六月九日、僕が生まれた日。
だけど誕生日など毎年、気にも留めない。
ただ一つ年を取るというだけ、普段の日と変わりない。

だって、当たり前でしょう。
僕はこの俗界を怨んでいるのだから。

こんな醜い世界に生を落とされた事に祝福などされたくない。

そう思っていた以前の僕ならば「おめでとう」と言われても不快に思うだけ。
渡されるプレゼントも卒のない笑顔で軽く受け流していただろう。



『……』



だれど今年の六月九日は少し違う。

考え方は変わっていないけれど周囲からの「おめでとう」という言葉が前ほど癇に障らない。

そして、心のどこかで君からの言葉を待っている。

まったくもって自分らしくない。

全ては君のせい。
君に出会ってからというもの僕はよく分からない感情に狂わされてばかり。









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