見えてるはずなのに何も見えていないような、その瞳。 澄んでいる瞳と表現するには綺麗すぎる程、遠い。 支配されている少女は、その事に気付いてさえいない。 その翼を広げればいいのに。 君には翼があるのに、羽ばたく術を知らない。 それは籠の鳥、ではなく硬く閉ざされた殻の中の雛。 君は生きている、生まれているのに、本当の意味で誕生していない。 「……」 六道輪廻。 その数だけこの目で世界を見てきた。 その中で君に出会った。 可哀相、同情、酷、そんなありきたりで陳腐な一言で表すにはあまりにも無情すぎる、そんな君に。 君は何よりも誰よりも気高く純潔で、美しいと思う。 「………」 これは僕と君の、出会いの物語。 僕らの世界のはじまり |