▼ quatre
AVとアダルトグッズ、なんていう酷い荷物を持ちながら、俺は帰宅した
ご飯を食べてお風呂に入って、ようやく落ち着いたころに俺は自分の部屋に戻る。扉の鍵をかけて、ドキドキとしながらDVDを袋から取り出した。
白柳さんに半ば押し付けられる形で借りたAVだけれど、気になるものはしょうがない。今までは中途半端な場面しか配信してない動画サイトくらいでしかこういう動画をみたことがなかった、というのもあるし、智駿さんの好みらしいということもあるし。エロい動画がみたいというよりは興味深々といったドキドキで、俺はDVDをノートパソコンにセットする。
「……ほー」
大抵のAVの始まりは、しょうもない芝居から入る。女教師とか、保険医とか、そんな設定をざっくりと説明するための雑なストーリー。
そこからもう、このAVは俺のよく見ているエロ動画とは雰囲気が違っていた。まず、画面が暗い。
昼下がり、外の明かりが微妙に差し込むキッチンで、うなじの綺麗な女優が料理をしているところの後ろ姿が映る。とん、とん、と包丁とまな板のぶつかる音が響く、日常のようで非日常な映像。妙な、しっとりとした湿度の高い色気。
――人妻ものだ。若い人妻が、浮気をするストーリーのAV。あんまり人妻に興味のなかった俺はそういったものはみてこなかったから、ここからどう展開するのかよくわからなかった。
「……わあー」
しばらくみていると、今回の男優と思われる男が登場する。AV視聴者にはありがたい、極端なブサイクではないけれど決してイケメンではない、そんな男。歳は40は超えていそうだ。これはねちっこいエロがありそうだなー、たしかに智駿さん好きそうだなー、なんて期待大で俺は画面を見続ける。
「……」
男が、女優をソファに押し倒した。セーターをめくり上げて、下着もずり上げる。そうすればでてきたふっくらとした胸に、男はしゃぶりついた。片方の乳首を、ぎゅうっとつまみあげながら。
『っ……あっ……、……ッ、』
女優は目をとろんとさせながら仰け反る。男の胸への責めがどんどん激しくなっていけば、女優の身体はくねくねとくねりはじめた。うっとりとした顔で、はあはあと息をしながら女優は感じていて、かなりエロい。でも、俺がみてて思ったのは……
『んっ……、……は、ぁ……っ、……』
この女優、あんまり声をあげないんだな、ということ。
服を乱されて、下を触られても、結局女優は最後まで声を我慢していた。でも、体と表情で感じていることをしっかりと表していてものすごくエロかった。
……智駿さん、声を出して喘ぎまくるのよりも、こうして堪えているほうが好きなのかな? エッチしているときの自分を省みて、俺はさっと血の気が引くのを感じた。
……俺、ものすごく声をだしているような。
このままだと智駿さんに飽きられちゃうかも……エッチがだめだったら他の人がいいって思っちゃうかも……俺は慌ててしまう。声、ださないほうがいいっていっても智駿さんとのエッチが気持ちよすぎて我慢は難しい。智駿さんに抱かれるとすごく声がでてしまう。
「……練習したほうが、いい?」
俺はちらり、とベッドに放り投げていたアダルトグッズの袋をみつめる。
のそのそと、袋を開けてみた。ひとつは例のヤバイらしいバイブ。あともうひとつは……媚薬と書いてある。媚薬とか本当に存在するのかよ……と思ったけれどとりあえずパッケージからだしてみる。軟膏とかにありそうな、チューブタイプの塗り薬だ。
「……」
これで敏感な身体になれるんならいいんだけどな。智駿さん好みのエッチな身体になれたら嬉しいんだけど。
ベッドに転がって、シャツをめくりあげる。指の上に媚薬をだしてみると……
「あ、これは……」
メントールの匂いがいた。とんだ怪しい成分でもはいっているのかと思ったけれど、どうやらメントールのすーすーとした感覚を使った媚薬らしい。触感はぬるぬるとしていて気持ち良さそう。
「……んぁ……」
両方の乳首に、塗ってみる。さっきのAVの乳首責めのシーンをみているときからむずむずしていたから、すでにぴんっと勃っていた。こりこりと弾力のある乳首に、くりくりと媚薬を塗り込んでゆく。
「ん……」
すぐに、メントールの効果が現れ出した。乳首がじんじんとしだして、むず痒くなってくる。細かな刺激を断続的に与えられる状態になっているからだろうか、乳首はぷっくり綺麗にピンク色に膨れた。両方の乳首に指を添えて、きゅうっとつまみあげてみると、
「あぁんっ……」
触ってもいないお尻の奥がきゅううんっと締まって、思わず仰け反りながら声をあげてしまった。
……しまった、声がでちゃった。
「んっ……んー……ッ」
智駿さんは声を堪えているのがたぶん好きなんだ。だから、声をださない練習のためにこうしているのに、出しちゃったら意味がない。ぎゅっと口を結んで、ぐーっと乳首をつまみあげる。智駿さんのいじわるに耐えられるように、いつもの乳首オナニーよりも、強く。ぷっくりふくらんだ乳首が上に引っ張られてのびて、その状態で指の腹をこすり合わせてこりこりとする。
「……ッ、んっ……! んっ! んっ!」
アソコがきゅんきゅん激しく疼いて、脚が勝手にもじもじと動く。内股になって太ももをこすり合わせながら腰を浮き上がらせて、俺の身体は仰け反っていった。そしえ、乳首を刺激するたびに、ビクンッ、ビクンッ、って大袈裟に跳ねてしまう。
「あっ……、んんっ……んーっ……! んーっ……」
まだまだ自分をいじめなくちゃ。いじめて、いじめて、そして声を我慢できるようにならなくちゃ。それからもっと敏感でいやらしい乳首にもならないと。
とにかく激しく乳首を責めまくった。オナニーなのに涙目になってきて、アソコもものすごく濡れている。智駿さんのための乳首開発オナニー、ものすごく気持ち良かった。
「んっ……、」
ぴゅっ、と精液が飛び出して、それからびくびくっと身体が震える。目を閉じて智駿さんのことを考えながら乳首をこりこりしながらイクと、幸せな気分になる。
ちゃんと、声をださないでイけた。腰がくねくねと動いていてすごく感じているけれど、それでも我慢できた。俺は満足感に浸って、はあはあと息をする。
智駿さん。俺、智駿さん好みの身体になってきてるよ。
媚薬でぬるぬるになった乳首を指先でぬりゅぬりゅと転がしながら、片方の手をアソコに伸ばす。乳首の刺激では声を我慢できたけれど、こっちはどうかな。アソコを智駿さんに弄られると、俺、ほんとうに喘ぎまくっちゃうから、こっちで我慢できなければ意味ない。つぎは、あのバイブを使ってお尻の練習をしなきゃ。
指でお尻を軽くならして、ローションも塗りこんでゆく。さすがにメントールの媚薬をお尻に使う勇気はなくて、やめておいた。いつも使っている普通のローションを使ってお尻の穴を広げていって、バイブを準備する。
このバイブは、変わった形をしている。先端がすごく太くて(おそらく女の子の感じるところ用だろうけれど)前立腺に広範囲で刺激を与えられるようになっている。そして、根元が少し細くなっているおかげでイっても抜けづらいらしい。それから、メインの穴にいれるバイブとほぼ直角についているもうひとつの小さなローター。こっちも、アソコに広範囲でぶるぶると刺激を与えられるようになっているらしい。つまり、お尻の奥の方といりぐち周辺を同時責めできるっぽい。
「……」
こんな、ほんとうにイかせることを追求したようなバイブを使ってオナニーするなんて……ほんとうに変態だなあって自分でも思うけれど、智駿さんのためだから罪悪感なんて覚えない。むしろこれをいっぱい使ってどんどんお尻のほうも開発しなくちゃいけない。俺を抱いたときに智駿さんに喜んで欲しいから。智駿さんの責めで俺が感じまくって、イキまくって、それで智駿さんに喜んで欲しい。
「あっ……」
先端が極太だからか、挿れるときはすごく圧迫感を覚えた。ぐぐっとそこが押し広げられる感覚に、俺はぎゅっと目を閉じる。ここまで太いものを挿れたがなかったからあんまりスムーズにはいかなくて……ああそうだ、挿れるときって智駿さんは違うところを触ってくれたりしていたかもしれない、そう思って乳首をまた弄ってみる。
「あうっ……」
さっき弄りまくった乳首はびんびんに勃っていて、すごく敏感になっていた。つまみあげた瞬間に、腰がビクンッと跳ねてしまう。でもそうするとアソコがジーンと熱くなって緊張がとけてきて、バイブを押し入れていっても恐怖感を覚えない。
「んんぁっ……」
そして、やっと最後まで挿れることができた。俺は嬉しくて、一人でにやけてしまう。太いものを挿れることができれば、智駿さんともっと色んなことができるかも……そう思った。もともとお尻は挿れるところじゃないし広がったところで……って感じだけれど、自分の身体が智駿さんのためにエッチになっていくのは、本当に嬉しい。
「は、ぁっ……!」
奥まで挿れると、自然と腰が浮き上がった。太い部分が前立腺にぴったりとあたっていて、表にでているローターはお尻とチンコの間に食い込んでいる。なにこれ、挿れているだけですごく気持ちいい……やばいかも。本当にこれ、イかせるための道具だ。
スイッチを挿れたらほんとうに俺イキまくりそうだな……そう思いつつ、まだ足りないかもって思う。俺は、一人エッチのときは比較的声を抑えられるから、もうちょっと激しいことしないと練習になないかなって思った。智駿さんのすごい責めに耐えられなければなんの意味もないんだから。
とりあえず俺は、もう一度乳首に媚薬を塗りたくる。乳首責めもまたやろう。お尻と乳首を同時に責めて、自分を追い込んでみよう。このバイブはなかなか抜けないらしいし、乳首を弄りながらバイブでお尻を責めることができる。
大丈夫かな、こんなオナニーして、俺、ほんとうに声我慢できるかな。ドキドキしながら、俺はバイブのスイッチに手を伸ばす。
「いっ……!」
バイブを挿れた瞬間。ブゥン、と細かくて大きな振動がアソコに走った。その刺激は強烈で、勝手に下半身が収縮してしまう。前立腺をぐぐっと押し込むようにして太いところが刺激してきて、そして外のローターはどんどん食い込んできて。せりあげてくるような快楽に、俺は悶えて、必死に声を殺した。
「あっ……、う、……ぅあっ……」
勝手に仰け反っていく身体、開く口。いつもだったらここで声を出しているか、やばいと思って一旦止めるか。でも、ここでやめちゃったら練習にならない。むしろ、もっと自分を虐めて快楽責めしないと、だめだ。
俺はシーツを掻いていた手を、ゆっくりと胸にもっていく。そして、ぴんっ、ぴんっ、と軽く乳首を弾いてみて、そして……ぎゅうっとつまみあげた。
「うぁあっ……」
びりびりと下半身が痺れるような感覚。アソコがぎゅうっと締まって、なかにはいっているバイブを締め付けた。ごりごりと前立腺を責められて、目がちかちかとしてくる。やばい、やばいって思うのにバイブはぐいぐいとなかに入り込んできて俺を追い詰めてゆく。
「はっ……ん、くぅっ……」
なかがヒクヒクヒクヒク痙攣していて、イッてしまった。イッてもこのバイブは抜ける気配はなくて、乳首から手を離して引っこ抜かないと延々と俺を責め立てるだろう。でも、俺は乳首をこりこりとし続けた。智駿さんは、ここで止めてくれないから。智駿さんは俺をイかせまくろうと、責めて責めて責めてくるから、ここでやめたら意味がない。
「はっ……うっ、うぅん……」
声をこらえるのが辛くて、涙が滲んできた。びくっ、びくっ、と腰が跳ねて、チンコから精液がぴゅっと飛び出してしまう。
「うっ……ん……」
ぴゅく、ぴゅく、バイブで刺激を与えられ続けてしばらく射精が止まらない。つま先がぎゅっと丸まって、シーツを掻きながら、俺はイク感覚に耐え続ける。なかでイクのは、イってもイってもまだイける。智駿さんもいつも、俺がイっても責めてくる。むしろイけばイクほど激しくしてきて、俺を思いっきり鳴かせてくる。
だから……まだ、しなきゃ。もっと激しくしなきゃ……。俺はバイブをぐっと掴んで、ぐぐっと強く奥に押し込んだ。
「……ッ、」
喉の奥で、悲鳴があがる。なんとか耐えられたけれど……もっと、もっと自分の身体をいじめて、快楽に耐えられるようにがんばらなくちゃ。バイブをずぶっと抜いて、そしてまた勢いよく挿しこむ。それを、繰り返した。くっちゃくっちゃと音が鳴り出して、脚がだんだん開いてゆく。ぱかっと大きくM字に開いて、俺はバイブを激しくアソコに抜き差しし始めた。
「……ッ、……、ひっ……ッ、……」
もう、下半身がおかしくなっちゃうんじゃないかというくらいに、感じてしまう。思い切り突っ込んで奥の方に入り込む度に、腰が跳ね上がってイッてしまった。もう乳首を弄る余裕もなくて、片方の手は口を塞いで声を抑えるのに必死になる。片手はバイブでお尻をいじめまくって、片手は口を塞いで。ぽろぽろと涙を流しながら、俺はオナニーを続けてゆく。
「ひゃぅっ……、……う、……ひっ、う……」
勝手に出てくる声を無理やり抑えているせいか、しゃくりがでてきて苦しい。でも、だめ、だめ、出しちゃだめって自分に言い聞かせて頑張って声を我慢した。本当にもう限界だけれど、それでもやる。
「……ッ」
もうだめだ。これ以上したら、意識飛んじゃう……そう感じた時だ。スマホのバイブが鳴り出した。びっくりして画面を覗きこめば、かけてきたのは智駿さん。
オナニーの途中で電話かかってくるなんて初めてで、俺は一瞬どうすればいいのかとパニックになった。でも、智駿さんからの電話はなにがあっても出る主義だ。俺はバイブを引っこ抜いて、画面をタップする。
「は、はい……もしもし!」
『あ、こんばんは、梓乃くん』
「こんばんは……!」
たぶん、いつものなんでもない電話だ。とくに目的もなく、だらだらと電話をするのが俺達は結構好きだったりする。だからこうして電話がかかってきたのは嬉しいんだけど……俺は内心冷や汗をかいていた。平静を装って普通に挨拶をしているけれど、アソコはまだビクンビクンいっていて軽い絶頂状態。気を抜けば喘ぎ声がでてしまいそうで、肩に力がはいってしまう。
『……あれ、梓乃くん』
「はいっ……」
『……もしかして今、一人でしてた?』
「……はっ!?」
一人エッチしていたこと、バレたくない――その思いでいっぱいだったのに。あっさりと見破られてしまって、俺は素っ頓狂な声をあげてしまう。智駿さん、どこからかここをみているんじゃないかと思って思わず部屋を見渡したけれど、もちろんそんなことはない。
『いやあ、やっぱり梓乃くん、わかりやすいんだよね』
「ちょっ……えっ……なんで!? そんなにわかりやすいですか!?」
『いや、わかるの僕だけかな。エッチな気分になっているときの梓乃くんの声、わかりやすいんだよね』
「……っ」
……かあっと顔が熱くなった。
『途中だった? 続きしないの?』
「……びっくりしたせいでもう萎えましたよ」
『えっ、ごめんね。邪魔するつもりじゃなかったんだけど』
「ううん、いいんです……智駿さんの声がきけて嬉しい」
スマホのバイブがなったとき、一瞬誰からかかってきたのかわからなかったせいで、本当に驚いてしまった。けれども、智駿さんだってわかって安心した。
『どんな風にしていたの?』
「え、えっと……その……」
『ふふ、恥ずかしい?』
「だ、だって……」
『教えてよ』
「……っ、その。ち、乳首、さわったり……」
『へえ、可愛いね』
「……智駿さんのことを考えながら……していました」
一人エッチの内容言うの、すごく恥ずかしい。でも、言わされていることに興奮してしまって、またお尻がひくひくしてきた。乳首もまだメントールですーすーしているし……また身体を触りたくなってきたけれど、さすがに我慢。
「智駿さん……はやく会いたいです」
『うん……いつでもおいで』
喜んでもらえるかな。次に会うまでに、もっと身体を敏感にしてエッチにして、そして声をしっかり堪えられる練習しないと……そう思った。
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