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「なるほどね……アザレアらしい」

「そうですか?」



 エリスはふっと笑う。アザレアが魂のない人間を怖いと言ったことを、エリスは少し面白そうに笑っていた。



「だってさ、おまえすっげぇ気ぃ強いもん」

「な……! そんなことないですよ……! 私、エリス様の前ではおしとや……い、いえ! ワイルディング家の女たるもの、剣を持っていようが女性らしい品性と美しさを保とうと……!」

「はは、ちげぇよ。大丈夫、アザレアはいつも……まあ、綺麗、だよ。……目が……俺、おまえの目が好きなんだ」

「……目?」

「いつも俺のそばで護衛してくれるときのさ、周りを見渡しているときの目つき。実際に危険な目にあったりとかはあんまりないけどさ、そうして俺を守ろうってそんな強い意思を感じるお前の目が好き。……なんか、そのときのアザレアが……すごく眩しいんだ」



 照れながら、エリスはそんなことを言った。なんだか自分まで恥ずかしくなってくる。アザレアは照れ笑いをしながらも、エリスの言葉を頭のなかで反芻させる。

――俺を守ろうってそんな強い意思を感じるお前の目が好き

 そうか、それが私が一番輝ける瞬間なんだな、そんなことを思う。……ラズワードにとってのその瞬間ってなんだろう。踊っているときも、もちろん抱かれているときだって、彼を美しいとは思えなかった。それは彼の望むことではないのだ。ほかに、なにかあるはず。



「アザレアってさ、昔っから剣扱えていたのか? 魔術の腕もすごいけどさ、剣術もすごいよな」

「……そうですね、物心ついたときには。恥ずかしながら女の子らしい趣味というものをもっていませんでした。剣を振るうことが楽しくて……同じ年頃の女の子が好きなおままごともおしゃれも興味がもてず、友達もあまりできませんでしたよ」

「ああ、そうか、やっぱり好きなことやっているときって一番輝けるよなあ。初めに興味をもったのが剣だったんだ? それが今のアザレアにつながっているってわけね。やっぱ生まれた時から決まっているもんなのかねえ。なんかのお告げでさ、「おまえはこれをやると美人になれるぞ!」みたいなさ」

「……興味」



 エリスがけらけらと笑っている。アザレアは笑っている顔可愛いな、なんて思いながらもどこかぼんやり、エリスを見つめていた。

――興味。ラズワードが興味をもったこと、なにかあっただろうか。

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