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ピストルに花束

好かれてるとは、思った。ただそれが不思議でならなかった。だってぶっちゃけ、私って簡潔に表せば性格が悪いのだ。他人から好かれるような女の子では到底ない。友達と言える友達も思いつかない、学校生活を共に送るくらいの知人。間違っても好意を持たれる対象じゃないし、そんな経験もない。……でも、だからこそ、と思うこともある。私の性格がこんなに冷めてるから、こんなに歪んでるから、こんなに最低だからこそ「あの人たち」に好かれたのではないかと。


「手、退けろよ」


しかし今はそのことは置いとくとしよう。この状況を整理し、理解することが先決だ。現在保健室、ベッドに寝転ぶ私の上に馬乗りになる彼。そして私の制服のシャツに手をかけようとしていて、それを私が防いでいるというところだ。


『何言ってんの、あんたこそ退いてよ』
「別にいいだろ、誰も入ってこねーし」
『花宮がよくても私は嫌だ。マジ離れてド変態』
「相変わらず口の減らねぇ女だな、お前」
『うるさい』


花宮はニヤニヤと笑いながら余裕ぶって私を見下ろす。さっき言った「あの人たち」のひとりは、こいつだ。花宮は何かと最低な男で、いい子ちゃんなんて大嫌いだろう。いい子ちゃん大嫌いなこいつがいい子ちゃんとは真逆の私を好いている、それならおかしな話しでもないように思う。少し自惚れかしれないけれど。


「何考えてんだよ」
『花宮は最低だって』
「んなもん誉め言葉」
『だろーね』
「わかったらさっさと手退けろって」
『無理矢理ですか、花宮くん』
「無理矢理はあかんで」


…ん?関西弁?


『今吉先輩…』
「……何しに来たんだよ」
「相変わらずお前の言葉は先輩に対するもんちゃうな」
「出ていってください」
『(超棒読み)』


「あの人たち」のもう一人、今吉先輩。そうだ、この人も花宮に負けず劣らず性悪な人間だと私は思ってる。保健室の鍵は花宮が閉めたはずなのにどうやって入ったのかわからないが、この二人がそろってろくなことはない。


「なぁ桃花ちゃん、ワシ来年桐皇行くことに決めてんけど桃花ちゃんもそこ行こうやー」
『とーおー?…いや、でも私まだ2年で全然決まってないですし』
「決まってないからやん、花宮は桐皇にはこーへんやろうしな」


眼鏡の奥で笑う今吉先輩は正直どこまで考えているのかわからなくて 苦手だ。その傍ら、未だに私の上に乗っている花宮は随分と不機嫌そうな顔をしている。


「悪いけどこいつはオレと同じとこ行くんで」
『言ってねーけど』
「………」
『に、睨まないでよ』


ベッドの隣に立つ今吉先輩と、ベッドに寝転ぶ私と、その上に跨がる花宮。なんてシュールな絵だろう。


「桃花ちゃんの冷たい目好きやわー」
『ああそうですか』
「ツレへんな、ほんま」
「さっさと出ていけ腹黒」
「お前には言ってへんわ」


どうでもいいけど私は花宮も今吉先輩も大嫌いだ。だからこの状況も嫌でたまらないし、私を差し置いて何か口論を始められるのも鬱陶しくてたまらない。「こいつオレとヤるから邪魔っすよ」「無理矢理やろ?」「合意だバァカ」合意じゃねぇよ。


『とりあえず2人とも出ていけ』


私の生活は穏やかではない。


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121226//ピストルに花束

◎黒ちゃん
40万打企画に参加してくれてありがとうー!
花宮くんと今吉さんの難しさハンパじゃなかったです…!
諦めて高尾くんにしようと思ったけど頑張りました、黒ちゃんに愛を込めて!(*´▽`*)
いつもいつもサイトに足を運んでくれてありがとう!コメント嬉しいよっ!
これからもよろしくねー(*・ω・)ノ
この度は本当にありがとうございました!


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