこのチャンスを逃さまいと、智駿さんを一気に押し倒した。智駿さんはそれはもうびっくりしてしまったようで、目を見開いて俺を見上げている。

 ああ、なんかいいな。自分をびっくりしたような顔で見つめてくる好きな人を組み敷くのって、なんだかゾクゾクする。



「し、梓乃くん……!?」

「……俺、智駿さんが思っているよりも、独占欲強いんです」

「……、」

「それを……智駿さんに知って欲しくて」



 俺は智駿さんにのしかかるようにしてキスをした。キスは絶対にいつも主導権が智駿さんに持っていかれちゃうし、今日こそは……と思って、俺のほうから舌をいれてみる。智駿さんはいつもに増して積極的な俺に驚いているのか、行動がワンテンポ遅れていた。キスも、俺に誘導されるようにして舌を絡めてくる。



「んっ……んん……」



 主導権はどちらかといえば俺。でも……やっぱり感じやすいのも、俺。セラから智駿さんを奪いかえした喜びも相まって、身体が敏感になっている。俺が攻めているはずなのに……いやらしい声は俺の口からでてしまって、キスをいながらも腰がゆらゆらと揺れてしまう。

 智駿さんが俺のお尻に手を回してきて、ゆっくりと揉みしだいてきて。アソコがきゅんきゅんいってしまって、身体が熱くなる。こんなんじゃまた主導権を智駿さんにとられてしまうって焦って、いやらしい声をあげるのを頑張って堪えた。



「は……あ、……」



 顔をあげると、智駿さんが少し意地悪そうな顔をして見上げていた。でも、俺が乗り上げてキスの主導権を握ったことはあまりなかったから、珍しく主導権をとられた智駿さんの顔が、新鮮。いつもよりもなんだか色っぽくて、ドキドキとしてしまう。



「……智駿さんは、俺の、ですからね」



 唇を離すと、智駿さんはぱたりとシーツに腕も落とす。俺に、今日のセックスの主導権をあげるってことだろう。無抵抗状態の智駿さんなんてなかなか見れないから、かあっと顔が熱くなって頭が真っ白になってしまった。



「……どうぞ、梓乃くん」

「……っ、」



 智駿さんに委ねられて、軽く混乱してしまう。何をすればいいんだろう。いつも智駿さんにどうされていたっけ。ぐわんぐわんと頭の中で必死に考えて、とりあえず智駿さんのバスローブを脱がさないと、と気付く。

 恐る恐る智駿さんのバスローブの帯に指をかけて、引いて行く。

 ゆるりとバスローブがはだけて、智駿さんの肌が露わになった。ドキドキとしながらさらに脱がせていけば、智駿さんの上半身が姿を現して、いつも見ているのに何故か直視できない。俺はそこまで脱がせたところで手が止まってしまって、固まってしまった。



「終わっちゃうの?」

「……ま、まだ、です……」



 次は……ええっと……必死に頭で絞り出して、俺は智駿さんの首筋に唇を寄せた。いつも、ここに痕をつけられているなと思って。



「ん……」



 俺は、智駿さんに痕をつけられるのが大好きだ。ひとつつけられるたびに智駿さんの独占欲が体に絡みついてくるようで、ゾクンゾクンとしてしまう。いつも自分がつけられているときのことを思い出して、俺が智駿さんに痕をつけているというのに、アソコがきゅんきゅんとヒクついてしまった。

 軽く甘噛みをするようにして、ちゅっと肌を吸う。そうすると智駿さんの唇から吐息が漏れて色っぽい。エッチな気分になってアソコがじんじんしてきて冷静に責めるのが苦しいけれど、ここは意地で我慢だ。ひとつ、ふたつ、と何個も痕をつけていく。



「……いいよ、もっとつけても」

「いっ……言われなくても……」



 ちらりと智駿さんを見つめれば、智駿さんがにっこりと微笑みかけてきた。智駿さんは俺が感じ始めるとそれに感づいてしまうから、もう俺が「そんな状態」になってきているのに気付いているんだと思う。それでもわざとらしく、あくまで俺に責めさせる。

 だめだ、ここまできても智駿さんはエスだ。このままだと俺がこうして責めている意味がない。



「智駿さんのこと……骨抜きにしてやりますから……! 俺じゃなきゃ満足できなくしてやる……!」

「あはは、楽しみ」



 智駿さんからの挑発にきーっとなりながらも、俺は続いて智駿さんの鎖骨に吸い付いた。度々智駿さんの鎖骨は色っぽいと感じている。智駿さんはあまり露出のない服を好んで着ているから、脱いだ時に現れるこの鎖骨に、どきっとしてしまう。

 くっきりと浮き上がった鎖骨を、ちゅっと吸う。唇にその凹凸の感覚を感じて、身体が熱くなった。あの色気のある鎖骨に、俺は今痕をつけているんだと思うとドキドキしてしまうのだ。



「んっ……んん……」



 半分勃ってしまった俺のものが、智駿さんの身体に当たってじんじんする。いつも俺を抱く智駿さんの身体をいつも以上に感じてしまって、身体が反応してしまっている。



「あっ……ん、ふ……」



 智駿さんの身体。こうして舌で触れていると、みるみるといつものセックスの記憶が呼び覚まされる。いつも突かれている時に視界の中をちらちらとしていた智駿さんの胸元。ここを今、こうして舐めて、吸って、感じている。

 舐めると、こんな感じなんだ。熱くて、しっとりしていて、筋肉の感触がする。



「はぁ……あっ……」



 もう俺は完全にいやらしい気分になってきてしまって、腰が勝手に揺れだした。チンコはしっかりと勃ってしまって、アソコもヒクヒクしてくる。



「ふふ、梓乃くん。もっとガンガンきてもいいんだよ」

「あっ……!」



 ゾクンッ、と電流が貫いたような感覚に、俺は思わず声をあげる。智駿さんさんが……バスローブの上から、お尻の穴をぐりぐりと弄ってきているみたいだ。



「梓乃くんが攻めてこないと僕が攻めるしかなくなっちゃう」

「んっ……あ、っ……ひ……」

「ねえ、梓乃くん」

「ふっ……あぁっ……! あっ……、きょ、今日は……俺が……!」

「わっ」



 智駿さんが油断してセラにあんなことをされるから、こうして俺が躾けてやるって思っているのに。俺の身体はすっかり抱かれる身体になっていて、なかなか攻めることができない。でも、がんばるんだ。今日は俺がリードするんだ。そう思って……俺は、きゅ、と智駿さんのものを軽く掴んでやった。

 智駿さんは虚を衝かれた、そんな様子だった。びっくりしたような顔して、びくっと体を震わせる。

 俺ばっかり攻められるわけにはいかないんだ。俺も智駿さんのことを感じさせてやる。そう心の中では必死に強気になって、俺は智駿さんのものを扱き始めた。



「……っ、梓乃くん、がんばるね」

「あっ……んぁっ……智駿さんこそ……ぁひっ……何、反撃してるんですか……」

「んー?」



 智駿さんの攻撃が、俺をじわじわと攻め立てる。両手合わせて5、6本くらいの指でぐいぐいとお尻の穴をいじくってくる。俺の調教されきったお尻は奥を求めてきゅうきゅうとなかがうねりだすけれど、バスローブ越しの刺激だからもちろんなかにははいってこない。俺は智駿さんへの攻撃をがんばりつつも、腰がビクビクして頭がぼーっとしてきてしまった。



「あっ……あふっ……」

「手が休まっているよ」

「んんっ……」

「あは、がんばれ」



 ビクンッ、ビクンッ、と震えながら、俺は必死に智駿さんのものを扱く。でも、力の入らない手でゆるゆると扱いたところで智駿さんの攻撃が止むことはなかった。さらにお尻の穴のぐりぐりが強まってきて、その振動がなかに伝わってきてなかも感じ始めてしまう。



「んぁっ……あっ……」

「ねぇ、梓乃くん。僕のものを触ってくれるならさ、」

「う……」



 もう敗北寸前になっている俺に、智駿さんが微笑みかける。そうすると、智駿さんはするりと俺の手元に手を伸ばしてきた。そして、俺の手をとると、自身のものと俺のものを一緒に掴ませてくる。



「梓乃くんのものも一緒に扱いて」

「……っ、」



 智駿さんは俺の返事を聞くこともなく、再びお尻の穴を弄りだした。そろそろ俺のものからはエッチな汁がこぼれだしてくる。ぐっ、ぐっ、とお尻の穴に指を押し込まれるたび、にゅうっとチンコの先から出てくるのだ。

 もう、拒否することなんてできない。ここで結局智駿さんの命令に下ってしまうことになるけれど……こうして智駿さんを感じさせられるならまだ敗北は決定じゃない。俺は意を決して、自分のチンコと一緒に智駿さんのものを握って、自分のチンコからでてくるエッチな汁を使いながら扱き始めた。



「あぁっ……あっ……」

「ん、気持ちいい、梓乃くん」



 熱い。智駿さんのものが俺のにぴったりと当たっていて、熱い。お尻の穴とチンコ、両方感じてしまうとおかしくなりそうになる。でも、智駿さんも良さそうにしていたから、扱くスピードを上げてみた。



「ふ、ぁっ……ひっ、……あっ……」



 にちゅにちゅと俺のエッチな汁が音をたてる。腰がガクガク揺れて身体が崩れ落ちてしまいそうになるけれど、智駿さんに負けたくないと思って必死に手を動かした。

 見下ろした先の智駿さんの瞳が眇められる。こめかみのあたりに汗をかいていて、それが怖いくらいに色っぽい。ゾクゾクッとしてしまって、俺はそれでまた奥の方がきゅんっとしてしまう。



「ひっ、あっ……んゃっ……あ、」

「……っ、ほら、梓乃くん……もっとやってもいいんだよ、」

「んんっ……!」



 智駿さんがくぱっと俺のお尻の肉をひらいて、そこにぐりぐりと指を突っ込んでくる。バスローブのもさもさとした感覚がお尻の穴に食い込んできて、アソコがじんじんとしてくる。

 前からも後ろからも。ぐいぐいと刺激が俺を責め立ててきて、俺の限界はあっという間に訪れた。じわーっと熱がせり上がってくるような感覚を覚えて、下半身が硬直しだす。



「ひっ……、で、でちゃ……」

「……まだ、僕は出してないのに?」

「う、う……」



 早い。まだ負けるには早い。でもこれ以上チンコを弄っていたら、我慢はできない。イったらもう、智駿さんに最後までイかされ続けるのは目に見えている。



「ふっ、……」



 俺は諦めて、智駿さんのものからぱっと手を離した。強烈な快楽から解放されれば、身体からがくんと力が抜けてぱたんと智駿さんの上に倒れてしまう。



「お、……俺ばっかり、前も後ろもされたら……ず、ズルいじゃないですか……!」

「そう?」

「そうです……!」



 そうだ、俺の方が与えられている刺激が多い。俺の方が先にイッちゃうのは当然のことだ。

 まだ、負けていない。絶対に今日は俺が智駿さんのことをひいひい言わせてやる。

 智駿さんの上ではあはあと息をしつつ、じっと智駿さんのことをにらみあげれば、智駿さんはいつものように笑っていた。俺の言い分をわかっているのだろうか。



「じゃあ、公平にいこっか」

「……そう、公平にですよ……! 俺ばっかり……!」

「うん、じゃあ梓乃くん、こっちにお尻向けて」

「へっ」



――何? 

 俺が意味がわからないって思いながら智駿さんの顔を凝視したけれど、智駿さんの微笑みは変わらず。また俺ばっかり責められるのかなって思ったけれど……今俺が強いられている体勢を頭の中に浮かべて気付いた。この体勢なら、俺も智駿さんのものを舐めたりして責められる。ようするに、69をするってことだ。



「……っ」



 結構、恥ずかしい。一回もやったことがないというわけではないけれど、するときは大抵俺があっさりとダウンしてあまり智駿さんを責められない。

 できるかな……ドキドキとしながら俺は、智駿さんにお尻を向ける。



「あっ……」

「あ、すごい。もうヒクヒクいってる」

「あひゃっ……」



 べろんとバスローブをめくられて、お尻の穴を露出させられた。さっき散々いじられたお尻の穴が空気にふれてすーすーする。智駿さんに見られた瞬間、自分でもわかるくらいにヒクヒクしてしまって顔がかあっと熱くなった。

 でも、ここで羞恥心に悶えている場合じゃない。俺も責めなくちゃいけないんだから。

 俺はそろそろと智駿のものに触れて、口を近付ける。いつもだけど……フェラをする直前は、すごくドキドキする。気持ちが高揚するって表現のほうが合うかもしれない。ご馳走が出されたときと、同じ感じだ。ぱくっと一気に咥えたい気持ちと、じっくり味わいたい気持ち。それらが合わさってぐちゃぐちゃになる。



「んぁっ……」



 どうやって責めよう、そう悩んでいれば、きゅうんっとアソコが疼いた。智駿さんが、先に責めてきたらしい。俺のお尻の穴を指でくぱっとひろげて、そして舌で軽く舐めてきた。



「あっ……ひ、ぁっ……」



 ゾゾゾッと快楽が身体中を這いずり回って、身体から力が抜けてしまった。ぺたりと智駿さんの上に這いつくばって、ビクンビクンと腰を揺らしてしまう。



「ひっ、やぁっ、あ、ひっ……」

「ほら、梓乃くんも早く責めてきなよ」

「んやぁあっ……」



 舌先で穴をぐりぐりされる。ぐーっと開かれた穴を隅々までくりくりと弄られて、俺はあっさりととろとろになってしまった。力の入らない手で智駿さんのものに触れるものの、刺激なんてすることができない。



「ねえ、公平にしたいんでしよ? 梓乃くん、ほら……僕のことも気持ちよくして」

「んぁっ……」



 ぱちっ、とお尻を軽く叩かれる。俺が叩かれるの好きって知っているから叩いてきたんだ。こうすれば……俺はへろへろになって何もできないだろうって。

 悔しくて、俺はがんばって智駿さんのものをぱくりと咥えた。やられてばっかりだと思うなよって、そう思いながら。でも……



「んっ……ふぁ……はぅ……」



 お尻の穴をぐちゅぐちゅされて、全然フェラが上手くいかない。俺の身体が完全に抱かれるモードにはいっていて、責めるという行為ができなくなっていた。身体をふにゃんとさせて、智駿さんにひたすらお尻を責められる。チンコからはエッチな汁がたらたらと出てきていて、俺の下腹部はすっかりどろどろになっていた。こんな状態で責めるなんて、言えないくらいに。

 なんとか口でがんばろうと思っても、舌もろくに動かない。俺の口は智駿さんのものを咥えたまま、唾液をだすことしかできなかった。おおきな智駿さんのものをいっぱいにつめこんで、蕩けた声をだすばかり。



「んんっ……!?」



 もう負けちゃう、でもやだ、智駿さんのことを支配したいのに。俺の闘争心がガンガン削がれているなか、智駿さんはまた刺激を増やしてきた。たくさん舐めて柔らかくなったお尻の穴に指をつぷんと挿れてきて、そしてぬるぬるになったチンコを扱き始める。



「んんー……んー……」

「もしかしてもう限界かな?」

「んんーっ……」



 ぬっちゅぬっちゅと激しい音が鳴っている。それに合わせて俺の腰はビクンッ、ビクビクッ、って激しく跳ねて、でもそれでも智駿さんは刺激をやめない。ここでイッたらだめって我慢すればするほどに、身体は敏感になっていく。

 咥えている智駿さんのものは、俺の唾液でべたべた。朦朧とする意識のなかでゆるくぺろぺろと舐めてはいるけれど、そんなのフェラとも呼べないくらいにお粗末な刺激だと思う。俺はまともに智駿さんに攻撃をすることもできないまま、どんどん絶頂に追い詰められていく。



「んっ……んっ……」

「指だけで足りるの、梓乃くん?」

「んーっ……」

「挿れてくださいって言ってくれたら、挿れてあげるよ」



 智駿さんがお尻のなかをかき回しながら意地悪な言葉を言ってくる。はじめのころの意気込みはどうしたのか、俺はもう挿れて欲しくてたまらなかった。指で浅いところを掻き回されるよりも、智駿さんのふといもので奥をガンガン突かれたかった。口のなかいっぱいにいれているこの熱いものを挿れて欲しかった。



「ちはやさん……」

「ん、なに?」



 俺はぬぽんと口から智駿さんのものを出して、名前を呼ぶ。そうすると、ころんと俺の体は転がされてシーツの上に横たわった。智駿さんが俺の顔を覗き込みながら笑っている。もう、俺が屈服したって確信している顔だ。俺も……挿れて欲しい、その想いをもう否定できない。



「う……」



 俺はよろよろと手を伸ばして智駿さんの身体を掴む。そして、もう一度智駿さんの上に乗っかった。

 ぐしょぐしょになったアソコを智駿さんのものにぴたりとあてる。ふとくて熱いものが触れて、俺のアソコは歓喜するようにヒクヒクと疼いている。



「い、れ……くだ、……」

「ん? もう一回言ってごらん」

「い……れさせてください……、俺が、うごきます……」

「え?」



 俺の言葉に、智駿さんはびっくりしたような顔をしていた。俺はそんな智駿さんの隙をついて、ぐっと腰を落としていって智駿さんのものをなかに挿れていく。



「……騎乗位? がんばるね、梓乃くん」

「んっ……ぁ、」



 ここまできても、俺はまだ上でいたかった。今度こそ、智駿さんを翻弄してやるって、挿れながら意気込んでいた。俺が腰をがんばって動かしまくって、智駿さんのところをイかせてやるって。



「あっ……んぁあ……」

「ん、もうイキそうになってるよ梓乃くん。大丈夫?」



 でも、俺は騎乗位だとすぐにイッてしまう。この体勢だと、自分の体重で智駿さんのものが奥に奥にと入り込んでしまうからだ。ぐりぐりっと智駿さんのおおきなものが俺のなかの肉壁を押し進んでいって、一番奥までくる。

 だからもう俺の身体は歓んでしまっていて、なかなんて細かく痙攣していた。イキそうになっているのが、智駿さんにもバレてしまっている。



「あっ……ひっ、……余裕そうにしてられるのも、……今のうちだけです、から……!」

「そっかー、楽しみ」

「あうっ……!?」



 なんとかふんばって宣戦布告すると、智駿さんがグンッと一回突き上げてきた。突然のことに俺はビクビクッと仰け反って意識が飛んでしまいそうになったけれど、ぎゅっと唇を噛んで堪える。

 智駿さんはもう、勝った気分でいるんだと思う。はーはーと息をして目を潤ませている俺は、自分がちょっと動けばすぐにイかせてあげられるからって。そしてイかせ続ければ俺はあっさりと強気な気持ちなんて折れてしまうだろうって。



「う、動かないでください……!」

「えー、ごめんごめん」

「うう……」



 余裕そうな顔。絶対に泣かせてやるって俺が睨めば、やっぱり智駿さんは楽しそうに笑った。

 悔しい。今日は俺が智駿さんのことを骨抜きにする日なのに。なんとか智駿さんに虜になって欲しくて、俺は腰を揺らしてみる。



「ん、上手、梓乃くん」

「ううー……」



 ちょっと腰を揺らすだけだと、智駿さんから余裕は消えないらしい。もっとぎゅって智駿さんのものを締め付けなくちゃだ。締め付けるには……



「ひゃ……んぁっ……」

「あ、きつ……」



 俺が感じなくちゃいけない。俺はなかの前立腺を、智駿さんのものにぐいぐいと押し付ける。そうするとじゅわっと熱が膨らんでいって、気持よくてなかがきゅーっと締まっていった。その刺激に智駿さんはわずか目を眇めて、挑発するように笑う。



「もっと締め付けてもいいんだよ」

「……あぅっ……言われなくても……、……んっ、……」



 まだ智駿さんには余裕がありそうだ。全然締め付けが足りていない。俺はぐっと腰をひいてさらに前立腺を刺激してみたけれど、俺が耐えられるくらいの気持ち良さだと智駿も余裕なんだと思う。俺は自分が耐えられるのか不安になりながらも、なかで智駿さんのものが擦れるようにして腰を振り始めた。



「んぁっ、あっ、あっ、」

「ふふ、きつくなってきたね」

「ひぁっ、あっ、ひっ、」



 ぱちゅんぱちゅんと音がなる。なかで智駿さんのものにごりごりされて、俺は気持ちよくて蕩けてしまいそうになった。アソコが熱くてふわふわしてきて、イキそうな感覚が迫ってくる。でも、俺は頑張って腰を振る。ナカイキなら何回でもイけるし、たくさんイってなかを締め付けて、智駿さんを責めなくちゃいけないんだ。



「あっ、あっ、あっ、」

「ん、梓乃くん、イクんじゃない?」

「あっ、んっ、イクっ、イクッ、」



 ビクビク、ビクビク、となかが痙攣する。下半身がぎゅっと硬直して動けなくなって、俺はぎゅっと目を瞑りながら唇を噛んだ。またこれから動かなくちゃいけないから、この絶頂にも耐えないといけないから。

 でも俺の身体はそんなに我慢強くない。一回イクと腰が砕けてしまって、全身から力が抜けてしまう。



「あれ、梓乃くん……終わり?」

「うっ……ま、まだ……」



 体勢が崩れ落ちそうになっている俺を見上げて、智駿さんは楽しそうにしている。いつも俺をイかせてまくってるから、俺が一回イったくらいなら智駿さんは全然耐えられる。

 俺はふらふらになりながら身体を起こして、もう一度智駿さんを見下ろしてやる。



「あっ……ふ、ぁあ……っ、」



 ガクガクの腰をもう一度揺らして、また自分を追い詰めた。一回イってイキやすくなっている身体はものすごく感じやすい。軽く揺らしただけでもすぐにまたイってしまいそうになるくらい、感じてしまう。



「あっ……う、ぁ……」



 ビクビク、ビクビク、アソコが痙攣してまともに動けない。小さな絶頂がやってきては落ち着いて、そしてまた……という繰り返し。これ以上激しく動くと本当に腰が砕けてしまいそうで、ゆるゆるとしか腰を揺らせない。



「あっ……あっ……」

「んー、梓乃くん、」

「あっ……! んっ、ひぁっ……!?」



 そうしても俺がだもだとしていたからだろうか。智駿さんがグンッ、と俺を突き上げてきた。

 俺の身体はガクンと崩れ落ちて、ぱたんと智駿さんの上に倒れてしまう。智駿さんはもう俺の身体が限界だと判断したみたいだ。ズンッ、ズンッ、とゆっくりとしたペースで思い切り突いてくる。



「あぁっ! んぁっ!」

「もう、梓乃くんは責められなさそうだね」

「そん、っ、な、ことっ、……やぁっ!」

「そうかなあ」

「あっあっあっあっ」



 俺が自分の身体の限界を否定すれば、智駿さんが突き上げてくるペースを早めてきた。ズボズボと抜き差しをされて、奥をガンガン突かれて、俺のほんの少し生き残った負けん気も削がれてゆく。



「あっ、ひっ、あっ、あぁっ、」

「もっと深くイきたいでしょ? イかせてって頼んだら、やってあげるよ」

「やっ、あっ……!」



 もう俺は潮吹きをしてしまっていて、智駿さんのお腹の上にだらだらと潮を出してしまっていた。智駿さんに突かれるたびに俺の体は揺れて、その潮がぱしゃぱしゃと音を立てる。

 頭がぼんやりとしてきて、俺は意識朦朧としながら智駿さんに責められていた。またペースを落としてきた智駿さんは、ずぷっ、ずぷっ、と深く俺を突きながら問いかけてくる。



「ほら、梓乃くん」

「あっ……あっ……」



 一回突かれる度に、イッてしまう。智駿さんの上でビクン、ビクン、と体を震わせながら、俺は智駿さんをゆっくりと見上げた。

 こんな、焦らすようなピストンじゃなくて……いつもみたいにガンガンやって欲しい。でも俺がいくら我慢したところで今日の智駿さんはやってくれない。言わなくちゃいけないんだ。負けを認めて、智駿さんに懇願しないと、たくさんイかせてもらえない……。



「ち、はやさ……いか、せて……いかせて、ください……」



 ああ……言ってしまった。意地をはっていた身体が脱力してゆく。もう強気な態度でなんていられない。俺は……智駿さんにいっぱいイかせてもらいたい。



「いい子。じゃあ……たくさんイかせてあげるね」

「あっ……」



 智駿さんは楽しそうに笑うと、俺をころんとシーツに転がした。そして覆いかぶさってくる。

……やっぱり、俺は智駿さんに組み敷かれることに歓びを覚えてしまうらしい。こうして見下ろされた瞬間、俺のアソコがきゅんっと疼いた。



「ん、ゃ……」



 智駿さんは俺の脚を掴んで、ぐっと俺の上半身に向かって倒してくる。アソコ丸出しみたいなポーズをさせられてなかなかに屈辱的だけど、こういうのに悦びを覚えるのが、俺だ。恥ずかしい格好をさせられて俺は、ドキドキと期待に胸が高鳴り始めている。



「さっきよりも肌が紅くて顔もとろんとしてるね。梓乃くんはやっぱりこうされるのが好きなんじゃない?」

「はい……めちゃくちゃにされるの、すき……」

「じゃあいじめられるのが好きな梓乃くんのために思いっきり突いてあげるね」



 智駿さんも智駿さんで、だいぶ焦らされていたんだと思う。いつもよりもその目は攻撃的で、俺の心をゾクゾクさせてくれる。

 智駿さんはふっと微笑むと、俺のアソコにピタッとおおきなものをあててくる。二回目の挿入になるけれど、ものすごく興奮している。やっぱり俺は、「される」のが好きなんだ。



「あっ……」



 じわ、と智駿さんのものがはいってくる感覚。自分で挿れていくのとは違う、この待っている感じ。相手に主導権があるということが、こんなにイイなんて。



「あぁーっ……」

「あ、梓乃くん。もうイッんだ」



 奥まではいってきた瞬間にぶるぶるっとなかが震えて、イッてしまう。負かされたことに興奮しているのもあるのかもしれない。どんなに俺が上でいたいと心で思っても、身体は支配されたがっている。身体の快楽に心がへし折られた、その快感は思った以上にすごい。

 俺を見下ろす智駿さんをライトが照らしている。逆光で影のかかった智駿さんの顔にゾクゾクとして、もうどうにでもしてって気分になる。



「あっ……あっ……」



 ぐっと身体を半分に折りたたまれて、その上に智駿さんが覆いかぶさってきた。ぐりぐりっと奥に智駿さんのものがあたって俺の身体は震えたけれど、こんな体勢だから身じろぐこともできない。



「ほら、梓乃くん。ねだってごらん」

「あ、……ふ、あ……いじめ、てぇ……」

「うんうん」

「いっぱいずぼずぼして……ぐちゃぐちゃにおかして……」

「ふふ、りょうかい」



 ぽっきりと気持ちを折られた俺は、いつもよりも卑猥な言葉で智駿さんにねだった。こんなにエッチなことを言わされていることに悦びを覚えた。

 智駿さんはそんな俺の言葉をきくと、にっと意地悪そうに笑って目を細める。堕ちた俺をみて満足したように。その表情がまた最高に良くて、きゅんと胸が締め付けられる。この人に支配されることに、幸せを覚える。



「ふっ、……あぁっ……!」



 智駿が全身の体重をのせるようなピストンをしてきた。ひと突きひと突きが重くて、その度に身体が揺さぶられる。



「あっ、あぁっ……ちはやさんっ……もっとぉ……」

「いいよ、梓乃くん」

「ふぁっ……あっ……きもちいっ……きもちいい……ちはやさん……」



 いっぱい奥を思いっきり突かれて、俺のチンコからは潮がぷしゅぷしゅと飛んでいた。俺の身体も顔も、その自分のだした潮でびしょ濡れになって、全身がどろどろになっていく。

 たくさんたくさん突いてもらって、俺は何度も何度もイッた。そしてイクたびに、抱かれるってすごく幸せだなって思った。智駿さんのされるがままになるのって……智駿さんに愛されていないとできないことだから。こうして激しくされるのは、俺が智駿さんに愛されていて、智駿さんにとって抱きたい相手だから。



「ちはやさん……もっと、もっと……」

「まだイキ足りない?」

「もっとしてください……あっ……あーっ……」



 愛されて愛されて、俺は智駿さんが満足するまでたくさん突かれた。そうされながら俺は、智駿さんは俺のことしか見ていないんだって思い知って、ほんのちょっとヤキモキしていた自分がばからしいな、なんて思っていた。



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