甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 neuf


「わ、わー……」



 ご飯を食べ終えて部屋に戻って、俺は思わず声をあげてしまった。そこそこ広い和室のこの部屋の真ん中に、布団が二組。旅館ということで仲居さんが俺たちがご飯を食べている間に敷いてくれたんだろうけれど……こうしてみるとすごくドキッとしてしまう。



「え、えーと……」

「……まだ夜も更けていないし……のんびりしようか」

「は、はい」



 さあ、ヤってください!みたいな雰囲気に、さすがに智駿さんも照れを感じたらしい。少し顔を赤らめて、部屋の奥に追いやられたテーブルの前に腰掛ける。



「ま、まあ……せっかくの旅館だし。お酒でも飲もうか! 月も綺麗だしね」



 智駿さんはそう言って、いつのまにやら準備していた日本酒をテーブルの上に置いた。俺はこの何とも言えない気まずさをごまかすように智駿さんのもとに走り寄っていく。

 部屋に元から準備されてあったお猪口を二つ並べて、智駿さんがそこに日本酒をついでゆく。俺はその様子をじっと眺めていた。日本酒の香りがふわっと鼻を掠めて、それだけで頭がぽーっとする。実は俺は、日本酒を飲んだことがない。成人したのもつい最近だし、友達と飲むときだって飲みやすいお酒くらいしか飲んでいなかった。だから初めて自分につがれた日本酒をみて、ドキドキしてきてしまった。

 ……俺、お酒自体そんなに強くないけれど、大丈夫かな。



「ほろ酔いになるくらいにね。日本酒で酔うのは結構気持ちいいよ」

「……はいっ」



 智駿さんと一緒なら、大丈夫。ふらふらになっても、智駿さんにくっついていればいいんだ。

 お猪口を受け取って、ささやかに乾杯をする。お猪口を口に近づけてゆくと、日本酒の匂いがしてくらくらした。ほんの少し口をつけて、それを舌で舐めるように飲んでみると、ピリッとした独特の甘みを感じる。



「ひゃー」

「あ、梓乃くん日本酒はだめ?」

「ううん、大丈夫です」



 美味しいって言って飲める味じゃない。お酒の味とかほとんどわからない俺にとって、日本酒はとてもじゃないけれど味わって飲めるようなものでもなかった。でも、智駿さんが肩を抱いてきて、のんびりとした状態だと……こうしたものを飲むのも、なんだか楽しく感じる。ぼんやりと綺麗な月を眺め、俺はちびちびと少しずつそれを飲んでいった。



「んー……」

「あれ、酔った?」

「ううん、ふふ」



 なんとか一杯飲み終わると、顔が熱くなってきた。頭の中もふわふわとし始めて、気持ちよくなってくる。智駿さんに触れられるのと、夜風がすごく気持ちいいなあって感じるようになってきた。

 智駿さんは自分のお猪口にもう一杯そそいでいる。俺も、ってねだってみたら智駿さんに止められてしまった。もうちょっと飲めるのにって残念な気持ちになって智駿さんの腕にしがみつき、頭を肩口にぐりぐりしてみる。智駿さんが苦笑しながらも頭をぽんぽんと撫でてくれたから、嬉しくて口元が緩んでしまった。



「ちはやさーん」

「んー?」

「ちーはーやーさーん」

「……日本酒弱いんだね? 梓乃くん」



 なんだか楽しくて智駿さんに甘えてみる。智駿さんの首筋にちゅ、ちゅ、って吸い付いてみたり、ぎゅーって抱きついてみたり。そうしていればお酒を飲み干した智駿さんは「参ったなあ」って笑って、お猪口をテーブルに置いた。



「可愛いんだけど……可愛すぎて襲うのに罪悪感覚えるなあ」

「んー? おそっておそって」

「……飲ませるんじゃなかった」



 智駿さんの手元がフリーになったから、今度は智駿さんの脚を跨ぐように座って、正面からちゅーってキスをする。触れるだけのキスを繰り返したり、舌をいれてくちゅくちゅ交えたりすると、本当に気持ちいい。ふわふわしてきて何がなんだかわからなくなって……智駿さんの体が欲しくなってくる。



「ちはやさん、ちはやさん、エッチしよ」

「ふふ、もうちょっと梓乃くんが落ち着いたらね」

「えー? いますぐ! いますぐちはやさんとエッチしたい!」

「酔ってるときにしてもあんまり気持ちよくないよー」



 智駿さんははいはい、って言いながらも俺を布団の上に押し倒してくれた。でもエッチする様子はなくて、俺を抱きしめて頭とかにキスをしてくるだけ。抱きしめられるのも気持ちいいし幸せだけど、もっと智駿さんが欲しくて「エッチしたいー」って何度もぼやく。

 しばらくエッチしようしないって繰り返していて、どれくらい経っただろう。ずーっと布団の上に横になって抱き合って、キスをしていた。ようやく酔いも醒めてきて、頭もすっきりしてくると、体中が熱かったのが冷えてきて、ちょっと肌寒いなって感じた。



「電気消す?」

「えっ? 寝るんですか?」

「まさか」



 ふと智駿さんが起き上がって、電気を消してしまう。カチカチと音を立てて電気をいじりながら、智駿さんが言う。



「いやあ、前もちょっと思ったけれど、梓乃くんにお酒は良くないねえ」

「えっ、そんなに俺の酔い方うざいです!?」

「違う違う、可愛すぎて理性壊れそう」



 そんな、例えばぎゃーぎゃー騒いだり泣き上戸になったりと迷惑な酔い方をしたつもりはないから、そう言われると少し不安を感じてしまう。でも智駿さんは迷惑とは全く思っていなそうで、やれやれといった風に笑っていた。

 電気を消すと、部屋の中に月明かりが差し込んでくる。そんな、ぼんやりとした朧な明かりだけが部屋を満たして、どことなく情緒のある雰囲気。



「あんなに、抱きしめたいくらいに可愛いのに、セックスのときはすごくいやらしい梓乃くんのギャップ、僕、大好き」



 仄暗い部屋に立つ智駿さんの輪郭を、月の光がぼんやりと浮き上がらせている。ほんのりと残っていた酔いが、吹っ飛んでしまった。急にドキドキとしてしまって、俺はたまらず下を向く。

 薄暗い和室、真ん中に敷かれた布団。浴衣を着た俺たち。これは、やばいシチュエーションだな、って軽率に思った。布団にへたりと座り込みながら智駿さんをもう一度ゆっくりと見上げて、俺は引きずられるように言う。



「……すごくいやらしいセックス、しますか?」



 かあーっと下腹部あたりから熱が膨れ上がって、全身に広がる。暑い。

 智駿さんがまた俺のところに戻ってきて、目の前に座る。そして、俺の顎をくいっと持ち上げて、見下ろしてきた。



「しよっか。すごくいやらしいセックス」



 智駿さんの微笑みが、色っぽい。夏の終わりの夜の、しっとりとした空気。漂う艶やかな雰囲気が、俺を撫でてくる。

 唇を奪われて、そのまま俺は浴衣を脱がれた。するりと布が肩から落ちていって、上半身がはだけてゆく。智駿さんがはだけた俺の身体を手のひらでゆっくりと撫でてきたから俺の腰は自然とくねくねと動いてしまって、アソコが熱くなってゆく。



「あ……」

「ね、梓乃くん」



 布擦れの音が、いやらしい。この雰囲気にぼーっとし始めたとき、智駿さんは唇を離してしまう。寂しい、そう思えば智駿さんが俺の浴衣の帯をするりとほどいて、それを俺に見せつけてきた。



「……縛っていい?」

「……ッ」



 ドクッ、と心臓が高鳴った。「縛る」、その響きにゾクゾクした。

 きっと縛ってエッチをするっていうのは、アブノーマルなプレイにはいると思う。それにすぐ頷くのは自分の変態的な性癖をさらけ出すようで、なかなかに抵抗があった。でも、智駿さんには全部見せると決めている。それに、俺は……



「……はい。縛って……ください……」

「いいの? 怖くない?」

「……俺は……智駿さんに、縛られたいです」



 智駿さんになら何をされてもいい。智駿さんにだったら、めちゃくちゃに酷いこともされてみたい。

 俺の告白に智駿さんの目が、細められた。そして、俺は腰を高くあげるようにしてうつ伏せに押し倒される。腕は、背に。そこで智駿さんが手首を帯で縛ってくる。



「変態臭いって、思ってる?」

「……いいえって言ったら、嘘になるかもしれません」

「……ごめんね。どうしても、梓乃くんを縛りたい。僕もね、男だから……支配欲があるんだ。梓乃くんを支配したいって思っちゃう。梓乃くんを縛り付けて、僕から逃げられないようにして、僕の下でどうしようもなくさせて、僕に狂わせたいって、思っちゃう」



 凄まじいほどの、独占欲。ゾクッ、ゾクッ、っと身体が震えるほどに、俺は智駿さんのそれに歓喜していた。



「そう、あとね、それから」

「……!」



 手首を縛られて、それですでに興奮していた俺は、智駿さんの次の行動に目を瞠る。智駿さんは自分の帯も解いたのだ。そしてそれを……俺の顔のところに持ってくる。



「目も、ね」

「……ッ」

「梓乃くんが僕に服従するしかないように」



 帯はくるりと目元に巻かれ、俺の視界が奪われる。手首の拘束と、目隠し。もう、全てを智駿さんに委ねるしかない。智駿さんに服従する。これから……智駿さんにめちゃくちゃにされる。



「んっ……!」



 頭を軽く、布団に押し付けられた。ああ、すごい、俺本当に智駿さんに服従させられてる……溢れるほどのマゾヒズムが俺を支配して、拘束する。もう今自分がどんな状況に置かれているのかと考えただけで興奮して、俺の身体はぶるぶると震えだした。智駿さんはそんな俺の下半身にするりと手を這わせて、そしてチンコを指でつうっと撫でる。



「縛られただけで……勃ってるの?」

「……っ、は、い……」

「……梓乃くんも、ヘンタイだね」

「ヘンタイで……ごめんなさ、……あっ……」



 耳元で、智駿さんの囁き。目隠しで視界を奪われた俺は、聴覚が敏感になってしまっているのかもしれない。智駿さんの湿っぽいその声が耳から入り込んでアソコまで届いて、ズクンッと刺激してくる。智駿さんの指は俺のチンコの先っぽを、とん、とん、と叩いてきて、こぼれ出したいやらしい汁の糸を引かせている。



「ふ、いやらしい、梓乃くん」

「あっ……あぁ……」



 顎を掴まれて、そのまま上半身を持ち上げられた。俺の身体はどんどん反っていって、たぶん、すごい雌の格好をしていると思う。腰を突き出して胸を反らせて、そして全身をくねらせる。チンコをいじられて脚をがくがくとさせながら、俺は智駿さんに身を任せてぐっと身体を反らせた。



「はぁっ……、ぅっ……」

「興奮してるんだね。可愛い」

「んっ……!」



 囁きは、全部耳元で。されていることはすごくアブノーマルで、智駿さんのサディズムをぶつけるような行為なのに、囁きは優しい。堕とされてる、そんな感じがして、たまらない。智駿さんの言う通り俺はすごく興奮していて、すでにチンコはぐちゅぐちゅだしお尻の穴はヒクヒクいってるし、息ははーはーとあがっている。そんな身体の変化が、智駿さんに見られていると思うとおかしくなりそう。



「……っ、」



 ぱしん、小さな衝撃がお尻にはしった。叩かれたみたいだ。痛くはないように叩いてくれているけれど、こうして縛られてお尻を突き出した体勢で叩かれると、すごいことをされている気分になる。じんじんとアソコが熱くなってきて、ものすごくエッチな気分になってきた。

 ぱしん、ぱしん、叩かれるたびにアソコがじゅんって熱くなる。チンコからだらだらとエッチな汁が溢れてアソコまで伝ってきて、そのまま布団を濡らしてしまいそうだ。息がどんどんあがってきて、それはもう恍惚としたような吐息が溢れて、お尻を叩かれてこんな風になってしまうなんて俺はどれだけ智駿さんのことが好きなんだろう。



「あっ……、あっ……」

「痛くない?」

「……ッ、もっと、たたいて……」

「……あは、すごいね、梓乃くん」

「……つよく、……あぁんッ……!」



 おねだりすると、パァンッ、て強く叩かれた。口から出たのは苦痛の叫びじゃなくて、紛れもなく快楽の嬌声。一度強く叩いて智駿さんはまた優しく叩いてきて、物足りなさを感じる。もっと、もっと叩いて……智駿さんがくれるものなら、痛みでもなんでも悦んで受け入れるから……そう願えば、また、パァン!って強く。



「はぁっ……あぁっ……」

「梓乃くんってどこまでも調教できそうだね。お尻叩いてこんなに悦んじゃって……」

「ちはや、さっ……んぅっ……」



 調教して、俺のことおかしくして。もっともっと智駿さんに懇願しようって思ったら、智駿さんが俺の口に指を突っ込んできた。指を突っ込みながら、またお尻を叩いてくる。



「あっ、あぅ……ん、ぁ……」

「ほら、もっと鳴いて」

「んんっ……あっ、あふっ……」



 くちゅ、くちゅ、って口に指を抜き差しされる。そうされると勝手に唾液が出てきてしまって、唇からそれが伝ってしまう。恥ずかしいって思うのにどんどんでてきて智駿さんの手を濡らしてゆく。

 パァン、パァンってお尻を叩かれて腰をびっくんびっくん震わせて。アソコをびしょ濡れにしてよだれをだらだらと零して。仰け反りながら善がる俺はきっと、とんだ淫乱に智駿さんの目に写っているだろう。今、智駿さんがどんな顔をしているのかわからない。どんな目で俺を見ているのか、わからない。怖くなって逃げようと思っても縛られているから逃げられなくて、俺にできるのは、ただ喘ぐことだけ。



「可愛いよ、梓乃くん」

「んうっ、あ、ふ、……!」



 お尻をいっそう強く叩かれる。ああ、すごく虐められている、こんなことをされて鳴かされている……興奮がどんどん高まって、最後に思い切りパァン!っと叩かれると同時に、



「あ、ふぁッ……!」



 俺はイッてしまった。

 ずぼっと指を口から引き抜かれると同時に、俺の上半身は崩れ落ちる。腰だけを高くあげて、身体を布団にぺったりとあずけた。ビクッ、ビクッ、と腰を震わせながら、ぴゅくぴゅくとチンコから液体を飛ばしてしまう。



「はは……お尻叩くだけでイけたね、梓乃くん」

「あ……あ……」

「ほんと、可愛いくて困るな……僕の梓乃くんは」



 智駿さんは耳元で俺に「可愛い」と言いながら、アソコに指を這わせてきた。つうっと濡れたそこを指でなぞって、そしてつぷ、と一本、なかに挿れてくる。



「んー……ヒクヒクしているけど……まだまだだね。梓乃くん、本当に気持ちいいときはすっごくぎゅうぎゅう締め付けてくるから」



 智駿さんは残念そうにそう呟いて、すぐに指を抜いてしまう。一回指でぐちゅぐちゅ掻き回してイかせてから抜いて……って思ったけれど、再び挿れてくることはなかった。どうやらなかの具合を確かめるだけに挿れてきたみたいだ。



「もっと気持ちよくなろうね。梓乃くんの身体がすっごくエッチな状態になったら挿れるからね」



 智駿さんがふふ、っと笑う。そして、今度は俺を仰向けに倒してきた。後手に拘束されているせいで、仰向けになると少し仰け反った体勢になってしまう。



「とろっとろにしてあげる」

「ちはやさ……」



 何をされるんだろう……そう思っていると、智駿さんが俺に覆い被さってくる。そして、耳をぱくりと甘噛み。乳首をくにくに。脚でアソコをぐりぐりされる。



「んぁっ……」

「梓乃くんの身体、いっぱい愛でてあげる」

「あっ……あふっ……」



 何も見えない。そのせいで身体は敏感で。こんな風に智駿さんに包まれて感じるところを触られると、智駿さんを感じすぎて身体の奥がどんどん熱くなってくる。

 耳をぴちゃぴちゃと責められて、水っぽい音が頻りに耳を犯す。智駿さんの息遣いも聞こえてきて、それがあんまりにも色っぽくて、ぞくぞくと身体の奥が震える。



「んぁ……あん……」

「声、蕩けてる。可愛い」



 気持ちよくて、気持ちよくて、ぶるぶると震える身体が快楽から逃げようとするけれど、拘束されているせいでほとんど身動きがとれない。智駿さんにのしかかられて身体をよじることもできなくて、じくじくと体内に熱が溜まってゆく。



「……梓乃くん、何も見えないからかな。いつもより身体が素直だね」

「あぅっ……ん、……ぁん……」

「とろとろの梓乃くん……ほんと可愛い」



 じっとり、ゆっくりと乳首を揉まれて、アソコを膝でぬちゅぬちゅと擦られて。自分と智駿さんの吐息がやたらとはっきり聞こえてきて。身体がとろとろに蕩けているって、自分でも思った。



「ふふ……エッチな身体だね」

「ん……」



 こんな、とろとろの俺は智駿さんにどう映っているんだろう。俺の身体は俺がはー、はー、と息をするたびにひくひくと動いて、発情丸出しだ。

 智駿さんが身体を起こして、俺の上半身をゆっくりと撫で回してくる。胸、お腹、下腹部……くるくると小さな円を描くように。そうされると俺の息はまたはーはーと深く激しくなってゆく。



「ぅ、ん……」



 かぱ、と脚を開かれて、穴のいりぐちを撫でられた。智駿さんがにちにちと穴を広げたり閉じたりして遊んでくる。



「柔らかそう」

「ぁう……」

「梓乃くん、今何も見えないでしょ? どうなってるか教えてあげる」



 広げたり閉じたり、そんな責めが止んだかと思うと、にゅるん、とした感触がまたいりぐちを撫でつけてきた。ぐいっといりぐちの皺をひろげるようにして、ひろげたところをぐりぐりと。にゅるにゅるとしつこくそんなことをされて、俺は腰をくねくねさせながら悶えることしかできない。



「いやらしい味」

「なめて、るの……? ぁんっ、……あっ……」

「うん。梓乃くんのここ、綺麗なピンク色でつやつやしてて、すごく綺麗だから、舐めたくなる」

「やっ……」

「それに、欲しそうにぱくぱくしてね、僕のことを誘ってくる。見るだけで挿れたら気持ちいいんだなってわかるよ」

「や……はずか、し……」

「誉めてるのに」



 そんなところを丁寧に解説されると、さすがの俺も恥ずかしい。智駿さんの言葉責めは、やばい。どうせならエスな言葉で虐めて欲しいって思うくらいに甘い甘いどろどろの愛を囁いてくる。あんまりにも糖度が高すぎてくらくらして、苦しい。そんな言葉責めが……辛いけれど大好きで、されると身体の感度がぐっとあがってしまう。



「あっ……あぁ……ん、ふぁ……」

「好きだよね、梓乃くん。いりぐちをぐりぐりされるの」

「すきじゃな……おく、が好き……んっ……んーっ……」

「だってそうやって焦らすと梓乃くんいつもとろとろになるでしょ?」

「あぁん……やぁ……ん、ん……」

「ほら、今もこんなにとろとろ」



 智駿さんがわずかに舌をなかに挿れてくる。くちゅくちゅっていりぐちのあたりを弄ってきたから、きゅうーって穴が締まってしまう。奥のほうかひくひくしてきて脚が勝手にもじもじして閉じようとすれば、当たり前のように智駿さんが太ももをがしりと掴んできてグッと開いてきた。



「やーっ……だめーっ……」

「イきそうだね」

「おくで、いきた……あぁ……」

「そう言うわりには腰を揺らしてイかせてってせがんじゃって」



 はあっ、はあっ、って息を荒げながら俺は腰を振っていた。こんな風に手首を縛られて目隠しされてのけぞって、腰を振ってイかせてってせがむなんて、本当に俺は智駿さんを相手にすると淫乱になってしまう。智駿さんがくすくすと笑いながらいりぐちをいじり続けてくるから、もうイッちゃう……って思った、けれど。



「ふ、あ……」

「あは、だめって言うからやめちゃった」

「……っ、や……ちはやさん……」



 いりぐちへの刺激は止められてしまって、俺のアソコはお預けをくらってしまった。

 熱くて、イきたくて、俺のアソコはひくひくしている。でも動けないし何も見えないしで、おねだりをすることもできない。ただ智駿さんが次に何をしてくれるのかを待つことしかできなくて、俺ははあはあと息を吐くことしかできなかった。



「奥でイきたいんでしょ? 挿れてあげる」

「ほ、ほんと……?」

「でも、自分で挿れてね」

「え……?」



 くい、と智駿さんに手を引かれる。俺は訳がわからないままに身体を起こして、そのままぽすっと智駿さんに倒れこんだ。そして、智駿さんに誘導されるままに身体を動かして、智駿さんの身体を跨ぐような体勢になる。



「騎乗位。梓乃くんできるよね?」

「騎乗……」

「ほら、自分で挿れてみて」



 俺は今、寝ている智駿さんに乗っているらしい。目が見えなくて、自分がどうなっているのかわからない。
 
 そして、騎乗位にドキッとしてしまった。自分で腰を振っているところを智駿さんにみせることになる。なかなかに恥ずかしいって思ったけれど、俺はとにかくはやく挿れて欲しくて、抵抗しようなんて思わなかった。

 目も見えない手も使えない、だから俺は腰を動かして智駿さんのものを探すしかなかった。ゆらゆらと腰を揺らして、そしてとん、とそれがぶつかると、身体が悦んだのか「あんっ……」って声が漏れてしまう。

ゆっくり、腰を浮かせてそれの先っぽを自分のお尻の穴に当てた。俺のお尻の穴は自分のエッチな汁でぬるぬるになっているから、上手くぴたりと合わせられない。にゅるん、にゅるん、と何度もお尻の穴を智駿さんのものが擦って、それだけで俺は蕩けた声を出してしまう。



「んっ……あんっ……」

「がんばって、梓乃くん」

「はいらな、い……」



 必死に、腰を動かして智駿さんのものをなかに入れようとした。そのたびに穴がぬるぬると擦られて、ヒクヒクと疼いてしまう。早く欲しい、欲しいってその思いが膨らんでいってもう我慢の限界って思った時、



「あぁんっ……!」



 にゅるるっとそれがなかに入ってきた。

 腰を上下に動かしながら試行錯誤していたものだから、一気にそれは半分くらいまでなかに入り込んでくる。じゅわっと熱が広がるような感覚が襲ってきて、俺は弓反りになってビクンビクンと震えた。



「あっ……あっ!」

「ほら、奥まで。梓乃くん」

「うぅっ……」



 今日も焦らされて焦らされてとろとろになった俺のお尻。智駿さんのものが入ってきた瞬間に悦びに悦んでしまって、ぶるぶるとなかが収縮している。すぐには動けないのに、智駿さんが俺のお尻を軽くぱちんと叩いてきたから、俺はまた「あんっ……」って喘いで、そしてなかに入れようとなんとか腰を落とし始める。



「はぁっ……んっ……あっ……」

「ふふ、ゆっくりゆっくり」

「んぁ……」



 ぱちん、ぱちん。優しい言葉を吐くわりには、智駿さんは俺のお尻を叩いて催促している。だから、ず、ず……とじわじわとなかに侵食される感覚に耐えて、俺はなんとか奥まで挿れることができた。



「あぁ……」

「すごい、奥の方ビクビクしてる。やっぱり梓乃くんのなか、気持ちいい」

「ほ、んと……?」

「ほんとほんと。ねえ、腰、振って」



 気持ちいい、って言われた瞬間に、俺の下腹部がきゅんきゅんした。そうだ、この体位は智駿さんを喜ばせることもできる体位なんだ……そう思う。



「んっ……」



 でも、まだちょっと上下にずぼずぼするのは恥ずかしくて、俺は前後に腰を振り始めた。

 ぬるぬるの俺のアソコが、智駿さんの下腹部に擦れる。そしてなかで、智駿さんのものがぐいぐいと前立腺にあたっている。激しさはなくて、イっちゃうイっちゃう……!って感じはしないけれど、じわじわとアソコが熱くなってきて、気持ちいい。



「あ……あ……」

「絶景。梓乃くん、すっごい気持ち良さそうな顔してるよ。下からみるとすごくいやらしいね」

「んん……はずか、し……ちはや、さん……」



 このいやらしい俺の動きを、智駿さんに見られているんだ。そう思うと興奮してしまって、顔が熱くなる。くちゅくちゅと擦れるアソコから聞こえてきて、自分はどれだけ濡れてしまったんだろうってエッチな気分になった。



「ぁひっ……!」



 腰を揺らして智駿さんのものを前立腺に押し付けるのに夢中になっていると、突然きゅうんってアソコが締まる。智駿さんが俺の乳首を摘んできたみたいだ。そのまま乳首を引っ張られてこりこりされて、俺の身体はビクビク震えて思うように動かせない。



「んんっ……んー……!」

「こうすると梓乃くんのなかぎゅって締まって気持ちいい」

「ん、ぁ……ちはや、さ……きもちい、の……? ぁんっ……じゃあ、もっと……こりこりして……あっ……」

「ほんと? 優しいね、梓乃くん。じゃあ遠慮なく」

「あーっ……!」



 ぎゅーって根元から引っ張られてぐにぐに。ほんとうに遠慮なく智駿さんは俺の乳首を責めてきた。そうされれば俺のアソコは素直に智駿さんのものを締め付けてくれる。これで智駿さんが気持ちいいって思ってくれてる……そう思うと嬉しくてたまらない。



「ね、梓乃くん。上下に腰振れる?」

「は、い……」



 だから、上下に腰を降ることへの羞恥心に、智駿さんに気持ちいいって思ってもらいたいっ…気持ちが勝った。

 乳首をいじられながら、俺は智駿さんの上でぴょんぴょんと腰を跳ねさせる。そうすると摘まれたままの乳首はくいくいと上に下にとひっぱられて、そしてなかにはいった智駿さんのものは俺の奥を突いてきて。ぱちゅんぱちゅんと肉のぶつかる音と同時に俺は蕩け切った声をだす。



「あんっ、あんっ、」

「かわいい……もっと大きく腰を動かしてごらん」

「あッ……! あんっ、あんっ!」



 俺のチンコが揺れて智駿さんのお腹にぺちぺちとあたる。俺、智駿さんの上でエッチなことしてるんだなあって思うとおかしくなりそう。

 ずんっ、ずんっ、って強い快楽が俺の奥を突く。腰が砕けてしまうような気持ちよさに俺はどんどん理性を壊されていって、無我夢中で腰を振った。アソコが智駿さんのものを締め付けている感覚もすごくいい。



「あっ、イきそっ……あんっ! ちはやさっ、あんっ! イクっ、イクッ!」

「ん? イクの?」

「はい、イっちゃう……!」

「ふうん、」



 智駿さんの声に、笑い声が混ざったような気がした。それと同時に、智駿さんが俺のお尻をがしりと掴んでくる。びくっ、と俺が震えると……



「ぁひっ……!」



 ズンッ!っと強く、突き上げてきた。突然そんなことをされたものだから俺はイッてしまった。仰け反った状態で硬直して、ぴくぴくと震えて急に与えられた絶頂に浸る。



「どう? イけた?」

「ぁ……あ、……」

「それとも、」



 頭が真っ白。智駿さんの言葉もぼんやりとしか聞こえない、そんなふわふわした感覚に見舞われる。そんななか掠れた智駿さんの声が……耳元で聞こえてきた。あれ、そう思った時、するりと目を覆っていた帯が解かれる。



「……ッ、」

「まだ、足りない?」

「っ、〜〜ッ、ぁ、あっ……」



 その、サディスティックな瞳が俺を覗き込んでいた。部屋は暗いし一寸前まで目を覆われていたから視力が回復していないしで視界は真っ暗だけれど、その瞳だけが月明かりを受けてちらりと光っていた。

 智駿さんのそんな目と合った瞬間……ゾクゾクッと全身の肌が粟立って、ぎゅーっとアソコがキツく締まって、燃えるように身体が熱くなって汗が吹き出して、



「ひっ、ッ、あっ、〜〜ッ」



 じょぼじょぼと潮を吹いて、俺はまたイッてしまった。

 どぴゅ、ぴゅ、と溢れてくる潮をみて、智駿さんが目を細めている。目が合っただけてイッちゃって潮吹きまでしてしまった俺をみて楽しんでいるみたいだ。掴んだ俺のお尻の肉をぐにぐにと揉みしだいてきて、ぐっと顔を近づけてくる。



「もっと激しくイケるよね?」

「ひっ、あっ……だめっ……あ、おかしく、なっちゃ……」

「むり? むりだったら逃げてもいいよ ? あっ……そうだ、」



 智駿さんがじ、と俺の目を覗き込んで、ぐんっ、と腰を一度突き上げてくる。ズンッと重い衝撃が俺の奥を貫いて、俺のチンコからびゅびゅっとまた大量に潮が飛び出す。



「……逃げられないんだったね」

「……ッ」



 つうっと俺の手首を縛る帯を指で撫でて、智駿さんが微笑んだ。すごい、智駿さん……ドエスだ。きゅんきゅんしてしまって、全身がガクガクと震える。もっといじめて欲しい……もっともっと、サディスティックにめちゃくちゃにして欲しい。

 智駿さんが、ゆるゆると腰を前後に動かしはじめた。にちゅ、にちゅ、と俺の濡れたアソコが音をたてている。さっき思い切り突き上げられた余韻がまだ残っていて、こんなに緩い刺激だと物足りないというのに、ものすごく感じてしまう。智駿さんがいじわるそうに笑いながら俺をみているのがまた、たまらない。



「あっ……あっ……」

「梓乃くん、こうなるとずーっとイキっぱなしだよね。どこまでも、追い詰めたくなっちゃう」

「あーっ……あーっ……」



 一定のリズムで、ゆるゆると。もうアソコが蕩けてしまいそうで、結合部なんてほんとうにとろっとろで、何も考えられない。全身から力が抜けてくたっとしてしまえば、智駿さんが俺を抱き寄せてくる。俺はぐったりと智駿さんに寄りかかりながら、ただただだらしなく甘い声をあげ続ける。



「どうする、梓乃くん。もっと激しくする?」

「ん……あっ……だめ……」

「だめなの?」

「……ぁう……う、うそ……だめじゃ、ない……あっ……」

「……いい子」



 しゅる、と手首を縛っていた帯が、とうとう解かれた。

 激しくされたら、壊れちゃう。そう思うけれどもっと智駿さんに求められたい。俺のぐちゃぐちゃになった想いを、全部智駿さんは汲みとってしまっている。イキすぎてとろんとしてしまった俺に智駿さんはキスをして、優しく微笑んだ。もう、キュンキュンが止まらなくておかしくなってしまいそうで、息が苦しい。押し倒されればいよいよ心臓が止まってしまいそう。



「あっ……、」

「……ほんと、愛おしいね、梓乃くん」

「ちは、や……さ……」



 手を重ねられて、指を絡めて。甘いキスをされると俺はとろとろになってしまう。散々潮吹きしたチンコからはまだたらたらと何かが溢れていて、壊れちゃったんじゃないかと思うくらい。いつも智駿さんとエッチするときはものすごく感じているけれど……今日のは尋常じゃない。感じちゃう、とにかく感じまくっちゃう。



「ぁっ……」

「あは、今のキスでまたイッた」

「あ、……ぁ、ふ……」



 ぴゅうと吹き出したそれをみて、智駿さんが笑う。こんなにずっと出続けるものなんだなあって自分でもびっくり。ローションでもぶっかけたように俺の下腹部はびちょびちょで、ここまで自分で濡れることができたのが……なんだか嬉しい。



「枯れちゃわないように頑張って。これから激しくするからね」

「ん……」

「ふふ、また出てきた」



 もう、何をされても言われても、今の俺はイっちゃう。言葉だけでも目が合うだけでも、イッてしまう。だから……これからガッツンガッツン突かれたら、どうなっちゃうんだろう。



「梓乃くん」

「んっ……!」



 ずるっ、と智駿さんがそれを引き抜く。……そして、一気にパンッと突き上げてきた。



「あぁッ!」



 ビクンッと俺は仰け反って、ぎゅうっとつま先を丸める。ゾクゾクと快楽なのか寒気なのか熱なのかもわからないものが這い上がってきて、ぴくぴくって俺の全身が震えて痙攣するけれど、智駿さんはまた突いてくる。



「あっ! あっ!」

「はは、すごい、」

「あーっ! ちはやっ、さっ……! あぁッ!」



 ぱちゅっ、ぱちゅっ、って俺のだした液体が音を立てている。この音は俺がイキまくった証みたいなもの。感じまくって大袈裟なくらいに反応している俺を智駿さんは目を眇めて見下ろして……そんな顔にまた俺のドエム心が煽られてゾクッとする。



「は、……」

「あっ、あっ、あっ、あっ、」



 智駿さんが口数が少なくなって、吐息だけを零すようになってくる。時折眉を潜めてぴくっと瞼を震わせて。なかなかみない「男」の表情に俺はまたきゅんっとしちゃって。



「……っ、きつ……ごめんね、加減きかないかも」

「……い、……ですよ、……ちはやさ、……になら、……あっ! どんなに、ひどく、されても……ああっ、」

「……やさしく、したいんだけどな」

「あぅッ!」



 ズドンッと重く深い突きを、最奥に。ビクッと腰が跳ね上がると、智駿さんは下からお尻を持ち上げるようにして、俺の腰を浮かせた状態でピストンをはじめた。本当に、智駿さんが突きやすい体勢だ。いつものように優しくとろとろに愛してくれるのも幸せだけど、こうして智駿さんが自分の求めるままに俺を抱いてるのが嬉しくて……俺はぽろぽろと泣き出してしまう。



「もっと……! もっと、はげしくして……! ちはやさん……もっと……!」

「梓乃くんッ……」



 つう、と智駿さんの頬に汗が伝う。瞳の奥では、炎が燃えている。俺を抱くことに必死になっているんだと思うと、胸が締め付けられるような心地になる。

 捕らえられているのに、捕らえている、ような。この瞬間、智駿さんを俺のものだけにしているような、そんな気分。



「はぁッ……あっ……! んっ……あぁッ……!」

「は、……梓乃くん、……」



 二人の吐息と、パンッ、パンッ、と腰が激しく打ち付けられる音が響く熱っぽい空気。智駿さんがのしかかってくると、俺はぎゅっと智駿さんの背に腕を回してしがみついて、そして揺さぶられる。脚も智駿さんの腰に回してがっちりホールドして、このまま離れないでって身体で示す。



「あっ、イくっ……イくッ、イクッ……!」

「僕も、……イクね、」

「なか、……なかだし、……あッ、なかにだしてっ、あっ、ああっ!」



 はあ、と智駿さんは熱い吐息を吐いてぐんっと腰を押し付けてくる。出されるっ……そう感じ取った瞬間、俺のアソコはぎゅーっと智駿さんのものに吸い付いた。精液を欲しがるメスのように。



「あっ……」



 ドクンドクン、そんな感覚をなかで感じ取って、俺の全身から力が抜ける。なかに出された、幸せ……そんな気持ちで胸がいっぱいになって、頬が緩んでしまった。



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