予定が合えば遊びに行ったり、気軽に声をかけてくれる。 一緒にいることがとても自然。 Gを想う気持ちは、もう一人の幼なじみ、ジョットへのものとは違うの。 Gは私の特別な人。 幼なじみや仲間としてではなく、異性として好き。 特別な想いに気がついても接し方は今までと同じ。 些細な事でドキドキするようになったけど、からかったり、からかわれたり下らない事を話しては笑って過ごす日々が変わらず続いていた。 「よぅ、名前」 『G!仕事、終わったの?』 「まぁな。お前は?」 『私も終わったよ、コーヒーでも飲む?』 「あぁ、いつもの頼む。」 『OK!砂糖にミルクたっぷりの甘いヤツね!』 「ブラックだっつーの。からかうな」 『ふふ、冗談だってば!すぐ入れてくるからね!』 「おぅ」 ボンゴレの屋敷。 私たち、ボンゴレファミリーの仕事場。 執務室での仕事が一区切りして休憩がてら大広間に顔を出したらGがいた。 Gも私と同じように息抜きに来たみたい。 さっそくコーヒーを用意してGがいる大広間に戻る途中、個性的な頭が見えた。 あの髪型はあの人しかいない。 屋敷をうろうろしてどうしたんだろうと思い声をかけた。 『こんにちは、スペードさん!』 「ん…?あぁ、貴女でしたか。こんにちは。」 『屋敷に来るなんて珍しいですね、ジョットに用ですか?』 「えぇ、まぁ、そんな所ですが…」 『どうかしました?』 「人を呼び付けておいて姿が見当たらないのですよ」 『あー…それは…』 約束を忘れてる訳ではなさそうだけど、きっと、あのジョットのこと。 どこかでぼーっとしてるんだろうな。 彼、D・スペードさんもジョットの事を分かっているらしく頭を抱えた。 「まったくもって仕方ない人だ。日を改めると伝えておいてください。」 『えぇ、分かりました、本当にすみません』 「一世のような幼なじみを持つと大変ですね」 『それ程でも……、もう慣れですよ』 「ヌフフ、慣れなければやっていられませんよね。」 『はは…、そう言う訳ではないんですが…』 「ヌフフ…」 スペードさんはいつものように微笑むと何故か私の頭に手を置いて撫でた。 今までにない行動に固まっていると、スペードさんは楽しそうに口角を上げる。 『えーっと、スペードさん』 「はい、何でしょう」 『な、何で頭を撫でられているんでしょうか、私』 「面白いので。」 『面白い?』 「えぇ、君のもう一人の幼なじみが」 『私のもう一人の幼なじみってGの事ですか?』 「えぇ。…さぁ、そろそろGの視線が痛いので貴女を引き止めるのはこれくらいにしましょう」 『えっ!?』 スペードさんの言葉に驚いて振り返ると、そこにはGが立っていた。 目つきが悪いのは、いつもの事だけど今日は特に悪い。 どうやら、Gはスペードさんのことをあまり良く思ってないみたい。 「名前、G、それでは、また」 『あ、はい!また…』 「ジョットが悪かったな」 「いいえ。それなりに楽しませて頂いたのでいいですよ。」 「……」 別れ際にまた私の頭を撫で笑みを向ける。 その後ろ姿を見送るとGは私の手からコーヒーを二つ受け取り踵を返した。 『えっ、ちょっと、G!?』 「さっさと来いよ、…ったく、何でコーヒーを入れに行ったのにDと話し込んでんだ?」 『あっ、ごめん!コーヒー、冷めちゃったかな?』 「そうじゃねぇよ」 『ん?』 「…少しは気づけよ」 『え?』 「………」 『G…?』 「…先に行ってるからな」 『ちょっ、待って待って!一緒に行くってば!』 Gはいつもより早足で歩く。 元々、歩幅が違うんだし、そのペースで歩かれたら私は小走りで後を追うしかない。 Gの後ろ姿を必死に追いかけて、やっと追いついたら、ふと先程の「先に行ってるからな」という言葉を思い出す。 『……』 どうせGも大広間に行くんでしょ? 一緒にいけばいいのに先に行くって酷くない!? ちょっとだけムッとしてしまい私は隣を歩かずGを追い越した。 「…って、ちょっと待て、何で追い抜かすんだよ」 『いいじゃない!私が先に行くからね!』 「はぁ!?ちょっ、待てよ、名前!」 『やだ!』 Gは私が追いついたら隣を歩くだろうと思っていたらしい。 振り向いたら、ぽかんと間の抜けた顔。 その顔に向かってべーっと舌を出して走り大広間へ一直線。 Gは両手がコーヒーで塞がってるから早歩きにも限度があるもんね。 追いつくはずがない。 |