離れていても私たちは仲間。
言葉にしなくたって、ずっとそうだと思っていた。



『……(だけど)』



私はもう、あなたたちの仲間じゃない、の…かな…?








「敵」の正体



リボーンくんが神妙な面持ちで「不吉だ」と呟いた。
尻尾が切れた事が原因でレオンくんの姿が色んなものに変わっていく。

リボーンくんに事情を詳しく聞こうとしたら、慌ただしく並中生が運ばれてきた。



『あ…っ草壁先輩…っ!?』

「何で草壁さんが!今さっき病院、出てったはず…!!」

「……」

「あっ、おい、リボーン!治療の邪魔になるだろ!」

『…リボーン、くん?』



リボーンくんはレオンくんを私に預けて草壁さんの傍に寄る。

そして、怪我を見るのではなく口の中をジッと見ていた。

一体、どうしたんだろう…?



「……四本か。」

「どうしたんだよ、リボーン」

『リボーンくん?』

「……」



リボーンくんは少しの間、黙って考えると、ツナくんをしっかり見つめて言った。

ケンカを売られてるのは風紀委員じゃなくてツナくんだと。

その言葉を聞いてツナくんはゴクリと息を飲んだ。



『どういうこと、なの…?何で、ツナくんが狙われてるの?』

「そうだよ!どういう事なんだよ、リボーン!!」

「分からねぇか?歯の本数だ」



歯の本数?
私とツナくんはハテナマークを浮かべて止まる。

どういう事なのかよく分からず、ツナくんと顔を見合わせてからリボーンくんの話に耳を傾けた。



「了平が五本、その前は六本、その前の奴が七本、抜かれたんだ。」

「……」

「で、一番、最初に襲われた奴は二十四本。全部、抜かれたんだぞ」

「数字が……」

『並んでる…?』

「あぁ、そういう事だ。歯でカウントダウンなんて趣味の悪いことしやがる」

「……っ」

「それと、これを見てみろ。」



差し出されたのは「並盛中ケンカの強さランキング」
フゥ太くんのランキングが今の事件と何の関係があるんだろう…?



『なに、これ…?』

「ケンカの強さランキング?」

「ここまで見て分からねぇのか、鈍いにも程があるぞ、ダメツナ、ボケ羽依」

『あ……っ』

「いてっ」



私とツナくんはリボーンくんに頭をペシッと叩かれる。

リボーンくんは説明するのが面倒な様子で「襲われた奴と順番が一致している」と付け足した。

順を追って見てみれば、リボーンくんの言う通り、ランキングに載ってる人物と歯の本数が一致していた。



「このランキングはフゥ太のだぞ」

「フゥ太の?」

『フゥ太君の…』

「オレ達、マフィアには沈黙の掟というもんがある。」

『え…っ、マフィア…沈黙の掟……?』

「ちょっ、リボーン!羽依ちゃんにマフィアの話は…っ」

「大丈夫だ。」

「何が大丈夫なんだよ!あぁ、ごめんね、羽依ちゃん…!!気にしないで!」

『う、うん…』

「それより、リボーン!沈黙の掟って何なんだよ!」

「組織の秘密を絶対に外部へ漏らさない掟だ。」

「……?」

『………』

「ここまで言って分からねぇのか。」

「わ、分かる訳ないだろ!」

「つまりだ。最高機密のフゥ太のランキングは一般人が知る訳がない、入手、出来るのは……」



緊張する中、リボーンくんが説明しているとツナくんが不意に大声を上げた。
ランキングを見て慌てている。



「それじゃ、次は三位の人が狙われるってことだろ!?」

「そうだ。」

『三位って……、…あっ!』

「……」

「ど、どうしよう、三位の人って……ちょっ、嘘だろー!?」

『……っ』

「お前ら、行ってこい。オレは調べる事がある」

「オレ達が!?つか、羽依ちゃんを巻き込むなよ…!」

『私なら、大丈夫だよ…』

「えぇっ!?でも…っ」

『大丈夫…、心配、だもん、行こう…?』

「う、うん…っ」



草壁さんが歯を四本、抜かれたって事は次に狙われるのは三位の人ということになる。

ランキング三位は獄寺くんだった。



「急がなきゃ!」

『う、うん……っ』



早くしないと獄寺くんが危ない。
私たちは病院を後にして急いで学校に向かったけれど獄寺くんの姿はなかった。

先生に聞くとどうやら早退したらしい。
教室には山本くんの姿もなかった。

早く見つけなきゃ。

そう言おうとした時、勢いよく何かが覆い被さり、ツナくんが私の上に倒れ込む。



「なーっ!?」

『わ……っ!?』

「いてて……って!ヤバイ!!やられる…っ!?」

「やりました!!ツナさん捕獲成功です!!」

「やったもんねー!!」

「……は?」

『え…?』

「ハ、ハル!?」

『それにランボくんにイーピンちゃん…?』

「ツナさん達の学校の事、聞きました!だからですね、襲われる前にハル達が襲っておけば大丈夫かと思いまして!!」

「なんだよ、その理屈は!羽依ちゃんまで一緒に網にかけるなー!!……って、あれ?」

「は、はひーっ!ツナさん、羽依ちゃんを押し倒してますっ!!ハルというものがありながらハレンチです!!浮気ですか!」

「なっ、何を言ってんだよ!元はと言えばお前のせいだろ…!!」

『ツ、ツナくん…?』

「ご、ごめ…っ!わっ、わざとじゃなくて!!あぁ、もう!絡まって抜け出せない!!」

『あ…、私がずれれば抜けられる、かも…』

「ほ、本当!?だったらー…ってダメダメ!!ス、スカートがめくれちゃう…っ」

『……?』

「あーっ!!ツナさん、どこ見てるんですか!!」

「うわっ!!」



ハルちゃんはツナくんの目を手で塞いで早く網から抜けてください、と笑顔で言った。

ゆっくりと抜け出してツナくんの網を取ろうとしたけど絡まっていて中々、取れず、時間だけが過ぎていく。



『だ、大丈夫…?』

「こんな事してる暇ないんだよ、ハル…!!」

「すっ、すみません〜っ!!」

『ツナくんっ!私、先に獄寺くん、探してくる…っ」

「一人なんてダメだよ!もしも、襲われたら…っ」

『大丈夫…!商店街の方に行ってくる…っ!!ハルちゃん、ツナくんをお願い…っ!』

「は、はひっ!?」

「ちょっ、羽依ちゃんーっ!?」



こうしてる間に獄寺くんに何かあるかもしれない。

早く、見つけて伝えなきゃ…!


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